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防具も換装できちゃいます

 雫はどうやら《武具生産者》という本当に武具製作に特化した職業みたいで、ほかに取ってるメインスキルが【隠密】だけなのでまともに戦うことはほとんどないみたいだ。

 一応鍛冶で使うこともあるという理由でハンマーこそ所持しているけど、【槍・斧使用】スキル(なぜかハンマーは斧の分類らしい)がないので意味がないということだ。


 そんな雫と渓谷をさまようことおよそ二十分。

 雫の分まで戦闘をしている私はそろそろスタミナが限界に近くなってきていた。

 一応このゲームにもスタミナがあって、走ったり、戦闘を行うとかなりの値が減るみたいだ。

 そういえば兄さんが【生存】スキルがどうこうって言ってたなぁ。

 でもないものは仕方ないからとりあえずいったん休憩をとらせてもらうことにした。


「結衣さん、本当に初心者なんですね。確かにそんな選択はめったなことでしないから《換装師》なんてクラスは見たことないです。って言っても私も前作を始めたところで当選したんであんまり詳しくはないんですけどね」


 そういって微笑んでいる雫はエルフの女性だ。

 元々が低いのかどうかは分からないけど身長はかなり低めで、髪の毛の色は朱色みたいな感じ。

 はっきり言って可愛いけど、言い方を変えれば童顔な気もする。


「うん。私は兄さんにID貰っただけだから……。初めて数時間の右も左も分からない初心者です!」


「初心者にしては動きとか、スキルの使い方とか、うまいですよね。それに、武器をたくさん扱えるって言うのは生産職人としてはとてもすばらしいことと思えます」


 そういわれて思い出した、私が装備できそうな防具を持ってないかを聞きたいんだった。


「そういえば雫。私でも装備できそうな防具ってないかな?ステータスは見ての通りなんだけど……」


「ちょっと待ってくださいね、なるほど、DEXとINTに振るのが《換装師》なんですね。それだったら防御力は高くないですけど、射手や魔法使いの防具が良いと思います。でも武器はDEX依存なのに防具は違うなんて、もしかしたら二次職になればそうなるかもしれないですね」


 そういえば考えたことがなかった。確かに武器だけがDEX依存って言うのは変な気もする。

 でも二次職って言うのが何なのか分からなかったので説明を求める。


「二次職って言うのはレベルが20以上で固有スキルの熟練度が一定以上のときに職業を昇格させられるんです。最大で五次までありますけど、二次と三次は固有スキルの強化がされることが多いらしいです」


 なるほどなるほど。ということはまだこの先防具もDEX依存になる可能性が無きにしも非ずって感じなわけね。


「20かぁ、今13だからそんなに遠くないのかも。確かにこの先その可能性はあるけど、今は装備できるものが限られてるから、何が探してみるね」


「あ、結衣さんが装備できそうなものならいくつかありますよ?練習で生産したものですけど、良かったら貰ってくれませんか?」


「え、いいの?」


 なんだか凄いラッキーをした気がする。

 結局装備できそうな防具を三つほど貰ってしまった。

 レベル10の段階で持ち物の上限が増えていたのでまだまだ余裕はあったから大丈夫。


「そういえば、兄さんは武器の取替えをするスキルが【換装】って言ってたけど、防具には応用できないのかな……」


 疑問を持てば即実践。私の単純な考えの一つだ。

 まずはさっき貰った防具の一つである《ドレスローブ》を《召喚用アイテム袋》に入れ変えて準備完了。


「行けるかな?【換装】《ドレスローブ》」


 防具を意識して【換装】を行ってみた。

 すると、特に防具が外れた感覚もないままに気がつくと身に纏っていた《絹の服》が《ドレスローブ》に変わっていた。


「凄いです! 防具にも適用されるんですね!」


 私が一番凄いと思う。だって【換装】なら着替えを見られることはないし。


「防具にも適用されるんなら、戦っている相手の攻撃属性に応じて臨機応変に変更できて便利ですね。多種類の相手と戦うのに便利なスキルですね」


「うーん、攻撃属性って言うのがあんまりよく分かってないけど、でも相手の攻撃に強い防具を選択できるって事ね」


 召喚できるアイテムは今のところ事前に選んでる8種類だけだけど。


「そうですね、【召喚魔法使用】スキルの一部ならそのうち《召喚用アイテム袋》の外からでも換装できるようになるはずですし、凄く便利になると思います」


「手持ちが増えて、手持ちから換装できるようになれば完璧よね」


「早い段階で次元庫って言う場所から召喚できるようになるはずなので、【換装】も同じだと思いますよ」


 次元庫、そういえば兄さんが言ってた様な。

 鍵を持っておけばいつでも倉庫が使えるって言う便利なものだったかな。


「とりあえず、【換装】のスキルレベルを上げればもっと便利になるってことね」


 今のところはそれが最優先の課題かもしれない。


「さて、休憩終わりにして先にいこっか。結構奥まで来たからそろそろ採掘場所も近いんじゃない?」


 まずは目の前の仕事を終わらせてしまおう。

 






 それから数分後、渓谷にはカキンカキンという採掘の音だけが響き渡っていた。


「思ったより上質な鉱石が取れます。いいところだとミスリル銀、それ以外にも鋼鉄とか、ダリア鋼とか、かなりの数です」


 雫はどこから取り出したのかつるはしを持って岩壁の割れ目を掘っている。

 鉱石の山を作ってはアイテム袋につめ、鉱石の山を作ってまた詰めるの作業をひたすら繰り返しているだけだ。


 どれだけアイテム欄多いんだろうとか考えながらずっと見ていたら大体詰め終わった雫がこっちに来て色々と教えてくれた。


「これが一番一般的な鉱石の鋼鉄です。レベル30くらいまではこれを加工した装備が多いですね。次がダリア鋼。これはそこそこ上質で、レベル40くらいまでの装備を作れます。後は合金に加工したりすることも多いです。そしてこれがミスリル鋼で、中級の冒険者用の装備までは対応できます。ただミスリル銀自体は色々な加工を経てミスリル聖銀にまでしてしまうことが多いです。最上級の聖銀の一つなんですけどね」


 よく分からないけど、生産系が何一つ出来ない私からすると凄く頼もしい。

 言い忘れていたけど、お願いをしてみる。


「あの、雫。良かったらフレンド登録させてもらえない?」


「いいですよ。私からもお願いしたいです。実はフレンド0人なので……」


 ここまで優秀な人がフレンド0人って言うのが意外だったけど、やっぱり色々と前作からのつてがないと厳しいことが多いのかもしれない。

 これで私のフレンドは二人。

 兄さんであるファングと武具生産職人の雫だ。


「ありがとう。よろしくね!」


「こちらこそよろしくお願いします」


 こうして私は初めて自分で知り合ったフレンドを見つけた。





 その後私たちは渓谷を抜けて、新しい街へと到着した。

 でもそこについた時点でリアルの時間はすでに十二時に近かったので私は落ちる事にした。



▽現在のステータス

 レベル:15

 職業:換装師

 

 HP:161

 MP:186

 STR:0

 DEX:43

 LUK:0

 INT:19

 VIT:0

無傷で渓谷を乗り切っちゃった・・・

とりあえずここまでが導入部分になります。

次回は数日後の話です。

結衣は一体どこまでレベルが上がったのでしょう・・・?

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