大切なもの×4
昔、世界がランクなど無かったころ
「準備はできた?」
世界は戦争をしていた
「できたよ!」
世界はやさしさと憎しみと悲しさにまみれていた
「じゃあ」
今、世界がランク付けさせていること
「出発しよう」
世界の人は知らない
***
海賊「ウンターガンク」はただの集まりではない。
かといって、悲しい過去があったとかうれしい過去があったわけでもない。
ただそこに「海賊」というレッテルが貼られた集まりだ。
世界を敵にまわしても自由を求める集団。
それが「ウンターーガンク」という海賊だ。
___日本海に犯罪者がいる。
アメリカにある本部からの連絡が「日本海上軍隊」に知らせられた。
その名も『ウンターガンク』。
ドイツ語で『滅び』という意味らしい。
犯罪者の中でも、大人しい方に分類されるがそんなことは海賊というレッテルだけですぐ見覆される。
「なんで、海賊の侵入をやすやす入れたんだ!」
ある程度の地位を手に入れた兵士は怒鳴り散らす。
この海上軍隊にとってランクは絶対であり、逆らうことのできない鎖であると同時にトラの威を狩る狐の『威』となる材料であった。
実際、怒鳴り散らしている兵士に武力など無く親のランクのために地位を手に入れただけなのだが。
___やれやれ、なんで弱い犬ほどよく吠えるんだろうねえ。
ただいまの会議には日本海を取り締まる軍の部隊が顔を連ねている。
が、その中でも強いと言われるものは実に物静かにことを聞いている。
___あきらめたらどうだい。君にこのことは任せられないよ。
時に冷静とは武器となり、情意はもろく壊れやすい鎧になる。
「五月蠅いよ。黙ってくれ」
鎧は纏っているだけで強くなれたように感じられ、身を滅ぼす。
「話を続けて」
「はい、続けさせていただきます」
「海賊『ウンターガンク』は、九州の方に船を寄せており準備をしている模様。その中でも、『ウンターガンク』のクルーとみられる2人組が燃料をたくさん買っていたというデータが残っており、早くて明日または明後日には日本海を離れる可能性が大きいとみられます。また…」
___『ウンターガンク』旧友のいたところかな?楽しくなってきた。
「また、『ウンターガンク』は我々の変化に気づいている模様です」
第2部隊隊長兼日本海上軍隊幹部である漣はうっすらとした笑みをこぼす。
日本は地形が入り組んでいるため各湾に部隊が置かれている。
その中で『ウンターガンク』が船を止めたのは『対馬海峡』付近だと思われる。
彼は『対馬海峡』の部隊ではなく『瀬戸内海』の部隊であったが、旧友との再会プラス滅多に表れない海賊というレアな獲物を見つけたため、本能は狩りたいという一身に限り理性は捕まえたいという煩悩とも言える感情に心はかき回された。
「すみません、この海賊の始末、私たち第2部隊に任せてくれませんか?」
____これからゲームが始まる。待っていろよ、フェアラート。
「なぜ、第2部隊なんだ!ここは私たちにお任せください!」
「この海賊『ウンターガンク』に旧友がいるんですよ。それに」
彼の運命はランクなど関係なく進んでいく。
「弱い犬ほどよく吠えるというでしょう?」
憧れを抱いた同期の人が悪になろうとも。