第二三話 に・ち・じょ・う
久々の更新。
すみません、テストで遅くなりました。
エタらせはせん! エタらせはせんぞおおおおお!
「ジューンブライドって憧れますよね☆」
そんなかざりの言葉に、影乃が反応する。
「まあ、そうですね」
影乃だけでなく、部長さんとセンパイも頷いている。
……うーん
「男子は全然興味が無いけどな」
オレがポツリと呟くと、鴎星と恭夜先輩が頷いてくれた。
そんなオレ達を見て、女子勢が、ええー、と声を漏らす。
「んー……やっぱり男女差は大きいのかしらねぇ」
まあ、感性の差はあるんだろうなぁ。
いや、まあ無かったら、それはそれで怖いんだけれど。
女子の事はわからんが、少なくとも男子は気にする奴少ないだろ。
……つーかセンパイもそういうの気にするんだなぁ。
「む、失礼な。これでも一応女子だぞ」
いや、なんか意外だ。
「てゆーか、なんで六月に結婚すると幸せになれるって言われてるんだ?」
鴎星がそう問いかけてくる。
そういえば何でだろうな。知らないんだが。
「「「「「「「………………」」」」」」」
「……あれ、誰か知ってる流れじゃねーの? これ」
まさかの全員が沈黙だった。
いやいやいや、女子勢知らないのかよ。
「え? 知ってるけど言わなかっただけですよ★」
「『★』じゃねーよ。すぐに言えばよかったじゃねーかよ。無駄に数行使ったじゃねーかよ」
「それはまあ、ノリでっ!」
まあ、どうでもいいんだけどな。
「で、どうなんだ」
オレがもう一度問うと、影乃が答える。
「確か……ギリシャ神話の最高位に位置する女神様の守護する月が六月だから、六月に結婚するとその女神様の加護を受けられるから……だったと思います」
「「「へー」」」
男三人がそう声を漏らした。
やっぱり行事とかイベントとかは神話とか宗教が基になってるのが多いよなぁ。
「バレンタインとかもそんな感じだったよな」
恭夜先輩がそう呟く。
「あれはちょっと違うでしょ」
部長さんがそう言うと、恭夜先輩が「そうだっけ?」と反応する。
「あれはキリスト教徒の名前がついてるだけよ」
「あ、そうか」
バレンティーノっていう人の英語名だったっけ?
確かそうだ。
そんな会話をしていると、不意にかざりが、そういえば、と言う。
「さっきも言ってましたけど、男の人と女の人で感覚ってやっぱり違うものなんですねぇ☆」
「まあ、そりゃあ、な」
むしろ一緒だったら怖い。
「まあ、記念日とかには疎いよな」
オレの言葉に、恭夜先輩がこくこくと頷く。
「でも最近はそういうの気にする人も増えてません?」
あー……まあ確かにな。
そういう奴らも結構増えてきているのも事実だろう。
特に彼女持ちが、な。
「うーん……でも、オレはあんまり理解出来ないんだが。鴎星はそこのところどうなんだ? やっぱり変わるもんなのか?」
オレが鴎星に振ると、うーん、と唸る。
「そういえば気にしてないが……影乃は覚えていて欲しいタイプか?」
「ふぇっ……!? ……えっと……まあ、誕生日と、あと付き合い始めた日を覚えてくれてたら……その、嬉しいです」
急に話を振られた影乃は、顔を赤くしながら控えめに答えた。
「そっか。じゃあ覚えておくぜ」
そう言って鴎星が微笑むと、顔を赤らめたまま影乃がはにかんだ。
なんだこのバカップルは……
ちくせう……リア充爆ぜろ……!
「……なんでしょう。一瞬のうちに周囲の目線が絶対零度に……」
「……気にしたら負けだぜ?」
「「「「「リア充め……」」」」」
「うわーお。堂々と口にしやがった」
「深爪しろ、鴎星」
「タンスに小指ぶつけろ、鴎星」
「ふむ、腹痛に襲われろ、鴎星君」
「階段で躓いてください、鴎星先輩★」
「両足同時につってちょうだい、鴎星君」
「集中砲火じゃねーか!? なんで俺だけなんだ!?」
オレ達は、フッ、とシニカルに笑ってから答える。
「「「「「なんかおまえだけ腹立つ!」」」」」
「理不尽すぎる!?」
「ふむ、人徳の差だな」
そのセンパイの言葉と同時に鴎星が落ち込み始めるが、オレ達は無視して会話を続ける。
……影乃もスルーしてるじゃねぇか。それでいいのかカップルよ。
いや、まあノロケ見せつけられんのもアレだから好都合なんだけど。
だが影乃よ。その行為によって、微妙にだけどさらに鴎星が凹んでいるんだぞ。
まあ、確信犯だろうから突っ込まんが。
「記念日といえば、なんか記念日をやたらと作りたがる人って居ますよね☆」
「あー……居るなぁ。でも、そういうの聞くといつも思うのがさぁ、記念日って多すぎるとありがたみが無くなるよな」
オレの言葉に、全員が頷く。
「……消しゴムを初めて使い切った記念日」
恭夜先輩がいきなりそう呟く。
「……オレ未だにその記念日経験してないッス」
ちっさくなると確実に無くす。机から落としたときに消えやすいよな。
「初めてマンガの単行本を全巻揃えた記念日」
「超どうでもいい……」
「二丁目に中田さんが引っ越してきた記念日」
「最早どうでもいいっていうレベルじゃない!?」
「誕生日」
「唐突にどうでもよく無くなった!? てゆーかそれは普通に記念日ですから!」
「遠野さんがこの学校に初出勤した記念日」
「どうでもいいのか、どうでもよくないのか分からない!?」
「オレ達がこの広大な世界で出会えた記念日」
「その言い方なんか腹立つ!」
「%$★◎#♪■」
「日本語でお願いします!」
「コレなんのコントよ……」
「私に聞かないでください、部長さん☆」
かざりと部長さんに、呆れたような視線を向けられている。
恭夜先輩は部長さんに、フッ、と笑いかける。
「おいおい千紗都、妬いてるのk「あ?」スイマセンごめんなさい調子乗りました」
流石恭夜先輩、高速の土下座だ。
それにしても今のは怖い。怖すぎる。
まさにツンドラの視線。ゾクゾクするな。いや、別にそんな趣味は無いけど。
「いやー……それにしても……」
「「「「「「「暇すぎる……」」」」」」」
「ホント……グラウンドに謎のクレーターって……ドユコト?」
部長さんの言葉に、オレ達は遠い目をしてその惨状を思い出す。
朝、投稿したとき、かなりの大きさのクレーター×6があったときは驚いたなぁ。
出勤してきた新任教師が、カバンを落として顔を真っ青にしながら放心状態になってたよな……
え? 新任以外の教師達?
そいつらと生徒達は、一瞬呆けてから『気にしたら負けか……』と思いながらそれぞれ職員室やら教室やらに向かっていった。
慣れって凄いよな。……大体のことをそれでどうにか出来るから。
まあ驚きはするけれどな。
「慣れ……か」
センパイが何かに気付いたように、そう呟いた。
…………
「センパイ、言っておきますが、慣れることが不可能な物もありますからね?」
沈黙。
「……はっはっは、大丈夫だ。あれくらいなら慣れーー「るわけないでしょ? ユキちゃんの料理はこの世の理を超越してるのよ?」ーーくすん……」
うん、無理。
いや、マジでセンパイの料理だけは無理だと思う。……いや絶対に無理だと断言できる。
「…………なあチサ……何故か目から汗が止まらないんだが…………」
「なんでかしらね?」
「いや、すっごい不思議そうな顔してますけど、原因の一人ですから」
「えっ」
「えっ」
あ、鴎星復活したんだな…………ちっ…………
「舌打ちすんじゃねえよ……」
「心読むなよ」
「「「「「「いや、思いっきり口に出してたから」」」」」」
「えっ」
「「「「「「えっ」」」」」」
ナニソレコワイ。
閑話休題
ズズズ……とお茶をすする音が重なる。
「ふぅ~」
「「「「「「…………」」」」」」
「ズズズ……」
「「「「「「………………」」」」」」
「はふぅ~」
「「「「「「……………………」」」」」」
「…………さっきからどうしたの? みんな」
オレ達の視線に気付いた部長さんが、そう声を掛けてきた。
「「「「「「い、いえ何も!」」」」」」
「? そう」
…………言えない!
オーラが急に、くつろいでる老人みたいになった、なんて言えない!
確実に殺される。
忘れよう。うん、忘れよう。
ズズズ……ふう。……うん美味い。
いやー、たまにはのんびりとするのも良いな。
「そうそう、今日さ」
恭夜先輩がそう切り出す。
「なんですか?」
「ああ……実はな」
「「「「「「「ごくり……」」」」」」」
「自販機でジュース一本当たったんだ」
「えー、マジっすか。良いですねぇ、オレ一回も当たったことありませんよ」
鴎星が羨ましそうにそう言った。
そして、それに続くように部長さんが
「それはテンション上がるわねぇ」
「上がったなぁ」
「やっぱり?」
ズズズ……
「あ、そうだ、おせんべい持ってるんで、よかったら食べてください♪」
「あ、さんきゅー」
「……はむ……ん、お茶と合うわねぇ」
「うむ」
「いや、急に抜けすぎでしょう……色々と」
影乃が唐突に呟いた。
「うん? かげのんどうかした?」
「こんなのんびりする人達でしたっけ? みなさん」
「こんなもんじゃね?」
恭夜先輩がそう言うと、影乃は勢いよく否定した。
「いやいやいや! ……まあ、もうとりあえずソコは置いておきます」
ふう、と一つ息を吐く
そして次の瞬間、影乃が大きな声で叫んだ。
「会話の内容アレすぎですから! まったりし過ぎですから! 日常って言っても日常過ぎて誰も読みたくありませんからね? ていうか、マンガと小説における日常物って全然日常じゃありませんよ? というかそんな日常過ごしてる人いたら驚きですよ! 話を戻しますけど、他にも恭夜先輩の『ジュース一本当たったんだ』とか強調する意味が見あたりませんからね! 普通にサラッと流せば良かったじゃないですか!!」
一息で言い切った影乃は、息を整える。
それにしてもこの影乃、やり手である。
「流石かげのん……見事なツッコミや……」
「どこから沸いてきたんですか……そしてそれだけのためにここに来たんですか……」
それにしてもこの文深、芸人である。
「いや、違いますから。ふーちゃん別に芸人じゃないですから」
「えっ」
「えっ」
再びお茶をすする。
「なんかもうどうでも良くなってきました……」
影乃が疲れた顔をして席についた。
それにしてもこの影乃、苦労人である。
「まあツッコミキャラはそんなもんだろ」
恭夜先輩の言葉に、影乃がため息をつき、オレ達は苦笑する。
「たまにはこんな日も良いだろ」
「そうね」
お茶をすする音が、もう一度重なったのだった。
はい、Setsuです。
前書きでもいいましたが、遅れてスミマセンでした……
今回の話は……まあ迷走しまくったよねw
最初はジューンブライドで一話保たせようと思ったけど、全然駄目で、記念日で終わらせようとしたら、これまた駄目で、結局こんな感じに。
まあ、気にしたら負けだよね! うん、きっとそうだ! そうに違いない!w
それでは感想・アドバイス待ってます!
次回も稜高学園一堂お待ちしてます!




