第三二話 たなばた!
およそ一ヶ月ぶりの更新なわけですが
すいませんでしたああああああああ!
忙しくて忙しくて……
まあとりあえず本編どぞ。
「さあ、早速質問だが統輝君! 今日は何日だ!」
「七月七日です!」
そう、つまり今日は……
『七夕だーーーーーーー!』
この時期に七夕の話? とか言わないで。
「さて、とりあえずは短冊などの用意だが……遠野さんに押しつけておいたから問題ねえな」
恭夜先輩が俺たちにサムズアップする。
なるほど。それは合理的な判断だ。
「どの辺がですか……」
影乃が少々呆れたといった風な表情をしながらツッコミを入れてきたが無視しよう。
「まあ、とりあえずその辺の楽しみは夜までとっておくとして……問題はそれまでどうやって時間を潰すか、だ」
現在の時間、午後四時三十分。
まだまだ星が見えるまで暗くなるには時間がある。
「割愛すればいいんじゃないの?」
部長さんがそう提案する。
「読者はそれでいいけど俺たちは今を生きてるんだが」
ごもっともで。
「とりあえずボーッとしておきましょうよ☆」
かざりがグデっとした体制でそう言う。
ボーッとて……お前……
「前話のあの雰囲気を忘れたのか……!」
鴎星が物凄い迫力でそう反応した。
気持ちはよくわかるぞ鴎星よ。
「ま、まあ、お菓子でもどうぞっ♪」
かざりが目を泳がせながら鴎星にドッグフードを差し出した。
「ったく、しっかりしろよ……うん、意外とイケるーーワケねえだろコラァっ!」
うわぁ食べたよ、体張るなぁ……
つーか何でかざりはそんな物持ってんだ。
「この為だけに持ってきたに決まってるじゃないですか☆」
用意周到だなおい。
「まあ、それはともかくとしてカップケーキ焼いてきたんですよ♪ どうぞ」
「……ドッグフード味?」
「残念ながら違います」
鴎星は一瞬躊躇するものの、しぶしぶと口に放り込んだ。
「たくあん味です☆」
「せめてもっとリアクション取りやすい味のものにしてくれよ!?」
中途半端過ぎるわ! と叫んでから鴎星はカップケーキをさらに手に取りオレの口にぶち込もうと行動を開始する。
「やられんy「あ、手が滑ってバナナの皮が」ーー恭夜先輩っ!?」
バナナの皮に足をとられた瞬間を狙われ、オレは口の中へカップケーキを詰め込まれる。
「あ、言い忘れてましたけどたくあん味は一つだけで残りは普通です☆」
「先に言えよコラ!」
うん、普通にうめえ。
あ、もうネタ無いからカットで。
**********
「ふむ、日も暮れたわけだが遠野さん。準備は出来ましたか」
「もちろんよ!」
遠野さんがセンパイの言葉に対し、即座に答えた。
え? 割愛した部分も見せろ?
やだよ面倒くさい。
さて、現在この場ーー用務員室の近くだがーーに来ているのは、遊戯部メンバー・小研三人組・遠野さん・詩乃、このメンバーである。
さて、遠野さんが用意してくれた笹に短冊を結ぶわけだが……
もちろんみんなの願い事が気になる訳である。
……さて、まずは……って短冊にいくつかもう結んであるな。
オレ達はまだ誰も結んでいないから……誰だ?
「……とりあえず一枚……えー『結婚』」
……これは用務員の旭さんかな。
あ、やっぱりか。ちゃんと名前書いてた。
それにしても、短冊から既に必死さが伝わってくるな……
なんかこう、オーラ的なものが。
「遠野さーん」
「んー? 何、統輝くん?」
「ちなみに旭さんはどこに?」
「木瀬さんと合コン」
「……ああ」
ちなみに残りの二人は、遠野さん曰わく『その辺でイチャイチャしてるんじゃない?』とのこと。
用務員さん達は今日も平常運転のようだ。
……うん。
「所で遠野さんはどんな願い事を書いたんですか?」
「え? 秘密だけど」
「そうですか……あ、あんな所にUFOが!?」
「え、どこどこ? ーーって、しまった短冊取られたぁ!」
チョロい。
……いや、チョロいと言うよりバカだろこの人。
あんな手に引っかかるのは昔のマンガの登場人物位のものだと思うが。
「えーっと『簡単なウソに騙されない』……諦めて下さい」
「酷くない!?」
いや、そんなの願われても、願われた方はたまったもんじゃないですよ。
それに遠野さんからチョロさを無くしたらなにが残るんですか。
「泣くよ? 私泣くよ? いい大人が周りが引くぐらい大声で泣くよ?」
まあ、そんなチョロい人は放っておこう。
「え、スルーなの? フォロー無し?」
さて……次のターゲットは。
って、みんな一カ所に固まってんな。
「ふう……まあコレで良いかな☆」
かざりが書き終えたようだ。まあストレートに聞くか。
「かざり、何て書いたんだ?」
オレが訊ねると、かざりは短冊を突き出す。
『有罪』
「どういうことだよ!?」
そしてそこでドヤ顔をする意味も分からん。
「コレを受けてのふーちゃん☆」
かざりがそう言うと今度は文深が短冊をオレに突き付けた。
『それでも私はやってない』
「繋げんな!」
願い事で会話すんなよ。ていうか願い事じゃねーしソレ。
まったく……仕方ない、ここは影乃の常識的な解答を見て落ち着こう。
『勝訴』
「勝っちゃった!」
再審で無罪になったのか!
というか影乃、お前だけは信じていたというのに!
「甘いですよ統輝先輩……」
影乃がニヤリと笑う。
クソ……関西人に毒されてきてるな。
「関西人ディスってんじゃねーですよ……!」
「ふーちゃん日本語がおかしくなってますよ」
くっそ……くっそ……!
影乃のやつ……最近腕上げてきたからなぁ。
まあ良い次は詩乃達にでも聞くか。
「詩乃は何て書いた?」
「んー? はい」
『母の性格をなおして下さい』
「笑えねえよおおおおおおおおおおおお!」
ボケなのかそうじゃないのかわからんぬわ!
「日本語おかしいよ統輝。あと七割ボケだよ」
「三割マジじゃねーか! 野球だったらけっこう凄い選手の部類だよ!」
「その例えはよくわかんないよー」
「オレも自分で言ってて何が言いたいのか分からなかったよ!」
こういうボケが一番怖い。どうも、三沢統輝です。
「ふう、よしそこでニコニコしている姫よ。お前は何と書いたんだ」
『潰す』
「何を!?」
「そ、そんな……言わせないで下さい」
「……潰す、の後にくっついてる言葉は?」
「潰す (社会的に)」
「潰す (会社的に)の間違いだろ」
「統輝に座布団一枚で」
詩乃は会話に入ってくんなよ……ややこしくなる。
「地味に酷くない?」
というか姫、願い事じゃなくてそれは実行予告だ。
それにしても姫までボケに回るとは……
そんなニコニコ顔で言われると起こりたくても怒れない。
何なんだ今日は……全員がボケに回るとは。
「さて、次は俺の番だろ? ほら短冊」
よーし次は三年生だな。
「おーい、統輝ー?」
おっといつの間にかちょっと離れた場所に。
「統輝くーん? 聞いてるー?」
早速行きますか。
「鴎星……」
「詩乃、やめろ、そんな目で見るな……!」
「……ちなみになんて書いたの?」
「え……『ホモ』」
「……そっか」
「うおぉい! 引くなよ、ネタだから。ちょ、マジで! 姫もなんか言っtーーおいやめろ二人ともその目やめて下さいマジで泣いてしまいます」
「身を削ったボケをスルーとかキミは鬼畜か」
センパイが行っている意味がオレには分からんな。
で、センパイはどんな願い事を?
「うむ。これだ」
『料理を上手くなる』
「ああ、ネタですか」
「いや、ガチだが……」
「えっ?」
「えっ」
沈黙。
「で、瑠璃先輩は?」
「うおい! スルーか!?」
「私はコレです」
『印税生活』
「だから反応しにくいネタやめて下さい!」
あんた小説書けねえだろうが!
「いや、過去の作品でも相当売れる自信があります……!」
「ドヤ顔やめてくれませんか? 殴りますよ? あと、どこからその無駄な自信が湧いてくるんですか? 頭沸いてるんですか?」
「自分……天才ですから……!」
「パクリ、ヨクナイ」
まあ実際に出したら売れるであろうというのが恐ろしい。
……さて、残る二人はどちらから行こう。
「……俺からいくさ」
恭夜先輩がそう言いながらオレに短冊を突き出す。
何かテンション低いな。
『大学受験合格』
「ガチ過ぎて何も言えねえ!」
そのテンションも納得だよ!
「もうな……受験勉強しんどい」
「みんな思ってますから我慢して下さい」
「……せやな」
「謎の関西弁頂ましたー。そして恭夜先輩の目からハイライトが消えたが気にしないー!」
そんなに悪くなかったと思うんだが……この人の成績。
その考えに気付いたらしく部長さんが、
「いや、三年の女子組は全員志望大学一緒だから……」
と言って苦笑した。
……三人は学年トップクラスだから、大学も良いところを志望しているのだろう。
だが、恭夜先輩は三人ほど勉強が出来る訳では無いので……
「ふう……(遠い目)」
率直に言うとヤバいみたいだ。
まあなんだ。触れない方がいいよな。
「で、ラストです部長さん」
部長さんは、はい、と言って短冊をオレに渡す。
『レバ刺し復活』
「おっさんか!」
レバ刺して! レバ刺して!
おっさんじゃねえか!
そんな事言うから年寄りkーー
「あ゛?」
「ごめんなさいでした」
恐怖とは真理なり
後世にこの言葉を遺していこう。オレはそう心に決めたよ、今。
「まあとにかく! 何でも良いから全員書き直せよ!」
それぞれが適当に返事を返す中、センパイがオレに問いかけてくる。
「ふむ。ところで統輝君はどんな願い事を?」
「ああ……『メタ発言をこの作品から無くす』
『………………無理だな』
…………………………ですよねー
**********
子供達が家に帰った後、私は一人佇む。
「用務員というより、近所のお姉さんっていう感じのポジションだなぁ」
そう呟き、一人苦笑する。
……ふと飾られている短冊が目に入る。
「『こんな日常がずっと続きますように』」
名前の部分が笹の葉に隠れているので誰が書いたのかはわからない。
ただ一つ言えるのはその文字にはどこか、特別な感情が込められている、そう感じるということだけだ。
「……みんな、青春してるなぁ」
そう呟くと同時に、携帯電話から音が鳴る。
「もしもし? ああ旭さん……飲み過ぎですよ。え? 今回も駄目だった? そうですか。で、今何処にいるんですか? 駅前……分かりました。迎えに行きますからじっとしてて下さいね。はい、はい……それじゃ」
私は一つ息をついてから伸びをする。
まあなんにせよ……
「楽しめよー。少年少女たちー」
なんて言ってみたりしながら、酔っ払い二人を迎えに行こう。
はい、Setsuです。
前回更新から一ヶ月も開いてしまったわけですが……
まあ次回以降も不定期になってしまうかと思われます。
よっぽど間があくときは何かしらで報告いたしますので……
そういえば、一万pv達成ですよ! 一万PV!
まあ正直一年やってれば、ね……
なんにせよ、読者の方々には感謝を!
それでは、次回も稜高学園一同お待ちしております!




