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大切なもの×8

 私はみんなと違うのかしら?

「お魚が釣れたよ!」

 私はみんなといていいのかしら?

「よかったなあ」

 私は

「これ美味しい?」

 笑っていいのかしら?


***


 海賊「ウンターガンク」はただの集まりではない。

 かといって、悲しい過去があったとかうれしい過去があったとかでもない。

 ただそこに「海賊」というレッテルが貼られた集まりだ。

 世界を敵にまわしても自由を求める集団。

 それが『ウンターガンク』という海賊だ。


「いったん商売するかなあ」


 薄い紙を見ながらスウィンドラーは深いため息を漏らす。

 スウィンドラーの仕事とは船の整備と資金の管理である。

 

___日本で材料を買いすぎたか。あいつら在庫があるだけ買ってきやがったからな。


 薄い紙というのも簡単に言えば家計簿のようなものであり、0が少なくなっている。

 

___船の在庫に宝石とか無かったか?


 紙をお世辞でも綺麗とは言えないたたみ方をしながら船の地下にある倉庫へ向かう。


___あ、階段が錆びてきたな。取り換えるか。


 ガタイのいいスウィンドラーの体重を支えられるように階段は分厚くできているのだが、たくさん人が通る上に灯呂やティザーはドタドタと跳ねながら下りるため定期的な整備が必要になっている。


___あった、真珠と…ほかに売れるものはなかったか?


 倉庫自体に灯りがほとんどなく見えにくい状況なのだが、スウィンドラーは階段の下りる途中につけられたランプを付けぼんやりと見えるぐらいだ。


___あー、売るときには船長に許可取らなきゃいけないんだよな。


 「あー」と声を出しながらスウィンドラーは左手に紙を持ちながら右手で頭をぼりぼりと掻いた。


___上るのめんどくさいな。


 首を時々ボキリとならしながらスウィンドラーは船長室へ向かう。

 実際スウィンドラーとフェアラートは知人同士だったため特に警戒心などが芽生えることはなかったのだが、リヴに関してはまだまだ警戒心がぬぐえていない。


___あいつもいい奴なんだけどなあ。


 スウィンドラーは心底優位つ知人と呼べれる存在にいる彼を思い出しながら、同情する。


「おーい。フェアラートいる?」

「いるよー」

「今月の資金がねえからよ。商売始めねえと」

「そうか」


 スウィンドラーは船長にドア越しに話しかける。


「じゃあ、台湾についたら売れるもんないか聞いてみるよ」

「お願いする」


 「あー」とまたスウィンドラーは声をを漏らす。

 

___あいつも恵まれねえなあ。


 船長を心底嫌っていそうな同じクルーのことを考えながら。

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