大切なもの×5
甘い甘い甘い
「行こう」
汁が飲みたかった
「早くここを離れよう」
でも世界が私に渡してきたのは
「たのしみだね!」
苦い苦い
「うん、そうだね」
保存食だけだった。
***
海賊「ウンターガンク」はただの集まりではない。
かといって、悲しい過去があったとかうれしい過去があったとかでもない。
ただそこに「海賊」というレッテルが貼られた集まりだ。
世界を敵にまわしても自由を求める集団。
それが「ウンターガンク」という海賊だ。
「準備は整った。出発しよう」
準備の整ったウンターガンクの船はゆっくりと動いて行く。
「まず、『東シナ海』に向かう。で、台湾経由でインドネシアにでも行こう」
「ラジャー!」
「わかったから、耳元で叫ばないで」
相変わらず正反対の2人組は変わらないし、船長の言葉遣いも変わらない。
まるで、食物連鎖の頂点は人間だということが変わらないように。
「スウィは準備できたのかしら?」
「できてるよ。リヴの命令は絶対だしな」
「あらあら、そんなカリカリしてると血糖値上がるわよ?」
その間にも船は進んでいく。
世界から外された彼達は
「あ、見て見てせんちょー!船が動いてる!」
「そうだねえ」
まだ見ぬ桃源郷を目指して。
___待っていやがれ!海賊が。
また見ぬ地獄を目指して。