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有栖川夜時取り扱い説明書  作者: 水瀬 滴 
始まりの章
5/8

第五話…4月18日:平日

遅れてしまった。すいません。

寝ていたので…いや、本当すいません。

緑に水をやる手は軽々と。


「えへへ…」


思わず笑ってしまう。嬉しいな。

(だって携帯をいじくれるようにやっとなりました! 今まで絶対ダメ! って言って買ってくれなかったのですが…買ってくれて、それから携帯をどう使うのか思い切り携帯の説明書とにらめっこしてたんですよね。)


「へへぇ~」

「ど、どうしたの…?」


不気味に笑っているボクをトウマおにーさんが動揺しつつも声をかけてくれました。


「トウマおにーさん、おはようっ! 実はね、ボクね、携帯を買ってもらってそれなりに時間がたったんだけどね…最近やっと操れるように! 弄れるように!」

「あーなるほどね。おめでとう、夜時ちゃん。」

「うん!」

「…それより、時間いいの? もう7時40分だけど…?」


その言葉にボクは固まった。


「……………………うん?」

「学校平気なの?」

「・・・…?!」


急いで家の中に戻り、通学用かばんを手にとる。

(いやまさか遅刻はしたくない!! 間に合いますように…!)





「ヒィー…ヒィー…はぁ…ひー…つらいぃー」

「だ、大丈夫?」


机に倒れこんでいるボクを見かねたのか、エリカさんは苦笑いしつつもそう聞いてくれました。


「ん~平気だぞ~…これから早起きしようと思うけどねっ!」

「あはは、夜時ちゃんはドジなのね。そうえばね、今日の昼休みにね、奏聞(ソウモン)さんが来るらしいの!」


見に言っちゃおうかな~、と上斜めの席にいる笑うエリカさんをボクはじと、と見る。その視線に気付かないように彼女はでへへ~と言っている。ちなみにボクは

(誰なの。奏聞さんって…? 誰かいましたっけ…? ……ダメです。最近携帯に没頭していたせいで授業の内容の記憶しか頭にない…!)


記憶喪失擬きを体験していました。


「…もしかして忘れたの?」

「うん。その…奏聞さん? ボクね、全く覚えていないです。」


そこではっとした。

(思わず素の口調が…!)


「あの奏聞様を忘れていたの!!?」

「きゃっ!」「な、なに!?」


いきなり後ろから現れた長い金髪に滅茶苦茶ツリ目の女の子に、吃驚する。女の子っぽい声はエリカさんで何とも言えぬ声はボクです。ツリ目の女の子はとても可愛らしい子でした。なにせ金髪蒼眼ですからね。外国人…なのでしょうか…。あの森木(桜の妖精)さんのようなかわい…どっちかっていうと綺麗め美人さんです。


「え、ええ…まあ…誰だかわかります?」

「もう! あんな素敵な人を忘れるなんて!!」

「す、すいません…」


(す、すてきなひと…?)


「奏聞さんはこの学校の副会長を務めている人なのですわ。」


(な、なんてテンプレなお嬢様口調…)


「ふ、ふうん……」

「それでいて有名歌手の息子であって…煌めくような紫に近いに、黒髪…肌はまさに白で…うんたらかんたらでね! とても~~~~~なのですわ! それから~~~」

「うんうん。」


若干何を言っているのか分からなくて適当に相槌を打つ。

頭の中で奏聞 副会長を検索する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


(…あー…そう言えばいたような…)


「聞いていますの!!?」

「うん、聞いていますよ。」


(何言っている分からないけどね!)


先生が来るまでずっと相槌を打っていました。ボクは流石にそのまま流すのは悪いな、そう思い出来るだけ理解しようと必死で聞いていました。可愛らしい声は聴いていて幸せですからねぇ…。



†~休み時間~†



そうして休み時間がやって来て…


「ふえっくしゅっ……にゃむにぇむ…ふは~誰かボクの噂してますね~」


ボクはくしゃみをしていました。


「何言っているのよ…」

「独り言だよ。あ、エリカたそはふくかいちょーを見に行くの? わたしは弁当食べるけど。」

「ん~? どこで食べるの?」

「……んとな…」


(中庭は多分混んでるしぃ……屋上はそもそも自殺防止のために開かないし……あ、そうです!)

ボクはエリカさんに振り返り、高らかに告げた。


「天文部だねっ」

「まさかの部活内っ!?」

「あやたん優しいからいいよ~って言ってもらえると思うんだ。」

「あ、あやたん…わ、私も食べる…。」

「よし、いこいこ~」


(あやたんさんは優しいからね~…学年違うですけど。)

席を立ち、鞄を取る。


「ちょっと! 有栖川夜時! 貴方奏聞様を見に行くんじゃないの!?」


(いつの間にボクの名前知ったし。)


「わたしはね、お弁当を食べるのですよ。君もご飯食べた方がいいんじゃないのですか? 凄い細いし~」

「っっ……! う、うるさいわね…とにかく! 見に行くの!!」


(問答無用なのね。)


「ふはー…」

「妙な声出さないの! はしたないですわ。」

「ふはー…もういいですよー…ふくかいちょーさん、見に行くですよー…エリナたそも見に行くー?」

「え、うん。元々行くつもりだったんだし。天文部に行くがてらに見に行くのもいいかなって。」


そかそか、と頷きながら教室を出る。しかしボクは吃驚した。だって…

(人多っ…! ちょっと酔いそう。)


「おかしいですわね…こんなに多いとなると…」

「アレ、夜時じゃないか。」


(ま、魔神出たーーーーー!)


「……!! えへへっ朝陽お兄ちゃんっ、元気ぃ?」


「「「「「朝陽お兄ちゃん!!?」」」」」


大勢の人が一斉にいう。


「ふーはー…逢いたかったよ!」


ぎゅうっと抱き付き、ニコニコ笑い(猫かぶり)ながら朝陽お兄ちゃんの顔を覗き込む。

(うわ、めっちゃ苦笑いしてるですよ…見てて面白いですね。)


「朝陽お兄ちゃんは?」

「うん、僕も逢いたかったよ。」

「えっへへ~」


だらしなく頬を緩める。

(あ”ー大勢の前でとか…女性群が思い切りこっちを睨んでいるような…あーやだ、女性の嫉妬ってこわーい。)


「おーヤトちゃん元気してるん?」


(誰がヤトちゃんやゴルァ。…おっと、口調が(キラッ)…)

その声がした方へ目を向ければ…紅先輩がいました。抱き付いていた腕を離しどこからどう見ても綺麗で可愛らしい笑顔を浮かべる。


「こんにちはっ、紅先輩っ! 入学式依頼ですねっ!」

「そうやなぁ…あ、そう「夜時、伊吹と知り合いなのかい?」 …」

「うん! 入学式の時わたし迷っててね、それを見かねて紅先輩は声を掛けてくれたんだ!」


(迷ってないけどね。)


「そっか。ちゃんとありがとうって言ったかな?」

「うん!」


にこにこ笑いながら言う。が、内心は

(ボクは高校生ですー! 何歳だと思ってんですか。バカですか。)

めちゃくちゃ悪態吐いていました。しかし悪態を内心で吐いていたら、金髪蒼眼の幼い顔をした少年がボクの顔を覗き込んできました。


「先輩の妹なの? これ。」


(これとかいうな。失礼ですね。)


「こら、これとか失礼だよ。」


どこからか金髪蒼眼の少年が増えました。

(うわ、増えた!? …じゃなくて、双子…なのでしょうね。)


「うん、そうだよ。名字は違うけれど、僕の妹の有栖川夜時、っていうんだよ。」

「どうも、初めまして、ですね。」

「「よろしくね。」」


(わ、見事にシンクロ。凄いですね…。)


「ボクは空年(ソラドシ)ノエル。で、こっちが弟の」

「空年シエルだよ。二人合わせて」


「「ノエシエ兄弟!」」


(みてるこっちが恥ずかしいわ!! なんだ、二人合わせて、って!! ああああ! 恥ずかしい! そう言うのはアニメとかゲームや漫画だけで十分ですよぅ!)

悶えていました。苦笑いするしか方法ないですよね!


「あははは…そうなんですかぁ…」

「こほん! ヤトちゃん、オレ()とご飯食べよかー?」

「友達と食べる約束をしているので、ご遠慮しますね。」


(そ う 言 え た ら 何 て い い の か ! !)

周りには女性群が大勢! もしこんな所で断ったら『一年生のくせに生意気よ!!」とかなんやら…。


「えっと……」


ぎゅっと、朝陽お兄ちゃんの制服の裾を掴み見上げる。

お兄ちゃんに助けを求める事にしました。

(頼むから助けてぇぇぇ…)


すると後ろからひょいっと、ボクを誰かが持ち上げた。


「ふはぁっ!?」

「ごめんなー? 俺と食べる約束してるんだわ。」


(うおっしゃぁぁぁあ! 誰だかよく分かんないけどありがとうございます―――!)


「じゃ~な~」

「あ、あ~れぇ~…え?」





「――――あやたん!!」

「な、なに?」

「あざます! と言うかあの変装すんごいねー。」

「う、ううん…ヤト…ちゃん、大変そうだったから…」


あやたん…正式名称、阿刀彩子(アトウアヤコ)ちゃんはもじもじとしながらわたしの褒め言葉にえへへ、と照れます。


「いやあ…性格も変わるからすごいと思う。」

「! ヤトちゃんはあっちの性格のほうが好き…?」


急にあやたんさんは形相を変え聞いてきた。


「ふはー…ボクはねーあやたんだったらいいよー。」


(だってあやたん基本的に優しいもん。)


「私だったら……そ、そっか…えへへ…」

「?」

「ううん! なんでもない!」

「そーお?」


ガララ!!


「ちょっと!! 有栖川夜時!!」

「なんですか?」

「うわっ…!」


お弁当箱を開けて両手を合わせて、『いただきます」と言う。


「もぐもぐ…ふは、うまし。」

「『うまし』じゃないですわ!!」

「んー? そーお?」

「んもう! ………(ワタクシ)も食べますわ。」


(おー…ツンデレだ…本当にどうもありがとうございます。)


「ちょ、氷月(ヒョウヅキ)さん……ひい…」

「…えりかたそさん?! 大丈夫?」


もう体力などない、そう言いたげに部室に入ってきたのはエリカさんでした。というか、このやけにツンデレさんは氷月っていうんですね。



あやたん…私だったらお嫁に欲し…いや私女ですけど。

そう言えば、新キャラ的な何かが沢山湧いてきましたね。

だけどまだ足りない…。


血がぁぁ……なんつって。キャラが足りないのです。

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