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Hard Days' Knights  作者: 里崎
二週目編
28/73

27.脱走

翌日の朝食の席。

なにやら話し込んでいる新人仲間の元に近寄って、キューナは食事のトレイを置き椅子を引いた。

「おはよー。何の話?」

顔をゆがめたイグヤが、責めるようにフォークを突きつける。

「お前、いたじゃんかよ、昨晩の。ほら、階段で」

「元帥にひっついてる男がいたじゃん、薄気味わりーやつ。ハノアッジが、あいつのこと知ってるっつーから」

ヤサルタの説明を耳ざとく聞きつけたペヘルが、ジャケットの下からペンと紙を取り出しながら隣の列から素早く寄ってくる。キューナは引いたばかりの椅子を彼に譲って、ひとつ隣の席に座った。遅れを取り戻すべく、せかせかとスプーンを動かしながらエイナルファーデに聞く。

「あの人、騎士じゃないよね?」

「うん。あの刺青は、盗賊の谷の民特有の証」

首を傾げる一同に、エイナルファーデが説明を補足する。

「『人殺しの谷』って聞いたことない? 依頼と報酬があればどんな殺しでも村ぐるみで請け負う、村民全員が殺し屋の村」

「うええ……朝から血なまぐさい話かよ」

ヤサルタが顔をしかめる。

エイナルファーデが国境沿いに広がる大山脈の名を言った。

「あの中腹に住んでるの。人里離れた険しい場所だけど、彼ら、商人が運ぶ高価な輸入品を狙ったりもするし。移民の多くがこの国に入るときに通る道でね、彼ら、移民には友好的なんだよ。私たち一家も通ってきた」

「すげえ」

「でも……」

キューナが言いかけて、黙る。

「うん?」

「……なんで一人だけ、こんなところにいるのかな」

うーん、と全員が考え込み。

「勉強に来てるとか?」

ヤサルタの提言に、なんだそれ、とイグヤが白い目を向ける。

ペヘルがめがねの位置を直しつつ呟く。

「出稼ぎに来てる傭兵かな。いくら武芸に秀でていても、山岳地帯じゃ食べるだけで厳しいだろうし」

「ふーん……」

神妙な顔で窓の外を眺めるキューナは、

「う!?」

という声に続いてガタンという物音が聞こえたのに振り返って、目を丸くした。

テーブルにつっぷすイグヤの背に、ジュオがどっかりと乗っていた。なぜだか上機嫌らしく、手に持ったカップを傾けてげらげら笑う。

「オイてめぇら、アイツに興味あんなら、どーにかしてアイツ引きずり出せよ。したらオレがぶちのめせるだろ?」

「あ、アイツって……」

「今話してたじゃねぇか、あのかっこつけの暗殺者(アサシン)だよ、元帥を殺ろうとすると出てくるらしいからよ」

「有名な人なんですか?」

たずねるキューナの服のすそを、他の人に見えない位置でペヘルがそっと、危ないよとたしなめるように引く。ジュオの目がキューナを見下ろし、エイナルファーデの皿に残っていたパンを摘み上げて口に放り込み、

「まぁな」

と答えた。

「どこに行くにもいっつも連れてやがるから嫌でも目につく。あの無表情でやりたい放題してやがるぜ。確か……フォワルデ、とか呼ばれてたか」

ふむ、とうなずくキューナ。

「フォウくんかぁ」

「お前、気ぃ早すぎ」

去っていくジュオを睨みつつ、むせ込みながらイグヤが言う。

「なにが?」

「……いや」

まさかあの物騒なのまで仲間に取り込む気じゃねぇだろな、とイグヤが疑いのまなざしで、怖いものなしの少女の顔を見た。


***


日干しした穀物を、人ひとりが入りそうな、大きな麻袋に流し込む。

「よし、っと」

昨日編んだばかりの縄で、袋の口をイグヤとキューナの二人がかりで固くしばる。掛け声をかけて、一気に持ち上げてかたわらに積み上げる。額に流れる汗を拭ったイグヤが、凝った肩をぐるぐると回した。

「あー終わったー」

あとはこれを裏手の小屋に持っていけば終わる、と、ほっとした気持ちで、キューナは木の扉を押し開ける。

「行くよ、ヤスラ」

先ほどからずっと、うつむいたまま動かない少年を振り返って声をかけた。

ヤサルタの、握り締めたこぶしがぶるぶると震えている。昼過ぎから言葉数が少ないのは、イグヤもキューナももちろん気づいていた。

もちろん、その理由も。

「……な、なぁ、オオリさんってさ」

震える声でぽつりと口にしたのは、今日一日ずっと姿が見えない人の話、だ。班長たちも、誰一人として当たり前のように言及しなかった。不自然なほど。

参加必須のはずの演習に出てこない、いや、出てこれないということは、恐らく、つまり――

(……つまり、そういうことだ)

昼の空いた時間に、キューナはこっそり宿舎に戻り、オオリの部屋まで行って確かめた。部屋の中に人の気配はなかった。

いきなりの怪我や風邪という可能性は消えた。

「――それ以上、言うな」

ヤサルタの言葉を、イグヤがぴしゃりと遮った。射殺さんばかりの獰猛な目を、戸惑うばかりのヤサルタに向ける。途端にヤサルタは泣きそうな顔になった。唇が震える。

はー、とイグヤがわざとらしい長い息を吐いた。

「今更そんなこと言ってるのか。お前さ、ちゃんとしてくれよ、同じ班なんだから。他人のこと、いちいち気にしてたら生き残れないぜ」

「な、なんでそんな……!」

「現実見ろよ! お前だってわかってんだろ!」

叫んで、目をそらして。

忘れろ、とイグヤが押し殺した声でつぶやいた。残忍な言葉に、ヤサルタが肩を震わせる。

その様子に、さらにイグヤが言い募る。苛立ちにまかせ。

「なんだよ、一緒に泣いてやったら気が済むのか? そういうんじゃないだろ、だったらどうするんだよ、お前があの人の(かたき)でもとりにいくのか?! どーせびびってできねーだろ」

「……っ」

かたん、と――建てつけの悪い扉が高質な音を鳴らす。戸口に立つキューナが、立てた襟と黒髪の間から二人を見た。

「食材の受け取り。先に行ってるね」

簡潔にそう告げると、キューナは二人を残して部屋をあとにした。

何となく天井を見上げながら足早に廊下を進み、もう少ししたら荷馬車の到着するはずの正門に向かう。残してきた二人と同じ煮え切らない気持ちを抱えて、無表情のまま、ひたすら無心に歩き続ける。

誰がどうなろうと、それでも生きていく。

分かっている。

(……いくら繰り返しても、慣れるものじゃない)

慣れたくもない。

思考を振り払うように首を振る。


***


正門に着いたキューナは、そこに人だかりができているのに首を傾げ、なにやらもめているその騒動を、人と人の間からのぞきこんだ。

分厚い帳簿を抱えてうろたえているいつもの若い文官の隣に、珍しくトララードまでが出てきている。彼が必死に説明をしている相手は、金庫の警備責任者ファンゾルク。ファンゾルクは尊大に腕組みをし、まなじりを吊り上げ、荷馬車を引いてきた商人にものすごい剣幕で怒鳴り散らしている。商人が何か言うたびにファンゾルクの怒鳴り声が遮る。運搬役の若い衆が、包みを肩に乗せたまま二人のやり取りを眺めて困惑顔で立ち尽くしている。

キューナは近くの青年をつついて事情を聞いた。運んできた品物と金額のずれがあり、受け取り拒否をしているらしい。当分かかりそうなその小競り合いから数歩遠ざかったキューナは、かたわらの時計塔を見上げた。

濃紺のコートのすそが音もなくひるがえる。

人知れず向かう先は――宿舎の裏手。湿り気を帯びた草を革のブーツが踏みしめ、いつかログネルと並んで見上げた血なまぐさい小屋の前に立つ。

今日はいつになく臭いがひどく鼻につく気がする。黒い双眸が、板張りの小屋の黒ずんだ壁面をじっと見つめる。

「……ごめん……」

表情もなくただひたすらに立ち尽くしていた少女の唇がわずかに動き、小さく、ぽつりと呟いた。

風に流されてきた雲の陰が、彼女の頭上から影を落す。黒髪の濃さがじわりと増していく。

不意に、少女は膝から崩れ落ちた。湿り気のある草の上に、這い蹲るようにして、小さな背を丸めた。

「たすけ、られなくて、間に合わなくてごめんなさい……!」

謝罪の声は涙声。堰を切ったようにあふれ出す涙を拭おうともせず、キューナはいきなり泣き叫んだ。

取捨選択の上、救える命を救わなかった。その責はいつも、それを判断したクウナたち上官にある。その重さも理解している。それでも、その責を負ってでも、この国の現状をどうにかしたくて――かつて少女は剣を取り、騎士になると決めた。

守りたい人を守るために。

そのはずなのに、未だにそれが完遂できた試しがない。先の大戦でも、その前も、いつもこうだ。己の無力さに、無能さに、全身を掻き毟りたくなる憎悪の衝動に襲われる。

だが、嘆いても謝っても、それでは何の解決にもならないことを、頭の中の冷静な部分が冷酷に判断してもいる。イグヤがさっき言っていた通りだ。

そして、次に起こすべき行動をさっさと考え始めている。

(……ああ、そんな自分が、大嫌いだ)

いつもいつも繰り返す禅問答。何一つ解決を見せない、何一つ進展しない、成長しない。

それでも、ここで生きていく。そう決意した。

自分で選んだ多数決だ。消極的な目標が情けなさすぎて泣きたくなるが――今は、一人でも多く生き残るために。

これまで北州に不干渉だった中央州騎士団の怠慢の、報いでもある。

誰かが動かなくては、この現状は、何も変わらないから。


しばらくして、キューナはゆっくりと顔を上げる。泣きはらした赤い顔が浮かべる表情は、先ほどまでの無表情でもなく、いつものへらへらした笑顔でもなく――勇ましい武将の顔。

「ちゃんと、終わらせるから。約束する、必ず」

少女は一人、人知れず、明瞭な声で宣誓した。


***


「ほらな」

とイグヤが言った。

先に夕食を始めていたヤサルタとキューナは、食器を持ったまま、きょとんと顔を上げる。向かいの席に座ったイグヤが、肩越しに食堂の一角を示す。

「方針、変えたらしいぜ」

「……なんだよ、あれ」

ヤサルタが戸惑いの声をあげる。

青い顔、思いつめた表情、やせこけた頬。二日前の血気盛んな様子から一変して、同じ席に座っている反抗軍(レジスタンツ)の彼らは、とんでもなくみじめそうな顔つきで、背を丸め額をつき合わせて食事をしている。

彼らの表情を盗み見て、あまり持ちそうにないのが何人かいるな、とキューナはスプーンを手に取りつつ観察する。

イグヤが肩をすくめる。

「さあ。なんかあって懲りたんだろ。昨日の階段の一件にでも居合わせたんじゃないのか」

件の一角からぶつぶつと聞こえてくる言葉の断片をこっそりと拾って――脱走志願兵に転向したのか、とキューナは気づいた。答えあわせのようなタイミングでイグヤが教えてくれる。

「今度は逃げ出す算段、練ってるらしいぜ。参加するか?」

やっぱり心のどこかで期待を捨てきれていなかったらしいヤサルタが驚いてから、がっくりと肩を落として、諦めのため息をついた。


***


その晩。深夜。

別棟の二階にある書庫のひとつ。そこに忍び込んで、改ざんされまくりの帳簿を呆れ顔で読み漁っていたキューナは、ふと何かが動いたのを横目に捉えて、明かり取りのために細く開けていたカーテンの隙間から窓の外を見下ろした。

そこで捉えた光景に、おや、と帳簿を置いて、しっかりと顔を向ける。

副宿舎の入口からちらちらと覗く複数の人影。ここ数日、食堂の一角でよく見かけていた例の顔ぶれだ。

キューナは視線を上に向ける。今日は満月。新月の日は、どれだけ目を凝らしても本当に何も見えないから、脱走の日として新月の日を避けたのは分かる。だけどせめてもう少し暗い日を選んでくれないかな、と苦々しい表情を浮かべる。

これでは、人影どころか顔までもが、誰の目からも丸見えだ。

どうしようかな、とキューナは考えをめぐらす。

追い詰められきった彼らは、多少のことでは動くことを止めたりはしないだろうし、仮に、キューナが彼らの前に出ていって戻るように説得できたとしても、この先ここで騎士として暮らす限り、彼らに平穏は訪れない。

キューナの指先が、帳簿に綴られた、そこだけ真新しい数字の羅列をとんとんと叩いた。

幸いにして、役立ちそうな情報はいくつかある。策もいくつか立てられる。

そこそこ危険な賭けだけど――

――どうしたって、馬鹿にしたように笑う、二つ上の、先輩の顔がちらついて離れない。

「出し抜く、か」

決意とともに呟いた。

帳簿を元に戻し、かたわらに無造作に積まれていた黒い布を一枚拝借する。部屋を出て、廊下を歩きながらその布を広げ、ナイフで細く引き裂いて、目と口以外の頭部にぐるぐると巻きつける。落とすかもしれない帽子はコートの下にしまっておく。久しぶりにする、隠密行動用の格好。

「……あ、そっか、最初からこの格好で動けばよかったのか」

呟いて、布に覆われた後頭部をぽりぽりと掻く。


足音を忍ばせて書庫を出たキューナが、彼らの元に辿りついたとき――

「おい、そこ、なにしてる!」

彼らはさっそく上官に見つかっていた。本棟の窓が開き、ランプに照らし出される。何人かはとっさに苦し紛れに地面に伏せたが、そんなもの、上から見たら、この月明かりでは丸見えだ。

キューナはわざとらしいほどゆっくりとした足どりで、ひそんでいた物陰から堂々と歩み出た。窓辺の上官がキューナに気づき、ランプの明かりの位置がわずかに動く。キューナからは逆光になってよく見えないが、大体の窓の位置から、相手が誰かの推測を立てる。

覆面の少女は適当な位置でおもむろに立ち止まって、片足に重心をあずけ、両手を腰のフラップに突っ込んだまま、けだるげに答えた。

「ああ、『片付け』ですよ。騒がしくしてしまったようなので、場所を移します」

突然聞こえた聞き覚えのない声に、キューナの周囲にいた全員が驚いたように震え上がる。その挙動を都合よく誤解した窓辺の人間は、ふむ、と検分するように覆面のキューナを見下ろした。

「お前、所属は?」

「ゴウキーク大佐の指示です」

舌打ちが一つ。適当に言った名前はどうやら天敵(アタリ)だったようだ。

「とっとと終わらせろ!」

と叫んで窓が閉まり、ランプの明かりはカーテンの向こうに隠れた。

「……よし、と」

周囲に静寂が戻る。キューナは言った。

「ほら、せっかくごまかせたんだから、他の人間に見つからないうちに早く立って。行くよ」

その温厚な言葉に、地面につっぷしてガタガタ震えていた面々が、恐る恐る顔を上げて――覆面姿のキューナにぎょっとなる。

「あ、あんたは……」

見るからに怪しい格好をした小さな騎士は、一人の言葉にひらひらと気安いジェスチャーで手を振り。

「別にいいよ、この人数、二手に分かれてくれたほうが私もやりやすい。今から移動するから、信用したいと思う人だけついてきて」

それだけ告げてさっさと歩いていく。不審な人物の背を眺めていた一同は、黙って顔を見合わせ――結局、全員がキューナに付いてきた。


***


耳に痛いほどの静寂。そのうちに聞こえてくる、自分の心音と呼吸音。

そこに突然、厨房の鍋を全てひっくり返したような物音。そして、それを聞きつけて衛兵が駆けつける、慌てた足音と誰何の怒号。予期していたことだとは言え、いきなり始まった騒動に、物陰に潜んでいた全員の心臓が跳ねた。

ややあって、予定通りの騒ぎを起こした覆面が颯爽とした足取りで戻ってくる。

「今のうちに行こう」

そう言って、正門とは正反対の方角に歩き出す。一人が慌てて呼び止めた。

「ま、待てよ。あの塀をどうやって越えるつもりだ?」

「説明する暇はない。信じたい奴だけついてきてと言ったはず」

覆面はにべもなく返す。その背を見失わないように慌てて追いかける若い騎士が数十人。

さすがにこの人数を連れて正門を馬鹿正直に突破するのは、キューナとしても分が悪い。それに、下手をしたら、脱走兵の幇助容疑で無関係の門番たち衛兵が処罰されることになる。

ルートを考えながら角を曲がろうとして、

「ああ、通れないな。――迂回するよ、こっち」

覆面はうろたえる様子も落胆する様子も見せず、すぐさま進路を変える。はためくコートがさっさと遠ざかっていくのを、集団はなおも戸惑いながらも小走りに追いかける。

覆面はふとかたわらの本棟を見上げ、窓に映った人影を見つけた。

「まずい、人が出てくる。――走るよ」

すぐに駆け出す。視線を前方に向けながら、自分を追ってくる足音の数を数えて、――覆面の下の目を細め、すぐに振り向いた。すぐ後ろを走ってきていた二人の少年に、この先の道を指示して先に行くよう伝えてから、キューナは一歩脇にずれて速度を落とした。最後尾でよろめくように走ってきた足の遅い少女の横に寄り、

「失礼」

「きゃ……」

腰のベルトを掴んで少し持ち上げ、ほとんど抱えるようにして走る。少女の胸元で小さなネックレスが揺れた。

「あ、あの、」

うん、と彼女の言わんとすることに先にうなずくキューナ。ベルトを握る位置を変える。――腹部に負荷がかからない位置に。

「これなら大丈夫だよね?」

「え、ええ……あの、」

し、と息を小さく吐いて黙らせる。余計な話をしている場合じゃない。

先頭二人に待機を指示したとおりの位置――小屋の影に飛びこむと、キューナは少女から離れて群集の先頭に戻った。物陰から顔を出して、本棟入口の様子をそっとうかがう。

「静かにね」

背後にそう告げて、キューナは本棟に向けてそっと足を踏み出す。

「へ?」

戸惑うような声が追いかけてくるのに、最低限の説明。腕組みをしてうつらうつらと舟をこぐ青年を指さす。

「衛兵、寝てる」

その青年の脇を抜けて、扉を押し開け全員を本棟に入れる。

「警備もこれだけずさんとは、嘆かわしいねぇ」

「え?」

「ううん」

ま、中央州時代に、そのとき詰めていた衛兵を全員出し抜いたアルコクト中将が相手では、分が悪いのも当然かもしれないが。暗い道を足音を忍ばせて歩きながら思い返す。懐かしい思い出だ。あるとき、中央州騎士団本部の衛兵長とクウナの二人だけでこっそり画策して、抜き打ちの模擬演習と称し、侵入者に扮したクウナがたった一人で騎士団本部のどこまで到達できるか試してみたことがあった。そのときもこんな覆面をつけていた。前日に市井の武器屋で購入した中古の短剣を二本持った不審者は、各所に配備されていた衛兵たちを圧倒し、廊下を歩いていた本隊の騎士たちを撒いて、悠々と颯爽と本部を駆け抜け、騎士団本部から城門の鍵を持ち出して、王城の一階広間まで無傷で辿りついてしまった。

(ちなみに、毎度のごとく、このあとウォンちゃんに結構怒られた。衛兵の幹部たちは警備の総見直しのため、臨時の会合を連日開催する羽目になったとか。)

……思考を現実に戻す。

廊下に沿ってずらりと並ぶ、閉ざされた扉を注意深く見回しながら、そういえばこのへん通ってみたことなかったけど、今度いっぺん基地内を一周してみようかな、と考える。

「……おい、どうした」

そんなささやきが背後から聞こえて、キューナは後ろに続く列を振り返った。少年が一人、うつむき立ち止まっている。その肩がわなわな震えているのを見つけ、キューナは覆面の下で眉をひそめた。

いやな予感がする。

「……外に出るって言うのに、どうして本棟に入る必要があるんだ?」

少年がぽつりとこぼした不安に揺れる呟きに、何人かが息を呑む音。足音を立てないように遅めの歩調で進んでいた集団の歩みは、ここで完全に止まった。

よりによってこんなところで、とため息をつきたいのをこらえて、キューナは渋々口を開く。仕方ない。これは最初の判断を誤ったキューナのミスだ。

「今日は満月。これだけ明るい中、外を歩くのは危険。誰が見ても丸見え。建物の中を通るほうが――」

「そ、そう言って俺たちを上官に突き出して、褒美をもらおうって魂胆だろ!」

急に駆け寄ってきた少年が、そう言って剣を抜く。つきつけられた震える剣先を、キューナは動きもせずに平然と見返す。

「不安なのは分かるけど、冷静さを失うと損するよ」

どうするのが手っ取り早いか悩みつつ、覆面で覆った後頭部を指で掻く。

「うーん……ああ、」

コートの下から小さく折りたたんだ封筒を取り出し、しわを広げて、突きつけられた剣の前に差し出す。

「な、なんだ?」

「消印見て。これでどう?」

少年は剣を下ろし、上質紙で作られた水色の封筒を恐る恐る受け取った。

「これが、どうし」

「おい、これ、今日の消印だぞ」

肩越しに覗きこんだ別の少年が、驚いたように小さく叫んだ。消印の証示部に記された伝馬局の名は、塀を越えてすぐ先の、北州州都中央局。宛先は、その局の私書箱(POB)

「今日、外に出たってこと?」

また別の少女が尋ねるのに、覆面は「そういうこと」と軽くうなずいて、少年の手から封筒を奪い取って服の下に仕舞う。

彼らが一様に険しい表情をわずかに緩めて歩き出そうとしたところで――

「――誰かいるのか?!」

――男の怒号が廊下に響いた。

群集は一斉に竦み上がる。ランプを手にした恰幅のよい壮年の男は、集団を見つけると剣を抜いて足早に歩み寄ってくる。

「何だお前ら!」

「ひっ」

「所属を――ぐ……!」

いつの間にか男の背後に回りこんでいた覆面が、男の首筋に手刀を入れた。男が白目を剥いて崩れ落ちる。

伸びた男のかたわらに落ちた帽子をブーツの爪先でひっくり返し、キューナは階級章を確認する。

一人の少年が怯えきった顔でキューナの元に寄ってきた。

「こ、殺したのか?」

「ううん。気絶させただけ。すぐに起きるよ」

男の手からランプと剣を奪って窓から外へと放り出し、覆面はすたすたと歩き出した。集団は顔を見合わせて、そのあとを追う。

一階の適当な窓から外に出て、周囲の様子をうかがいながら一人ずつ馬小屋の裏まで移動する。全員が揃ったところで、キューナが「今の要領で、今度は給水庫の裏まで行くよ」と説明した。一人の少年がぎょっとして、先に行こうとするキューナの肩を掴んだ。

「あそこには、見張りがいるはずだ」

別の少年が馬小屋の影からそっとのぞきこんで、慌てて頭をひっこめる。

「い、いるぞ!」

彼と位置を入れ替わるようにしてキューナも顔を出し、

「ああ大丈夫。あれは味方」

そう言いながら、やっぱりか、とキューナはほくそ笑む。

今日の貯水庫の見張り当番はトキルト大尉。あそこは、本棟からも宿舎からも見えない位置にあるから、彼はいつも職務を放棄して街に出かける。以前、守衛所に侵入したときに耳にした噂話だ。

だが、人通りの少ない場所だとは言え、毎週何時間も空けていればそのうち誰かが気づいて問題になる。

しかし、逆に、誰かしらが立ってさえいれば、それが誰であろうと――当番の人間ではなかろうとごまかせる。

守衛記録によれば本日は非番のはずの()が、善意から、そこの警備についているのだ。

先ほどの自分の発言を証明するように、キューナは先に物陰から出て、見張りに向かって歩いていった。

見張りと目が合う。覆面をしているが、背格好と歩きかたから、相手が誰かすぐに気づいたようだ。キューナの後ろからぞろぞろと現れる一団を見て、衛兵の青年は腰に手を伸ばそうとする。その前にキューナが立ちはだかった。彼女が腰のフラップに手を添えれば、衛兵は眉をしかめて目を閉じ、諦めたように息を吐いて、両手を下ろした。

手振りで進むように指示するキューナの後ろを、少年少女が怯えた顔で通っていく。それを見張りは黙って見つめる。

全員が貯水庫の裏に消えたことを確認してから、キューナも駆け出して後を追う。背後で衛兵がなにか言っていたが聞かないことにする。

キューナは貯水庫の裏に建つ、今は使われていない小屋のひとつの前に全員を誘導し、数人がかりで扉のかんぬきを外す。重い扉を全開まで押し開いて、全員に入るように指示した。

先ほど剣を突きつけてきた少年を呼び寄せ、

「剣抜いて」

と命じる。

「へ?」

「いいから、早く抜いて。それで、あの柱から数えて、左から三つめの板を外して」

扉から入ってきた満月の明かりに照らし出されてはっきりと見える、突き当たりの壁面を指さした。

彼の、剣の整備具合と抜き方から分かる範囲での腕前は、さっき把握した。

「この扉は私が支えてるから。ああ、誰か、つっかい棒になりそうなもの、探してきてくれる?」

その言葉に、細身の少年が身軽に部屋の中を駆け回り、すぐに槍の継ぎ柄を見つけて持ってくる。それを使って扉を固定し、キューナも壁面へと向かうと、ちょうど、指示した壁板が数人の少年たちの手によって剥がされるところだった。

「せーの!」

三人がかりで引っぱられて、べきり、と板が剥がれる。その影から、見慣れた石造りの塀が姿を現す。そしてその中央に、古臭い隠し扉がしつらえられていた。

「……と、扉だ……」

「何で……?」

呆然と呟く少年少女。

「当然だよ、これだけ広大な敷地の出入り口が、まさかあの正門だけのはずないでしょ。非常用とか、建設作業用とか、色々とね」

あっけらかんと言って笑う覆面に、たった今までずっとそう思ってきていた騎士たちはあっけにとられて固まる。

そのとき、草を踏む足音が近づいてきているのが聞こえた。持っていた壁板を放り出して、少年が扉の取っ手を握るが、びくともしない。

「だめだ、鍵が!」

絶望的な叫びをあげた少年を押しのけて、腰の剣を抜いたキューナが、錆びた蝶番ごとぶった切った。少し湿った床板の上に、重い金具が落ちる鈍い音が響く。

「どうぞ」

扉を外して脇に置き、ぽっかりと開いた暗い穴に、キューナは皆に急いで通るように促した。

「なるべく早く服を変えて、できるだけ遠くの町へ行け。実家には決して帰るな、名前も一生名乗るな。ここに戻ってきたりしたら、私がじきじきにぶっ殺すから覚悟してね。それと、私のことは一生、他言無用」

「あ、あなたは行かないの?」

驚いて問いかけた少女に、覆面は、返事の代わりにひらひらと手を振った。追い出すようなジェスチャー。

「そ、そんな……ここまで来たのに……」

「ほら早く。ご覧のとおり、いつでも出ていけるもので」

肩をすくめてそんな軽口を叩けば、彼らの顔に血の色が少し戻った。


***


一仕事終えて、追っ手も上手く撒いて、晴れやかな顔で戻ってきたキューナに、すれ違いざま、門番が聞いた。

「バレないとでも思ってるのか」

キューナは足を止め、顔を覆った布をそのままに、意地悪そうな勝気の笑みを浮かべ、門番を見上げた。

「――誰が、なんて報告するって?」

しばらく、黙って向かい合う。

本来この場所を警備しているはずの衛兵は、彼の上司であるトキルトだ。そして、その上司であるファンゾルクは、失敗一つで簡単に首を飛ばす人格破綻者。警備の代理はどの騎士団でも暗黙の了解で当たり前に行われている行為だが、厳格なファンゾルクにしてみれば、それも処罰の対象らしい。

つまり、トキルトは、警備のサボりをしているのがばれても、逃走兵を逃がしたことがばれても、処罰される。

ここで、フーヴの存在が出てくる。

トキルトは、フーヴの元上司で、未だに懇意にしている――というか、パシリ同然にこき使っている。

フーヴは右腕の欠損で武官から文官になった騎士で、今は人員管理を担当している。

つまり、トキルトが生き残る、唯一にして最も手軽な方法は、ファンゾルクに報告せず、フーヴに言って班の人数を調整することだけ。幸いにしてファンゾルクやその上の人間は、騎士の人数の増減になんて頓着していないし、当たり前に処分されて減るものだと思っている。トキルトが切って殺して、死体の処理も済ませたというのなら別段問題にはならないし、ばれることもない。

門番はまじまじと、頭二つ分以上小さい、黒髪の少女を見た。

突発的な行動のはずだ。まさかこれだけのことを、この若い騎士が全て計算してあの行動に出たというのは、考えすぎか。

「……わざと、か?」

「なにが?」

具体的な質問は、逆に情報を与えることに他ならないから、門番は逡巡する。

「どこまで知ってる」

「こうやってウロウロしてて把握できることは、大体」

両手を広げて意味深に笑う、得体の知れない少女。

門番は更に聞いた。

「なにを企んでる」

「見て分かるとおり。悪いようにはしないよ」

確かに、れっきとした救助行為だということは、門番にもわかっている。だからこそ余計混乱するのだが。

どこまでも食えない態度の小娘に、門番はそれ以上の詮索を諦めて、フウと息を吐いた。

「……俺を巻き込むな」

「仲良くしてよ」

つれないなぁ、と少女が遊び人のような苦笑を浮かべる。

門番は嫌そうな顔をして、それ以上は何も言うつもりはないというように口を閉ざした。

帽子をかぶり、夜の挨拶をしたキューナは、のんびりとした足取りでそこから歩き去ろうとして――

持ち上げた足を宙でぴたりと止めた。

ぴゅう、とごく軽い口笛の音が夜風に乗って届く。

「――へぇ、さすがだな」

聞き覚えのない低めの男の声とともに、少し離れた場所から人影がひとつ現れる。キューナの背後で、門番が剣の柄を掴んだ。

「見てたぜ、一部始終――とまではいかないが」

聞こえてくる砕けた口調の若い声に、上官ではなさそうだと判断したキューナは、門番と同じように柄を握ろうとしていた手を止める。わざとなのか、月明かりがちょうど逆光になって相手の顔は見えない。

「にしても、まさかこんな細っこい女、一人とは」

人影はキューナをじろじろと眺めた。

「ああ、これでも各班に顔が利くんだ。そんな仮面だけじゃ、その気になりゃあ、すぐに正体突き止めてやれるぜ」

迂闊な情報は渡せない。そう思って黙っていると、青年は急に語気を緩めて、力なく呟いた。

「とはいえ、俺もあんたらを敵に回したくはない。だから――逃がしたあいつらの死を伝える証拠が届くまでは、黙っておいてやる」

青年がにじませた複雑そうな語調に、脅迫目的に現れたわけではないと悟ったキューナは、つい聞いていた。

「……あの中に、誰か?」

青年の暗い瞳が、まっすぐにキューナを見た。

「親友と、恋人。同郷の後輩は一昨日死んだ。間に合わなかった。あんたみたいのがいるって分かってたら……」

不可能なもしも話を振り払うように首を振って打ち切る。

彼の心情を推し量りながら、

「こういう取引はどうかな」

キューナは人差し指を立てた。

「私は、彼らの今後の安否を調べ、連絡を取る手段を持ってる。だけど、私を殺したり、正体を調べたり、誰かに密告したりしたら、一生教えてあげない」

青年は「は?」と戸惑うような声を出す。

「バカにするな、そんなもの、ハッタリだって丸分かりだぞ」

キューナはだから、その疑念を笑うように、悠然と腕組みをして、ことさらにゆっくりと答えた。

「不可能に思う? どうして? ――まさか北州騎士団が世界の中心で、全権を掌握しているとでも? それに勝るものは絶対的に一人もいないと?」

「……あんたが何を背後に飼っているのか知らないが……せっかく逃がしたんだ、頼むから無茶はやめてくれ。騎士である俺やあんたがあいつらの所在を探せば、絶対にどこかのルートで情報は漏れる。騎士団にもその情報を知らせることになる」

苦悶の声に、簡単に想像がついた。この青年は、親愛なる彼らと一生決別する覚悟を決めて、彼らを送り出したのだ。逃げ切れず死に別れるか、あるいは、万が一幸運なことに無事に逃げ出せても――騎士である自身は、脱走兵である彼らと、一生会わない覚悟で。

すべては彼らの安息のために。

キューナは満月の夜空を見上げた。

「うーん。これを説明すれば信じてくれるだろうっていう情報も持っているんだけど、これ以上は明かせないんだよね。とにかく、そういうことだから。さすがに敷地外まで逃亡の手助けはできなかったから、彼らの安否は保障できないけど、キミとの対立はこちらとしても避けたい。一ヶ月黙っていてくれたら、連絡手段を教えるよ。そこから彼らの所在を探すことになるから、二ヶ月くらいかかるかもしれないけど。騎士団に一切知られない手段であることは保証する」

青年が動きを止めた。

「…………何て言った? たったの、一ヶ月だと?」

「うん。それだけ堪えてくれたら、キミのことを信用する」

「馬鹿かお前。奴らの安否を確認した後に、俺があんたの正体をバラしたらどうするつもりだ?」

「私の命と、彼らの命がなくなる」

キューナがさらっと告げると、「なんだと」と青年は険のある声で言う。

「そりゃそうでしょ、居場所は知れてるしキミは助けには行けないし、あの程度のあの人数くらい、簡単に殺せるよ。私に何かあったらそうなるように依頼しておくよ。それで対等だ。でしょう?」

「……とんでもない奴がいたもんだな」

青年はしばらく黙ったあとで答えた。

「ああわかった、黙っててやる。俺自身も殺されたくはないしな」

その言葉が指すものを知ろうとしてキューナが振り向けば、そのすぐ背後で門番が剣を抜き、いつでも飛びかかれる姿勢で立っていた。

青年が首を振る。

「ああ、こんなことを言うためにわざわざ顔を出したんじゃない、あんたに聞きたいことは一つだけだ」

どうぞ、とキューナが手で示すと、潜められたか細い声が、祈るように告げた。

「お前、本当に――全員無事に逃がせたんだな? 途中で見捨てた奴がいるのなら、特徴を教えてくれ」

キューナはなるほど、とひとつうなずいてから答える。

「私が合流した時点でいた人間は全員、無傷で逃がしたはずですよ。20数人くらいだったかな。逆に、その親友さんと恋人さんの特徴を言ってもらえれば、もしかしたら覚えてるかも」

「お前が別棟から出てきたところは俺も見ていた。あれで全員だ。顔に傷のある赤褐色の目の男と、明るい銀髪の女だ、最後までいたか?」

キューナは記憶を辿る。

「男のほうは左利き? だとしたら、貯水庫のところで話をしたのがそうかな。顔の傷は額近くまで伸びてる?」

「ああソイツだ、最後までいたんだな!」

「うん。えーと、女性で明るい髪色の人は……このくらいの背でおかっぱの人と、短髪で短刀使いの人と、えーと、あと、ネックレスをしたうつむきがちの」

「ソイツだ。足、遅かったろ」

「うん。でも大丈夫、逃がしたよ。一緒に来ないのかって、私の心配までしてくれた」

青年は「そういう奴なんだ」と言って顔を傾け、わずかに相好を崩した横顔が月明かりに照らされて見えた。


***


青年が宿舎に消えていくのを見送った後、キューナは顔を覆っていた布を外した。それを手早くたたんでコートの下に仕舞う。

門番が言った。

「いいのか、あいつを放っておいて」

「大丈夫じゃないかな。悪い人じゃないし」

「……案外と楽天的というか、性善的だよな」

門番の皮肉をキューナはさらりと流してうなずく。

「頭切れるし顔が利くって言ってたし、むしろ役立ちそうな人じゃない。きっと軍曹くらいだよ」

「知らないのか。ダフォン、C班の軍曹で、8年めだ」

「有名?」

見上げてくる黒い目を見返し、門番は呆れたようにため息をついた。

「そりゃな。俺たちの後くらいからの代の奴は大抵世話になってる。いま生きてる中じゃ、一番優秀な情報屋だ。奴自身の剣の腕は知れてるから、あんたなら一人でもどうにかできると思うが……情報買ってる奴は多いからな。危害を加えたことが分かったら厄介だ」

ふふ、とキューナが笑った。

「それ、なおさら放っておくべきじゃない」

「やるなら一回で仕留めて、死体の処理まですればいい」

門番の目が剣呑な光を帯びる。物騒な物言いに怯えることもなく、少女は「頼もしい」と笑んで彼の胸板をぽんと叩いた。

「どうにもならなくなったら、頼むよ」

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