日常的な私のクリスマス
例えば特別なある日、今回はクリスマスだが。そんな日に、何も用事がないというのは暇なこと。
ベッドの上で横になり、携帯電話でモバイルゲーム。恋人のいない自分は、そんな感じで年に一度のクリスマスを終えてしまう。
夜になって、コンビニにでも行こうかと、街を歩けば恋人だらけ。この日ばかりは、一緒に過ごす相手のいない自分の肩身が狭い。
「はぁ」と短い溜め息を1つ。
相手がいないのは、私のせいではないだろう。
恋人がいないのは、好きになったあの人のせいではないだろう。
寂しいのは、きっと誰のせいでもないのだろう。
袋に入った大量のお菓子、パン、ジュース。家に帰ってそれらを食べれば、気分もいくらか晴れるだろう。
決してつまらない日ではなく、決して楽しい日でもない。
だから美味しいお菓子で気分は紛れるだろうし、帰りがけに1本袋から出した缶コーヒーもいつもと同じ味がする。
家に戻ったのなら時間は深夜。
真っ暗闇の自宅から、確かに何かの気配がある。
「ごくり」と唾を飲み込んで、ゆっくりと、恐る恐ると電気をつける。
なにもいない。
何も変わらない毎日は、クリスマスとは言え変化なし。
寂しいからって、動かなければ寂しいままで。
悪いことをしていなくても、良いことがあるわけではない。
だけど、1つ言えることがある。
ベッドの脇に置かれた、見に覚えのない小袋1つ。
誰かが支えてくれるから、きっと明日も頑張れる。
―――
「やれやれ、あとちょっとで見つかる所だったぜ?」
「見つかるかもしれないリスクがあっても、人に夢を与えるのがサンタクロースでしょう?」