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大切なもの×6

 世の中は楽しい?

「やっぱりみんなは笑顔が似合うよ」

 世の中は残酷?

「おいしー」

 みんなは幸せ?

「本当ね」

 私は今

「今度教えてー」

 幸せ?


***


 海賊「ウンターガンク」はただの集まりではない。

 かといって、悲しい過去があったとかうれしい過去があったとかでもない。

 ただそこに「海賊」というレッテルが貼られた集まりだ。

 世界を敵にまわしても自由を求める集団。

 それが「ウンターガンク」という海賊だ。


 ___海賊は犯罪者であり、裁かれるべき人間だ。

 海上軍隊一同が声をそろえて繰り返し発音する。


「第2推薦すいせん部隊。今より海賊『ウンターガンク』の追跡を命じる」


 もはやその言葉に意味はなく、戒めとしての役割しか果たしていない。


「はい、すべての意味をかけて海賊を追跡してまいります」


 昔、漣はランク外の人間だった。

 それを覆したのがフェアラートだ。

 恩など感じない。

 弱肉強食のサバンナで生きる肉食動物が草食動物をいたわらないように。


「じゃあ、解散!」


 白と青の海上軍隊らしい格好に身を包んだ青年たちは整った動きで体育館らしき建物を退室する。


「隊長。何をたくらんでいらっしゃるんですか?」


 漣と同じような境遇であり、第2部隊副隊長である『卯月うづき』はにやにやとしながら隊長である漣に話しかける。

 卯月はこう見えても数少ない女性の兵士でありむさくるしい男の集まりに花を添えているようで幹部や部隊の中でもよくかわいがられている。

 白い短髪に栗色の瞳。見ただけでは少年ともとらえられる容姿に海上軍隊独特の帽子をかぶっておりとても兵士には見えないが、戦闘の腕は漣と同等。また、銃の腕なら漣以上というれっきとした力も持っいる実力者である。

 

「その海賊の中に、いるんだよ」

「なにがですか?」


 卯月はニヤニヤした顔を崩さないままで漣の話に相槌をうつ。


「俺の恩人兼倒したい人」

「そうですかー」


 そして、こう一言


「その人は殺してもいい人ですか?」


 その時の彼女の顔にさっきの愛らしい笑顔は見えず

 彼女の顔には死んだような目と、固まったように歪む口元だけが残された。

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