大切なもの×13
まあ、一言で言おう
「かえったわ」
なんで君は生きている?
「何だそのかばん」
世界から嫌われているかもしれないのに
「お金」
なぜ生きる?
「また…」
…すまない、忘れてくれ
***
日本軍隊。
日本を拠点に置く海上軍隊だ。
『ランクには従い、犯罪者を確実にとらえる』をモットーにしている軍隊でアメリカに本部がある『SKH』の子分のような存在だ。
追加として、『SKH』は『世界』『海上軍隊』『本部』の略である。
「隊長!化学部隊から裏切者が出ました!」
「それは本当か?」
漣は、慌てずに冷静を装い返事を返す。
化学部隊は、いい人材がたくさん集まっているためできるだけ人材を失うことはしたくないと、思いながら。
「番号4番、戦闘ロボット製造機関からアンドロイドと思われる女を連れだして逃走中です」
その後ろでは癒月が待機しており、いつでも動けるようになっている。
「共犯者はおらず、裏切者一人での実行だと思われます!」
「…わかった、さがれ」
漣は全身の神経が一気に誤作動したような、喪失感と怒気に襲われる。
自ら犯罪者になること自体考えられないことなのに、なぜ一人で実行するのか。
現実主義者である漣には、考えられない行動であったと思う。
「卯月。いけ、この際生死は問わない」
「了解しました。確実に排除してきます!」
そう一言、漣の口から出たのはその一言だった。
卯月は手を胸にあて、漣に一礼し口を開く。
「私の下僕を使ってもよいでしょうか」
「ああ、すきにしろ」
漣にとって、もう『いい人材』ではなくれっきとした『犯罪者』としての存在しか残っていない研究員のことをかばう必要などみじんも感じないためどうでもいいような声色で卯月に指示を出す。
「了解です!漣隊長の名に懸けて排除してきます!」
卯月は嬉しそうに笑うと、顔を引き締めツカツカと廊下を早歩きで戻っていく。
「あーあ、しらね」
漣は他人事のようにそう呟くと、来た道を戻りだした。
まだ誤作動した精神は正常に戻っておらず、ぶつけることのできないもどかしさに身をよじらせながら。
漣はこの気持ちをどこにぶつけるべきかすべての脳を使って考えながら。
卯月が無傷で帰って来ることを少しだけ願いながら。