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有栖川夜時取り扱い説明書  作者: 水瀬 滴 
始まりの章
6/8

第六話:気が付いたら乙女ゲームの攻略対象に転生してたんだが。(紅視点)

遅くなりまことに申し訳ございませんでした。

私の愛用のスマフォの充電器が壊れてしまい…ちなみに、私の愛用のスマフォは一世代目です。

充電器なんて早々見つからない。パソコンは壊れた。…悲しい。

オレこと、紅 伊吹には、もう一つ名前があった。過去形である。忘れないでね。

俺、佐柳乃一颯。…くっそ、恥ずかしい。なんでこの名前言わなくちゃだめなの。

ま、まあ? そんな事はどうでもいいのだ。

潔く言ってしまえば俺は…


――――――――――転生したのである。


ここで勘違いしないでほしいことがある。俺は決して電波とかじゃない。うん。違うからね。うん。

実質、俺が転生したのはテンプレ通りの乙女ゲームである。…ギャルゲーがよかったよ。

……いや、乙女ゲームの世界にも可愛い女の子はいっぱいいるからね。ほら、あの兎みたいな子とか。


まあ、最初から説明するとだな…前世のことになる。何故ここが乙女ゲーの世界なのに、何故俺が知っているかというと!

アッーな方向が好きな友人(女)にすすめられたゲームがこれであったのだ!

その友人は乙女ゲーが大嫌いだそうで。このゲームを買ったのは好きな…否、大好きな声優さんがいるからだ、っつっててな。

普段やおい系統のゲームしかやっていない友人がわくわくしていたのを見て、少し興味を持ったのが間違いだった。

何故ならやけに目敏い友人は俺の心境を察知したようでな、ファンディスクやドラマCD諸共貸してきたのであった。

フルコンするまで返せなかった。いや、返したくても返せなかった。もう無理…とか言っても、BLゲームにしてやろうか? とか聞いてくるのだ。

友人マジ鬼畜。鬼畜過ぎたのだ。びっくりしたぐらい。フルコンした時には姉と弟に心配されたぐらいだ。

ではそのゲームを紹介してやろう。このゲームの名は『断罪の清き守護者~薄紅色~』といういかにもな恥ずかしい名前で。

ディスクが四枚もついてきたのだ。ゲームにしては赤字覚悟といっても過言ではない。

まあ、一つは緑色のプロローグ。二つ目は青色の人間編。三つ目は赤色の妖編。四つ目は黒いディスクで、三つ全てクリアしなければ解禁出来ない鬼畜使用。

そしてその一つ目は幼い頃を描いたもので、妖と人間と係り、終盤に引っ越すことになる。そして高校生になった時に選択肢が出てくる。

その時の選択肢が『私は幼い頃共にいた友人を思いながら育った。』この選択肢を押せば、ディスクを青色のものに取り換えてください、と表示される。

この人間編は妖達は面影は見せるものの、関わろうとせず、人間だけで仲良く過ごす。

もう一つが『私は幼い頃を彩った妖達の事を思いながら育った。』この選択肢を押せば、ディスクを赤色のものに取り換え(以下略)

妖編は逆に人間たちが関わらず、妖達が出てくる。ちなみに、こちらを選ぶとのほほん一転ゴシック和風バトル物になる。

そして最後、黒いディスクは『私は幼い頃の記憶を失ってしまった』という今までになかった選択肢が現れる。この選択肢を(以下略)

これは主人公が小学生頃に事故ってしまって記憶が忘れてしまうのだ。そして再び自分が住んでいた街に帰り、記憶がないことに気が付いた妖が話しかけるのだ。

そして人間の方は幼い頃の友達を見つけ意気揚々に話しかけたが記憶がないことに気が付いて悲しんでしまう。

それから昔の友達を呼んで主人公の記憶がないことを話して、一緒に記憶を取り戻してあげようと仲の悪い奴もいたが結託する。

一方、妖達はその話を聞いて邪魔してやろうかと目論む奴もいれば同じ事をしようと言う奴もいる。

結論的には妖達は別々に行動しながらも、彼女の記憶をもとに戻そうと奮闘する…といったものだ。

どうだ、嫌々フルコンした奴は死んでも記憶を取り戻すというものだ!! 他にもちゃんと覚えている事あるよ。

そして俺の役は妖組で猫又。嘘吐きでちょこちょこ主人公をからかったりする。ちなみに! 猫又の姿になると髪は黒い部分が出来たりしちゃう。

まあ、そんなこんなでそのゲームを返し終わり、友人と学校の帰宅中のことであった。子供が、赤信号なのに渡っていた。

テンプレだな。うん。その子供を助けるために赤信号を渡って子供を突き飛ばして、気が付いたら、大型トラックに轢かれていた。

最後に見たのは泣きそうな顔した友人だった。まあ、そんなこんなで俺は高校卒業間近で死亡。ここで俺の前世語りは終わり。

そして今この世界で生きている。それから何故ここがゲームの世界だと分かったのは…このゲームのラスボス兼悪役を見たからであった。

その悪役は吸血鬼という種族で……………うん。可愛かった。有栖川夜時はどこか兎っぽさが出てる。ボクっ娘で、しかも猫かぶり。黒タイツに、白衣に…おまけに眼帯! くふぉぉぉぉ…。

中二病心くすぐる!! 男と言うものは皆中二病さ! あのツーサイドテール……あの髪型が耳に見える。

耳が垂れている兎! 可愛い。ああ、でも、性格がなんかなぁ…インパクト強い。


「えっ!? そ、そんな…わたしが可愛いだなんて…………なぁんて、言うと思いました?」


とか!! 萌えた! しかも、左手の人差指で自分の唇に押し当てている動作も可愛かった! あの視線が何ともかわいらしい。

いやぁ、我ながら妙な趣味していると思う。猫かぶりが好きなんてな。友人に言うとドン引きされた記憶があるし。

でも、ゲームと違う。ここはやはり現実なのだ。事実凄く良い子そうだし…兄に猫かぶっているもの、ゲームと違う。そこで俺は思った。

これ、俺もしかしたら彼女とくっつけるんじゃね!? と。俺、男ですからね。おもってもいいですよね。事実どストライクなのだ。

だけどなあ、さっきも一緒にご飯食べよう? って言おうとしたらアイツ…徳倉朝陽に邪魔されるし、なんか変な奴に連れてかれるし。

…うまくいかない。どうやれば近づけるのだろう。いくら現実とは言えど、元はゲームなのだ。このままじゃ逆ハーEND直行じゃないか。あ、言い忘れた。

黒いディスクの方は逆ハーENDが見れるだけ。人間だけの逆ハー、妖だけの逆ハー、妖編の敵の逆ハー、むしろ登場キャラクターラスボス除く全員の逆ハー…実に様々である。

もーしーかーしーたーらー? 登場キャラクターラスボス除く全員の逆ハーに行くかもしれない。実質進行中である。

まあ、俺は絶対に嫌だから、主人公チャン…桜木花江には懐かない。例えどれだけ良い子でも。


「…? 紅先輩!」

「ん? なんや?」


 俺はニコニコ笑い続けながらも、口調を似非関西弁にする。

この口調疲れるんだよなぁ~…と言っても、言う事自然に変換されちゃうんだけど。


「いえ…ボーっとしてたので…大丈夫かなあ…と。」

「あははは、花江ちゃんは心配性やなぁ!」

「も、もうっ! 人がせっかく心配してるのにぃ…」」


……あの、帰っていいですか。なんか他の人がギラリと睨んでくるし。…あっ、そうだ。

 俺は隣に座っている徳倉朝陽の耳元で言った。


「アンタ、夜時ちゃんのお兄ちゃんやろ?」

「…そうだけど。」

「オレは桜木花江ちゃんよりも有栖川夜時っちゅう女の子に惹かれてるんや。だから協力しまへんか? オレはアンタと花江ちゃんがくっつくように協力するし、アンタはオレと夜時ちゃんがくっつけるように…ってな。どうや?」


 そう俺が言うと徳倉朝陽は吃驚したよう顔になって少し考え込む。

おろろー? こいつの事だから自分の欲しい事のために持っているものを犠牲にするタイプって思ってたんだけどなあ…まあ、今回の目的はそうじゃなくて、ただ敵じゃないよーという作戦である。睨まれるのは別に平気だけど面倒くさいんだよな。


「…………ダメだ。」

「ふっ、そうかいそうかい。まあ、オレは少なくとも花江ちゃんには興味ないがな。」


 すると隣から少しだけ空気が強まった。

…ドジッたぁぁっぁぁ! なんか敵として認識されたようですけど。どうすればいいの。はぁ……夜時ちゃんの傍にいられるのは遠いなぁ…あの子の事かなり本気で好きなったんだけどな…ま、諦めないけど。そんな簡単にあきらめるほど気持ちは軽くない、ってわけで。




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