大切なもの×10
何かが違う
「ぼっくたくり?」
違う違う違う
「馬鹿言わないでください」
俺は
「頭を使っただけですよ」
俺はこんな存在じゃない
***
海賊「ウンターガンク」はただの集まりではない。
かといって、悲しい過去があったとかうれしい過去があったとかでもない。
ただそこに「海賊」というレッテルが貼られた集まりだ。
世界を敵にまわしても自由を求める集団。
それが『ウンターガンク』という海賊だ。
「じゃあ行ってくるわね」
「行ってきまーす」
明るい笑顔で船を出るのはティミドとティザーだ。
その雰囲気はティザーの明るい赤をティミドのクリーム色で混ぜた優しいピンク色のように周囲を彩っている。
「お願いするな」
そんな彼女たちにつられたように周囲には同じ優しいピンク色の雰囲気が花が咲くようにあふれる。
___あらあら、リヴちゃんはしっかり者ねえ。
少し船長と間をあけながら微笑むリヴをティミドはほんわかとまるで母親のように見る。
「行こうか、ティザー」
「うん!」
二人の花は仲良く手をつないで船を下りる。
「ぼったくりはすんなよ」
スウィンドラーの忠告を少しだけ混ぜ込みながら
___今日はどこに行こうかしら。
全てがキラキラした街並みを甘く優しそうな色で包みながら
___出来れは、足がつかないところがいいわね。
ニコニコと笑う二人の笑顔と、抑揚のない機械音の会話を聞きながら
___その筋の店を当たるかしら
ティミドはその笑顔には似合わない考え事をする。
手に持っているのは真珠とダイヤ、その他様々な宝石だ。
もしものときのためのお土産として、何個か可愛い小物や髪飾り、その地域らしいものを見繕った。
「ここいいわね」
「ここ?」
「そうよ?」
二人の優しいピンク色はふわふわと店に入っていく。
ティザーがティミドの手を強く握りながら。