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Hard Days' Knights  作者: 里崎
番外編
56/73

ミンリオとフォワルデ編

雰囲気二本立て。

胸糞悪い暴力描写があります注意。


夕食の片づけを終えて、人通りもまばらになった、薄暗い廊下の片隅。

「ったく、でかい顔しやがって、よそ者が」

中央から来た騎士たちが通ったあとの廊下の床を、目つきの鋭い若い騎士が乱暴に蹴り飛ばす。一日のたまりにたまった疲労と不満を抱えて、血気盛んな数人が廊下を歩いていた。

「お」

すれ違おうとしていた小さな姿を見つけて、にんまりと卑劣な笑みを浮かべる。一人が足早に歩み寄り、ミンリオが持っていた薪を蹴り飛ばした。

「うわぁ!」

切られたばかりの木材が、ばらばらと床に散らばる。

「調子乗ってんじゃねーぞクソガキ」

「あいつらに媚びてんじゃねーよ!」

数人かがりの剣幕にひっと身体を震わせ、

「ひ、う、うわわ、すみま」

(壁に背中つけてお腹守って壁に背中……)

落とした薪を放置して慌てて後ずさったミンリオは、ぎゅっと身をかがめて目を閉じる。

先日、とても久しぶりに医務室に運ばれたときに、入院していた気の良い騎士たちに教えてもらった『とっておき』だ。急所を外す――いつも演習で偉い人が言っているやつと、どうやら同じ意味らしい。

がつがつと執拗に蹴られている足が痛い。膝を握りしめている手の甲にもブーツが当たる。だけど歯を食いしばる。

(負けない、負けない!)

あとはこれで、ただ嵐が過ぎるのを待てば良い。

もうひとつの『とっておき』、大声で誰かを呼ぶ――は、この前実践してみたらものすごく怒られていつもよりも断然痛い思いをしたので、あれはもう使わないことに決めた。

(あとちょっと待てば、あとちょっと、たぶん)

男のブーツが、小さな頭を強打する。

「う!」

ミンリオの口からうめき声がもれる。みっともない声、と数人がげらげらと笑った。

「ちょー弱ぇー」

「大体、コイツさ、知ってるか? 騎士でもねぇくせに、いっちょ前に部屋もらってんだよ」

「ハァ? それもどうせ中央の奴にゴマすった結果だろ? 優秀な部下だなぁオイ」

「なんで俺たちがこんなクズ養ってやらなきゃなんねーんだよ」

そう。

先日から、ミンリオには他の騎士と同じ部屋が与えられた。若い騎士たちとの相部屋だ。辞退しようとしたミンリオだが、背をかがめて目線を合わせた文官たちに固い声で『規則だから』と申し訳なさそうに言われてしまえば、反論なんてできなくて。

はっとなった一人が、仲間の肩をつかむ。

「オイ、そういや、コイツボコると反撃喰らうって噂……」

「バーカ、んなもん信じてんのかよ。コイツの反撃にびびってんのか?」

他の一人が鼻で笑い飛ばす。

「そういうわけじゃ」

「じゃあ何だよ。オイ、まさかお前チクるわけねぇよな?」

胸倉を掴まれて持ち上げられたミンリオは至近距離から睨まれて、俯いて床を見たまま慌てて首を振る。そんなことをしたら殺される。

その怯えように満足したらしい男たちがミンリオを床に落としてげらげら笑い声を上げ――その声が不意に途切れる。

「――うわぁ!?」

そんな悲鳴が聞こえて、衝撃が不意に止む。

恐る恐るミンリオが顔をあげると、そこに広がるのは無人の廊下。騎士たちは一瞬にして誰もいなくなっていた。

ミンリオはきょとんとして、両目を丸くする。

「……あ、あれ?」

小さく声を出すなり、せり上がってきた酸っぱいものを必死で飲み込んで、それから、額とアゴの脂汗をぬぐって、

「号令かかったのかな?」

仕事の続きをしようとして、ふらふらと立ち上がる。

両足から泥汚れがぱらぱらと落ちて、血の滲む皮膚が露わになる。両足の痛みに、ミンリオの両目にじわりと涙の粒が浮かぶ。

「ふ……う」

鼻声で小さくうめいて、何度か乱暴に顔をぬぐう。

別棟に向かって数歩進んで――

――足を、止める。

脳裏に蘇る、ずっと昔の母の声。

(――だめよミンリオ、医務室はね)

仕方ないなぁと笑う、父の顔。

(人を守って怪我をした騎士を癒すための場所だ。お前のやんちゃで作った怪我で、そう何度も行くもんじゃないんだぞ)

だって、痛いものは痛い、とかなんとか反論したはずだ。昔の自分は。あんまり覚えていないけど。

ぐし、と鼻をすする。

こんなときは。

こんなときは――……

(だ、だめだ。だってクウナ、いま忙しい、し)

人の三倍働いてるのにちっとも休んでくれない、と半泣きのカロに、先日も愚痴をたくさん聞かされたばかりだ。どんな仕事をしているのかは良く知らないけど、他の騎士たちよりも重要なお仕事だってことはよく分かっている。

(邪魔しちゃだめだ)

でも、このままミンリオが部屋に戻ったら、演習で疲れて帰ってきた同室の騎士たちに心配されて、結局医務室に運ばれてしまう。

どうしよう、とミンリオは落ち着きなく視線をさまよわせ、ふと――傍らの窓を、その先の夜空を見上げた。


***


廊下の先から歩いてきたクウナが、立ち止まっているミンリオに気づいて声をかけた。

「こんばんは。何してるの、こんなところで」

二人の現在地は、ミンリオの元いた屋根裏部屋の真下だ。今は部屋を与えたからここには住んでいないはずなのに。

下の部屋の入口である天井の穴を見上げていたミンリオは、ぱっと顔を向け、クウナを見るなり照れたように後頭部を掻く。

「えへへ、ちょっと星が観たくなって! ……あれ、梯子がない」

近くの物置を探しに行こうとするミンリオを、クウナが止めた。両脇に手を突っ込んでその小さな身体をひょいと抱え上げれば、少年はじたばたと宙に浮いた足を揺らす。

「あの部屋は今、別の子に貸してるんだよ」

「あっそうなの? ……く、暗いし狭いし寒くない?」

心配そうに眉をひそめるミンリオに、クウナは肩をすくめた。

「私もそう言ったんだけど、あそこが一番落ち着くんだって。普通の部屋だとここを出ていくって言うから。貸してあげてもいいよね?」

「うん。その子も星観てるかな!」

「観てると思うよ」

クウナの回答に、男の子は満足そうに微笑んだ。

「ね、クウナ、お仕事はいいの?」

「んーちょっと休憩」

クウナはミンリオを抱えたまま数歩歩いて角を曲がり、通りがかった顔見知りの騎士にぽんとミンリオを手渡す。ミンリオの半ズボンからのぞく傷だらけの両足を見た騎士が、慌てて医務室へと走り出した。横抱きに抱えられたミンリオがわめき、その変声期前の甲高い声が廊下の先に遠ざかって、やがて聞こえなくなる。

それを見送ってから、クウナは踵を返す。

元いた位置まで歩いて戻って、足を止める。

「いいってさ、よかったね、フォワルデ」

その声に、頭上にぽっかり空いた暗い穴から、刺青だらけの顔がぬっと出てくる。

「ほっぺに泥、ついてるよ」

笑って教えてやれば、ごしごしと拭う音。

護衛(・・)ありがとね。引き続き、頼むよ」

そっと言うと、小さくうなずいてから、頭は音もなく引っ込んだ。


***


――出席した上官全員が極刑を求めた中で、ただ一人、クウナだけが彼の処遇に異を唱えた。


時は少しさかのぼる。

北州騎士団本部の上官たちの処分は、クウナたちが提出した報告書と、憲兵が調べ上げた証拠と、証言者たちの証言を元に滞りなく行われた。そんな中、規定の必須参加者ではないクウナが顔を出した審議が、一つだけある。


クウナとは旧知の仲である若い憲兵が、既に活発なやりとりの聞こえてくる議場の扉を開け、クウナを会場に通す。

「それにしても、言うに事欠いて『もったいない』とは……」

クウナの言い分に呆れたように呟いて、眉を下げつつ。

微笑んだままあっさりとした礼を言ったクウナが部屋に入る。室内中央に鎮座する上等な木製の円卓を見回し、大勢の視線が集まる中、空席を見つけて椅子を引く。

机に肘をつき鼻先の前で指を組み、議長から発言権を得たクウナが切り出す。

「処分対象者リストに、私、載せてなかったよね。この審議の開催について、どういうことか説明してもらおうか」

不服そうに頬を膨らませてワンリスを見る。

「そのリストに記載されていない理由こそをお聞きしたい」ワンリスではなく、書類から目を上げた憲兵の男が、淀みない口調で答える。「貴女の報告書が虚言でないのなら、彼をこそ裁かなければなりません」

「だって彼、脅迫されて、ここで傭兵として働いていただけだよ」

そう言ってクウナが見た先は――被疑者席に座る刺青だらけの青年、フォワルデ。

「その前の余罪もあります」

憲兵が固い顔で渋るのへ、

「出生が出生なんだから、情状酌量の余地はあると思うよ。それを問答無用で一掃殲滅した騎士団のほうにこそ、問題があるんじゃない?」

大きめの黒い双眸がはっきりと円卓を見回し、場が静まる。

それから、クウナに乞われるがままにフォワルデが話し始めたのは、かつて北州騎士団がフォワルデの集落を襲撃したときの虐殺劇。もちろん報告書からは綺麗に抹消されていたそのとんでもない内容に、上官たちは一斉に青ざめ、落ち着きなく顔を見合わせる。

「で、でたらめを言っている可能性も……」

「――全て、事実です」

若い声がいきなり割り込んだ。告げたのは、部屋の出入り口を警備していた中堅くらいの衛兵の青年。真っ青な顔で全身を震わせている。

中央席に座るワンリスが彼に視線を向け、ゆっくりと目を細める。

「なるほど、当時の参加者か」

衛兵の青年は無言で首肯する。上官たちが数人、彼と質疑を交わす。青年は全ての問いにはっきりと答えたが、その顔は徐々に蒼白に近づく。その後、壁際に控えていた文官に連れられて、彼はふらふらとした足取りで医務室へと退室していった。

扉の閉まる音がした後、重苦しい沈黙が議会を満たす。

「話を戻そう。これでもまだ、フォワルデはただの加害者?」

「大将……」

「一ヶ月、見てきた」

人選力に定評のある、監察官の権限も持つ大将にそう断言されてしまえば、正面きって反論できる者はおらず。

少女は、今度はフォワルデに向き直って、笑顔で告げる。

「大丈夫だよ。知ってるよ、あの中にあって、性根までは腐ってないって」

自信満々に言ってのける少女。それをうんざりしたような目で見るフォワルデが、ぼそりと言う。

「そこまで生に執着する気はない」

包帯の巻かれたままの自身の腕を、温度のない瞳が見下ろす。

「まぁそんなこと言わずに。せっかくいい腕持ってるんだ。未来、見せてやるって約束したでしょ」

刺青だらけの青年がゆっくりと顔を向けてクウナに目を向けた。少女は勇ましく笑いかける。

「どうせ人はいつか死ぬんだ。もうちょっと足掻いて、この先の見たこともない景色、見てから死んでも遅くはないよ」

クウナの言葉を遮るように上官の一人が手を挙げた。議長の承認を得てから、咳払いをひとつして。

「私とて騎士です。剣を交えた者にしか分からぬ、相手の、まじりっけなしの善悪の価値観、信念、意志。何のために剣を持つのか。そういう感覚が相手にも伝わるということは、もちろん理解しております。大将、貴女のご判断にも、常日頃から全幅の信頼を寄せております。ですが――こればかりは、私が騎士だからこそ、認められない」

能面のような顔の被疑者の青年に向けて、彼はまっすぐに指を突きつける。

「その人間は、騎士を殺めすぎた」

「殺めた分、救えばいい」

少女はさらりと言った。

「別に居場所は騎士団でなくともいいけど……この人は多くを救える人だよ。心強い戦力」

「ふざけるな、危険分子だろう?!」

別の男が激昂して机を叩く。その物音に部屋中の視線が集まるが、クウナだけは、ただまっすぐにフォワルデを見ていた。

「できるよね」

底の見えない黒の瞳が、じっと青年を見つめる。

淀みない言葉とともに。

「そりゃもちろん無罪放免ってわけにはいかないだろうけど。大丈夫、たぶんそこまで苦役でもないよ、キミの場合」

「……それでは処罰の意味がないのですが」

「いいんだよ。大切なのは、そのあとだから」

クウナの顔見知りの憲兵の男が肩をすくめる。

「……で? 散々好き勝手言われてんだが、てめぇはどう思うんだ、小僧」

黙って議会の成り行きを見つめていた議長から、突然の砕けた口調で矛先を向けられて、フォワルデは虚を突かれたように固まる。そこにクウナがわめいて割って入る。

「あっちょっと、今までせっかく厳かな感じにしてたのに台無しじゃん議長、これじゃいつもの会議のテンションじゃん」

「うるせぇ、最初からぶち壊したのはお前だクー。しかし、こりゃとんでもなく無口な奴だな。自分の進退が決まるんだぞ?」

議長は呆れたように言って、椅子を少し引くと大きく姿勢を崩し、だらしなく頬肘をつく。

それを皮切りに、先ほどまでの雰囲気から一転、決壊したようにわいわいと騒ぎ立てる議会。いきなりの変貌にぎょっと驚いたフォワルデが、落ち着きなく周囲を見回す。そこかしこでざっくばらんに交わされる、ひどく砕けた口調だが勢いのある活発な議論。末席に座る口述速記(ステノグラフ)の文官は慣れたものらしく、ペンを止めて発散しきった議会をにこにこと見つけるだけ。

誰の責任だとか、どれだけの損害だとか、そんな話は一切聞こえてこない。今後どうしていくか、未来に向けて何をすべきか――彼らの関心は、審議という必要業務を抜きにしたとき本当に考えたいのは、その一点だけなのか、とフォワルデは無関心な思考で把握する。

かつてこの部屋でそんな話が出たことは、ただの一度もない。

トゥイジの命により、幾人もの騎士たちをこの場所で処分してきた張本人の青年は、命乞いも言い訳も証言も聞かず、問答無用で被疑者を斬り捨てた、あの頃の議会とここは今や百八十度違う、とようやく気づいた。

騒がしい議会の中で、幾人と目が合う。

今、皆が待っているのは、被疑者であるフォワルデ自身の言葉なのだと、ふと悟る。

これは全て、目の前の少女の、たった一人の力だ。

この議会は、決して、少女が言い出したことに寛大という訳ではない。これは――この小さな少女が、しっかりと積み重ねてきて、そして勝ち得た『信頼』だ。

フォワルデは円卓を見回し、そこに集う屈強そうな人間たちの、日に良く焼けた精悍な顔つきを眺めた。それから、なぜか自分を高く買う、かつて一度だけ剣を交えただけのはずの少女を見る。更に、その『大将』を、一点の曇りもない信頼のまなざしで見ている、壁際に控える騎士たちの多くの視線に気づく。

そして、ふと――フォワルデは、今は亡き、かつての仲間たちを思い出した。

こんなふうに軽口を叩ける間柄ではなかったが。

彼らと過ごした日々を、他愛もない会話を、久しぶりに思い出した。

近くの憲兵と話しこんでいた少女が振り返って言う。

「今度、フォワルデの住んでた谷に現場検証しに行くことになるだろうから。ね、みんな(・・・)のお墓参り、一緒に行こうよ」

他の集落から恐れられ、騎士からは害悪とみなされていた盗賊の谷の住人を気安く呼んだ曇りのない少女の笑顔を、フォワルデはじっと見つめ、息をゆっくりと吐く。

どうしてだろう、憑き物が落ちたような、不可思議な感覚に囚われる。

全員が見つめる円卓の中央で目を閉じる。ゆっくりと(こうべ)を垂れて、青年は口を開いた――


***


人の気配に気づいて、廊下を歩いていたフォワルデは立ち止まる。壁に背を預けて腕組みをした青年が、目の前に伸びる廊下の片隅に立っていた。貴族とおぼしき上品な口調で夜の挨拶をして、組んでいた足を組みかえる。

「クーの報告書を読んだよ」

おもむろにそう言った青年の顔に、フォワルデは黙したまま目を向ける。見覚えはある。少女のそばによくいる、金髪碧眼の青年。いつも、肩の上に小鳥を乗せている。足音は小さめ。腕はそこそこ立つ。

「クーは、あいつはそもそも、話が通じる相手だと見込んだ人間にしか、交渉を持ちかけたりはしない」

その穏やかな断定の言葉に、フォワルデはふと、忘れもしない、少女の言葉を思い出す。


――君たちがかつて屈した北州騎士団に、私が楯突いてみせるよ。こんなものひっくり返してやるよ。一緒にどう?――


あのときは、ただの、プライドの高い人間特有の命乞いの一種、とっさに口から出た闇雲なでまかせだとしか思っていなかった。

「あのときのクーの相手が、お前で良かった」

ほっとしたように言われたその言葉に、フォワルデは目を見開いた。

敗北を悔いた。弱さを嘆いた。

フォワルデにとって、あの戦いはただそれだけの意味でしかなかった。それなのに。

これは、フォワルデの力量を貶める言葉ではないと、フォワルデが負けたことで、大将の命が助かって良かった、などという馬鹿げた意味ではないと、フォワルデはきちんと理解していた。

フォワルデの胸の(うち)に、不可思議な感情がわきあがる。

「……あのとき、私は断りました」

「口先だけではなんとでも言えるものさ」

青年は浮かれたように、とくいげに微笑む。まるで身内を自慢するように。まるであの少女が、あのときじわりと心引かれながらも拒絶したフォワルデの、めんどくさい心の裡を、きちんと推し測っていたとでも言うかのように。

「いいかい。口先だけでは、なんとでも言えるんだよ」

念押しするように繰り返す。それでフォワルデは彼の意図を理解する。

青年の真剣な瞳が、有言実行――やってみせろ、行動で示せ、と告げていた。

「――今はまだ、口先だけと思われると思いますが、」

不意にフォワルデの口をついて出たのは、そんな反抗的な言葉。

「これまでの人生、主の命を違えたことは、一度たりともありません。それだけは、胸を張って言える」

驚いたような顔した青年に、フォワルデは騎士団式の敬礼を向ける。それを見た青年はすぐに相好を崩して、

「もう誰も『主』じゃないけどな。――ああ、楽しみにしてるよ、フォワルデ」

フォワルデの背を気安く叩いた。

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