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フラグ無双〜彼氏がラブコメ主人公体質で涙目  作者: 紀舟
第1章 ダーリンはモテキ編
8/20

荒れる実況席! &昼顔と角ドン?

微エロ? 苦手な方すみません。

ドンちゃん(以下ド):さぁ、始まりました。全日本モテ男選手権、第一回夕凪町杯! 実況は私、ドンファー・ジ・デローニモ。そして


風香(以下フ):解説は唯間風香、BGMは戦場にかける橋 クワイ河マーチでお送りします。


ド:…………はぁ、くわいがわマーチって何ですか?


フ:ぐ・ぐ・れ☆


ド:……すでに実況席は嵐の予感です。

まずは矢代選手のプロフィールから見て行きましょう。矢代京一選手、16歳。現在、浅葱高校に在籍中の二年生です。スペックとしてはどの分野においてもほぼ平均、とのことですが唯間さん、どうなんでしょうか。


フ:そうですね。運動、成績共に突出したところはありません。今までモテていたという情報も入っておりません。


ド:その矢代選手ですが、モテ属性を付加されまだ2時間と経っておりません。先天的モテのアドバンテージもないため、ルーキーもルーキー、今回の大会が初出場となります。


フ:ソウデスネ。出来ることなら一生モテとは無縁の生活を送って欲しかったです。


ド:まだ不慣れな能力にどう冷静な対応を取れるか、本日はそれも見所の一つとなるでしょう。


フ:はぁ……。


ド:…………さぁ! それではフィールドを見て行きましょう。現在、矢代選手は浅葱高校からの帰路の途中ということですが、ここは……えー、住宅街でしょうか。唯間さん。


フ:はい。見た通り住宅街です。


ド:さらに詳しく町のどの辺りか、というのは分かりますでしょうか。


フ:あー、道の先、左側に赤い屋根の家が見えてますねー。あの門構えにあるものがあれば場所も特定できるんで、す、がぁ……。


ド:あるもの、ですか? それは一体


フ:っと、近づいて来ました。門には――ありました! 『猛犬注意』の札と、柴犬のコロ!


ド:犬、ですか。


フ:門の中を見てみましょう。猛犬と書いてあるにも関わらず丸々と肥えた柴犬が横たわっていると思います。


ド:本当ですね。おや? 矢代選手、その猛犬コロに近づいて寝ているコロの脇腹を鉄柵越しに撫で出した。


フ:花山さんちのコロは猛犬であれ、という飼い主からの司令よりも自然体のまま万人に平等に接するという悟りの道を行かんと決めた犬です。幼稚園児であろうが強面の中年であろうが平等に、柔らかでたぷたぷな腹を撫でさせ癒しを分け与える尊い所業。ビバ、無抵抗主義!


ド:はぁ、つまりは番犬の使命も忘れて赴くままに食べた結果動けないほど肥満になり、誰が撫でようと抵抗出来なくなった、と。そういうことですね。


フ:そうとも言います。しかし彼がこの夕凪町界隈のアイドル犬であることには変わりありません。矢代くんも以前からコロのことは可愛がっていました。そして、コロのおかげで現在の場所が特定出来ました。


ド:どの辺りになるのでしょうか。


フ:荒波橋近辺ですね。現在の道をそのまま真っ直ぐ行ってT字路を左に曲がると橋に差し掛かります。矢代くんの家は橋の先にあります。


ド:唯間さんの家は矢代選手と反対方向でかなり距離もあったはずですが、随分お詳しいですねー。


フ:あ、そこ、聞いちゃう? ……片思い期間もそれなりに長かったですからねー、うふふふふふ……。


ド:…………。おっと、どうやらコース上に変化があった模様です。これは……玄関から誰か出てきました。矢代選手のお母様と同世代でしょうか。女性の方です。化粧が若干濃い気はしますが美魔女と言っても良いかもしれません。この家の奥様、花山夫人でしょうか。


フ:まっ、ちょっ、待った! 熟女? 熟女出てきた? なんか、露出度高くない?!


ド:胸元が少しはだけてますかねー。タイトスカートのスリットも際どい深さです。


フ:な、何? 何が始まるの!?


ド:何か話しているようですがぁー。


フ:音声! 何で出ない!


ド:イヤーカフにそのような機能はございません。会話の内容が知りたければ読唇術でも使ってください。


フ:そ、そんな特殊スキル持ってないっ!


ド:花山夫人、執拗に矢代選手に話し掛けていますが……矢代選手はそれに首を横に振って、これは……拒否しているようですね。


フ:そう! それでいいの、矢代くん! 大人の色香になんか負けちゃダメ!!


ド:おおっと、花山夫人! 実力行使に出たかぁ!? 矢代選手の腕を取り、家の敷地内に引き込んだっ!


フ:きゃーーーっ! 矢代くん、逃げて! 人妻から逃げてぇ!


ド:そして流れるような動作で腕をがっちり両手で抱え込みーーこれはもしや、出たぁーー! 谷間ホールドぉぉぉーーーー!!


フ:嫌ぁーーーーっ!!


ド:選ばれし者にしか会得出来ないと言われる谷間ホールドが出ました。さぁ、別角度から見てみましょう。


フ:いい! 見なくていい、見たくないぃー。


ド:上からー、アップで……。両手で相手の腕を抱え込み谷間を意識しつつ、両胸で圧迫、と。がっちり決まってますねー。


フ:何このカメラアングル! というかF! この人絶対F以上あるよっ!


ド:しかし矢代選手、必死の抵抗でなんとか脱出。やはり相手が二周り年上だったのがネックだったか。


フ:当たり前でしょ! 矢代くんが熟女好きとか人妻好きとかあり得ない!


ド:花山夫人、今の技が通じず戦意喪失か。一歩、二歩と下がり早足で家へと戻って行きます。


フ:ほっ。今のうちよ。矢代くんその場から離れて。


ド:矢代選手は落ち着きなく辺りを見回すもその場に留まったまま。……そうこうしている間に花山夫人戻ってまいりました。その手には何か持っていますね。


フ:ああっ! もうっ! 何でもいいよ、逃げて!


ド:タッパーのようですね。矢代選手に中身を見せているようですが、中身は、出たっ! 肉じゃがぁぁ!!


フ:おかんんんーーーーーーっ!!


ド:色気でダメなら母性を振りかざしてきました、花山夫人。矢代選手、拒絶するも強引に押し付けたっ! 温かい手料理もおかんの特性なら、お節介もまたおかんの特性。しかし一人暮らし経験のない矢代選手には何処までそのありがたみが通用しているのかっ!


フ:してない! 必要ないっ!


ド:流石の矢代選手も今の行動には引いたか。タッパーは返せなかったものの、一礼して走り出しました!


フ:そう、それでいいの。できればもっと早くそうして欲しかった。


ド:花山夫人の回避には成功しました、が、しかし戦いはまだ終わっておりません。


フ:は、はやく終われぇえ……。


ド:花山夫人を気にしてか、後ろを見つつ矢代選手、ダッシュ。大丈夫か、よそ見しつつ走るのは事故のも、とぉぉ?おお?これは、唯間さんが先ほど言っていたT字路に差し掛かり、左折と……これは、まさかのっ!


フ:嫌ぁぁぁーーー! 角ドンンンンンーー?!


ド:矢代選手、前方不注意により、左に曲がった瞬間、クラッシュぅぅーーっ! しかも少女、少女とです!


フ:も、もうこれ以上はっ……。


ド:いやー、実際にあるんですねー。角を曲った瞬間にドンッ! しかも、キーアイテム『食パン』もなしにやってのけるとは、流石、矢代選手。


フ:こ、こころがおれるぅぅ……。


ド:両者、道路に転倒。立ち上がれません。相手の少女はショートカット。もしかしたら学年も1つ上かも知れない大人びた美人。制服は白いセーラーですが、唯間さん、わかりますか?


フ:……私立麗蘭れいらん女学院……。


ド:なんと、清楚で有名。お嬢様校ですね。はっ! 相手の少女が気付いて起き上がろうとしてますが……きたーーーーーーーっ!! スカートがめくれてのお約束! ラッキースケベ・パンチ・ラ・シマパン!水色う゛ぁぁあーーじょぉーーんんんっ!!


フ:…………うあぁ……


ド:続けざまに、赤面、上目づかい、ふくれっ面の3コンボだぁーーっ! 矢代選手これにはやはり赤面しつつも紳士対応、右手を差し出して引き起こす。が! まだこの男は持っていたっ!


フ:うぇぇぇ……


ド:矢代選手、右足を小石に掬われ後ろに傾く。少女もつられて傾き、矢代選手を押し倒したぁぁ!


フ:ふぬぅぅ……


ド:ラストはもちろん顔面マシュマロタッチ! 少女の双山が矢代選手の顔面に乗ったぁっ!矢代選手、ノックアウトォォォ!!!!


フ:……………………。


ド:いやー、素晴らしいほどラッキースケベスキル。モテに恥じぬ戦いっぷりでした。どうでした、唯間さん。


フ:……………………。


ド:? 唯間さん? おーい……どうやら気絶していまったようです。選手、解説者共に気絶してしまったので、今日はこの辺でお別れいたしましょう。さよなら、さよなら、さよならっ!


 








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