表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/33

第一五話 Dear my……『独白。そして』

さて、詩乃と影乃の関係の説明回。

分かりにくかったらスミマセン……



授業も終わり、早々に帰ってしまう者、部活に向かう者、教室で駄弁る者、どこかへと遊びに行く者、など、様々な生徒達で騒がしくなる。

そんな中、オレ、鴎星、詩乃の三人は、遊戯部の部室へと向かっていた。

「「「…………」」」

無言。

何故、こんなにも喋らないのかというと……詩乃だ。

詩乃が、目を伏せて、どこか沈んだような雰囲気のまま歩いている。

これによって、オレと鴎星は黙らざるを得なかった。

そして、無言のまま歩き続けると、ついに部室だ。

オレが扉を開けると、中では先輩三人組が会話をしている最中だった。

「あら?統輝君と鴎星君。その子は誰かしら?」

部長さんが詩乃を見て、首を傾げる。

「あ、えーっと……」

しまった。

どう説明したら良いのか分からん。

すると、オレの思考を察したらしい詩乃が、自ら説明する。

「……実は、遊戯部に所属している、涼村影乃さんとお話がしたくて……あ、私は光坂詩乃と言います」

部長さんは詩乃の名前を聞くと、何かを思い出したような表情をする。

「ああ。どこかで見たことある顔だな~と思ったら,統輝君達の友達じゃない」

雪奈センパイは部長さんと同じように、納得したという風に頷き、恭夜センパイは、そんな二人を「……直接会ってないとはいえ、流石に、後輩の親友くらい覚えておけよ……」と、苦笑していた。

「ん?ちょっと待て……なあ千紗都、影乃ってさっき……」

恭夜センパイが、突然何かに気付いたように、部長さんに確認を取る。

「ん~?…………あ」

部長さんも何かを思い出したらしい。

部長さんは、テーブルの上に置いてある、自分のケータイに手を伸ばし、その画面をオレ達に見せながら、困ったように笑う。

その画面には、こう書かれていた。


『すみません。

今日の活動は休ませて頂きます』


と、簡素な文面。

送信者は、やはり影乃。

「こ、このタイミングでかよ……」

オレがそう言って額を抑えると、鴎星が口を挟んできた。

「違うぜ。『このタイミングだからこそ』だ」

ーーああ、そうか。

……アイツ、オレ達の行動を予測したんだろうな。

それほど詩乃に会いたくないらしい。

無言の空間になる。

詩乃はその事実を突き出され、困ったような、それでいて哀しんだような、そんな笑みを浮かべている。

そんな中、部室の扉が開く音。

かざりだ。

「……えーっと。お邪魔でした?」

「いや、問題無い」

鴎星がそう答えると、かざりはほっと胸をなで下ろし、自分の席へと座った。

また無言。

しばらくすると、詩乃が覚悟を決めたように、オレと鴎星に向かって問いかける。

「……知りたい?かげと私の間に何があったのか」

オレ達は言葉に詰まる。

知りたい。

だが、オレ達がソレを聞いて良いのかが判断出来ない。

遠慮……しておいた方がいいのだろうか?

ーーいや、違うよな。

コイツがこんな事を言うのは、本当に教えてもいいと思っているからだ。

そして、この質問の内容を言い換えるならば『あなたは私を親友だと思っていますか?』だ。

どういうことかって?

簡単な事だよ。コイツはオレ達に、自分の『マイナス』の過去を見せると言っている。

つまり、誰にも知られたくないような過去、それを教えて上げる、と。

自分が信頼しているあなた達だけに、教えて上げる、と。


でも、あなた達はソレを受け止められますか、と。

ソレに足を踏み入れる覚悟がありますか、と、聞いているのだ。


オレと鴎星は、アイコンタクトを取ってから、詩乃の目を真っ直ぐに見つめ返す。

そして告げる。


「聞かせてくれ……」

「お前の過去を」


詩乃は少し顔を綻ばせながら頷いた。

「……ふむ。私達は出て行った方が良さそうだな」

そう言って、席を立とうとするセンパイ達とかざりを詩乃は止める。

「いえ。……皆さんも聞いてください。……皆さんの仲間のことです、知っておいた方が良いでしょう?」

「……そうか」

オレは、詩乃を席に座らせ、そして、その後に続くようにして、オレと鴎星も席につく。

詩乃は目を閉じ、何回か深呼吸をする。

そして、それが終わるとゆっくりと瞼を上げた。

「……そうですね。まず、かげと私の関係をはっきりさせておきます」

詩乃は一呼吸を開けてから、その事実を口にする。

「かげと私は、



ーー姉妹です」



姉妹。姉と妹。

これに一番驚いていたのは、かざりだ。

「……かげのんにお姉さんがいるなんて、初めて聞きましたよ?」

さらにかざりは、「文深ちゃんも知らないはずです」と、付け加える。

オレも初耳だ。

そんなかざりに、詩乃は問う。

「かざりちゃん……だったよね。あの子の家に行ったことはある?」

「あ、はい。あります」

「そう、だったら、あの子以外にそこで会った人は居るかな?」

かざりは一瞬の逡巡の後、答える。

「お父さんに、会ったことがあります」

「……お父さんだけ、かな?」

「はい」

詩乃は、じゃあ、と言ってから、続ける。

「私の名前とあの子の名前。フルネームで言ってみて」

……ああ。そういうことか。

「涼村影乃……光坂詩乃……あ」

「そう、親が離婚して、母方の光坂家に引き取られたのが私で、父方の涼村家に引き取られたのが、かげ」

きっと二人の名前の『乃』という字は両親の拘りであり、姉妹の証でもあったのだろう。

「さて……ここからが本題でしょうかね。……私が、かげに避けられている理由」

そう言って、詩乃は哀しげに笑う。

「……私が引き取られた光坂家は、そこそこの名家です」

詩乃はそこそこの名家、と言っているが、実際は相当なものだ。

詩乃の曾祖父にあたる人物によって、企業が急成長したらしい。

なんだかんだで、詩乃はお嬢様と言うわけだ。

「お金持ちの家に生まれたためでしょうか……母親は、とても自由な人です」

遊ぶだけ遊び、自分のしたいことだけをする。

詩乃は、自分の母親、光坂麻理まりをそう評した。

そんな母親が、何人もの男性と付き合った中で、たまたま一人の男性と結婚した。

それが、詩乃と影乃の父親。涼村忠邦ただくにだ。

結婚して、一年と経たずに、二人は子供を授かった。詩乃だ。

そして、さらに一年後、二人は影乃を産む。

「私達が産まれてからしばらくは、母も多少は落ち着いていました」

さしたる問題も無く、詩乃と影乃は成長していった。

その頃、二人の仲はとても良いものだったらしい。

詩乃は、影乃のことを可愛がった。影乃もそんな姉のことが大好きだった。

「……関係の無いことですが、かげは昔からおとなしい子でした。……でも、人一倍正義感が強くて、頑張り屋で……私は、あの子の姉であることが誇らしかったです」

きっと、かげも……

詩乃は言葉の後に小さくそう呟いた。

気持ちを切り替えるため、一つため息をついてから、詩乃は話を続ける。

「あれは私が小学四年生のころ。母が急にまた、元に戻ってしまいました」

その時は唐突に訪れた。

段々と、母が出掛けたまま帰って来ない日が増えていった。

「私は、不意に父が見せる哀しげな表情で、なんとなくの予感を感じていました」

詩乃がどう思っていても、事態は変わらない。いや、むしろ深刻になっていく。

……いつの間にか出来ていた窪みが、二度と埋まらないほどに。

そんな中、とうとう離婚の話が持ち上がる。

「トントン拍子で話は進んでいきました。……でも、一つだけ問題がありました。……私達姉妹のことです」

話合いの結果、子供互いに一人引き取ることになった。

ならば、どちらがどちらに行く?

そうなった時、父は言った。

『それだけは、子供に選ばせてあげよう』と。

その言葉に、特に誰からも反論は無かったらしく、すぐに詩乃達へと話が伝わった。

「実は私、その前から決めてたんです。……もしそんな状況になったら、私が光坂家に行くって」

詩乃がそう決めていた理由。

やはり……母親の存在。

「あの人と……あんな人と一緒にいたら、かげが、おかしくなっちゃうって思いました。……親から愛情を注がれず生きるなんて、あの子にしてほしくなかった」

……離婚を決断した理由、いや、急に元に戻ってしまった理由、それはーー

「『飽きたから』ですって……本当に、最低ですよね……本当に……!」

そう言って詩乃は拳を握りしめる。

「……あの子は私のことが大好きだった」

詩乃はそう呟く。

「……だから、離れたくないって……お姉ちゃんと離れたくないって、そう言って聞きませんでした」

いつもなら、駄々をこねたとしても、よく言い聞かせれば納得してくれていた。

でも、その時だけは、違った。

絶対に嫌だ。

それは、それだけは譲れなかったらしい。

どうしても、影乃は聞かなかった。

だから……詩乃はある選択肢を選ぶことになる。

「……そう、これがかげに避けられている理由。……私は、あの子の好意を切り捨てた」

『ずっとあなたが鬱陶しかった』と。

『やっとあなたの顔を見なくて済む』と。

『あなたのことが大嫌い』と。

そう、告げた。

「……あの子はそれでも私を信じていました」

『そんな悲しいこと言わないで』と。

『ずっと一緒に居よう』と。

『お姉ちゃんのことが大好きなんだ』と。

影乃は必死に、大好きな姉へと思いを伝えた。

でも……影乃の言っていることは叶わないから。

ーーだから。



「私はあの子の目の前で、アルバムの写真を全て燃やしたんです」



影乃はしばらくの間、呆然とした。

そして、その表情が徐々に怒りに染まったそうだ。


『騙して……たんだ。……大好きだって、愛してるって、言ってたのも、全部嘘だったんだ!!』

『……そうだよ』

『信じてたのに!ずっと、ずっと信じてたのにっ!……最低……最低っ……!』


「……それが、かげと私の最後の会話」


「…………」

好きだから、愛しているからこその選択。

騙して裏切る。

恐らく、正義感の強い影乃にとっては、詩乃に怒りを覚えるには十分すぎた理由だろう。

「……俺達の後輩が、自分の妹だって気付いたのはいつだ?」

鴎星が問う。

「鴎星達が、新入部員の名前を教えてくれた時からだよ」

ほぼ最初から、という訳か。

「……ふむ、それでキミはどうしたいんだ?」

それまで黙っていたセンパイが口を開いた。

その質問に、詩乃は迷いなく答える。

「仲直りがしたいです。……謝って、説明して、そしてもう一度昔みたいに……一緒に過ごしたい!」

後半、詩乃の語気が荒くなったのは、きっとそれを切望しているからだろう。

その解答に、センパイ達は柔らかく微笑む。

「そう。だったら私達でなんとかするから、明日にでも影乃さんと話をしてみましょ?」

部長さんの言葉に、詩乃は頭を下げる。

「ありがとうございます!」

と、話は一旦まとまった。

ーーその時



「チサちゃんっ!」



ドアを勢いよく開けて、瑠璃センパイが飛び込んできた。

その後ろには、真っ赤に目を泣き腫らした文深。

そして、そんな文深を宥める姫。

「……ぐすっ…………ひぐっ……」

何か良くないことがあったのだろう。

文深はもちろんのこと、姫と瑠璃センパイも明らかに取り乱している。

「どうしたの?三人とも」

部長さんの声も少し強ばっている。

ただならぬ気配を感じたのだろう。

その問いに、瑠璃センパイと姫の視線が文深に集中した。

「うっ……ぐっ…………か、かげの、ちゃん……が……」

嗚咽を堪えながら、文深は必死にオレ達に伝える。



「どこかに……攫われ、ました……!」



………………っな!

「どういうことだ!文深!」

オレは無意識の内に語調が強くなった。

「ひっ……!ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……!」

オレの言葉に怯えた文深は、頭を抱え込んでそう呟くだけだった。

「瑠璃。事情は?」

恭夜センパイが問いかけるが、瑠璃センパイは首を横に振る。

「ねえ、文深さん。詳しく事情を聞かせてくれる?」

部長さんが優しい声色で訊ねる。

それでもしばらくの間、文深は泣き続ける。

しかし、徐々に落ち着いてきた文深は、嗚咽混じりながらも、伝えてくれた。

「ひぐっ……街で……男の人達に絡まれて……それで、影乃ちゃんが……私を庇って……ぐすっ……うう……」

「街のどの辺りかしら?」

「ひぐ……この前、新しくデパートが出来た辺り……です……」

その言葉を聞いた瞬間に、部屋の外へと飛び出していく影が三つ。

詩乃、かざり、そして鴎星。

「おいっ!バカ!!」

オレがそう叫ぶも、三人は気にせずに走り去っていった。

「……とりあえず、小研の部員に協力して貰いました……今、部員達も街に出ている所です」

「そう。ありがとう、姫さん」

それだけを告げた姫は、未だ泣き続ける文深を連れて、小研の部室へと戻っていった。

場を沈黙が包む。

しばらくした所で、瑠璃センパイが口を開いた。

「なぜ影乃ちゃんは部活を休んでいたんですか?」


部長さんはため息をついてから、事の経緯を説明した。


「……理解しました」

説明を聞き終わった瑠璃センパイは、そう言ったきり、また黙ってしまう。

部長さんがこちらに視線を向ける。

「……統輝君、行ってちょうだい」

「……はい」

オレは素直に従った。

……影乃も心配だが、鴎星達も無茶してないか心配だな……

オレはため息を一つついてから駆け出した。



空は、黒く厚い雲で覆われていた。



**********



「……影乃ちゃんと詩乃さんを会わせたのはあなたの計画ですか?チサちゃん」



統輝が出て行ったのを見計らって、瑠璃がそう問いかけた。

俺と雪奈も、千紗都に視線を向ける。

「…………ええ、その通りよ」

「…………ッ!」

瑠璃はその答えを聞いた瞬間に、千紗都の胸倉を掴み、壁に押し付ける。

「……チサ。コレばっかりは、私も穏やかではいられません」

千紗都は目を伏せて、ただ黙っている。

「ただの偶然に過ぎないとしても、あなたは影乃ちゃんを危険に晒したんですよ……!」

やはり、ただ、ただ黙る。

「……目的は何ですか?……ねえ、答えてください……チサ。……その目的は、影乃ちゃんをこんな状況にしてでも達成したいものなんですかっ!!!」

そう言って、瑠璃は拳を振り上げる。

ーーしかし、その拳を千紗都が手で受け止めた。

「……いわよ……」

千紗都はかすれた声でそう呟いた。

そして、叫ぶ。

「そんな訳無いわよ!!どんな目的も!あの子を……影乃さんを…………大切な後輩を傷つけてまで得ていい物なんて無い!!それに、そんな物いらない!!!「だったら!!」ーーーーっ!」



「だったら、絶対に彼女を助けなさい!!そしてちゃんとアナタの目的も達成しなさい!!……絶対に……絶対に!!!」



瑠璃は、そう叫ぶと同時に、千紗都を優しく抱き締めた。


「……もし、達成出来なかったら……絶交ですからね?」


優しい声で、穏やかな微笑を浮かべて、瑠璃はそう言った。

「…………それは、嫌ねぇ……だったら、頑張らないと、ねぇ…………」

「……はい、頑張ってください」

そう言って、瑠璃は体を離す。

「……ったく。もう良いか?」

今まで静かに見守っていたが、俺は苦笑しながら口を開いた。

「……うん。ごめん、恭夜君、ユキちゃん」

千紗都がそう言うと、雪奈が返す。

「ふむ。……ま、私達からも色々と言いたいことがあるんだが、……後でじっくり言わせて貰うとしよう」

そんな二人に対し、千紗都が「ありがとう」と言う。

そして、続ける。

「じゃあ、私達も行きましょうか。恭夜君、ユキちゃん」

「「ああ」」

そう言って、千紗都、雪奈が部室を後にする。

俺は、出て行く前に立ち止まり、瑠璃の方に振り向く。

「……お前、あんな言い方してたけど、気付いてるんだろ?千紗都の目的」

「……当たり前です。……あの子はただ2人に『仲直りさせたかっただけ』なんでしょうね」

「……あいつ自身こんな事になるとは思ってなかっただろうな」

そう言って、恭夜は一つ溜め息をついた。

「……チサちゃんが、あの2人が姉妹だと気付いたのは……?」

「……お前の想像通りだろうな」

今度は瑠璃が溜め息をついた。

そして、少しだけ感慨深そうに笑う。

「しかし、あの子も変わりましたね……」

「ああ、昔とは大違いだ……」

あなたの場合は特にそう感じるんでしょうね、と瑠璃は呟く。

……ただ、それでもまだ……二人ともにそう思う。

一瞬の沈黙。

瑠璃は、こちらを見てニヤニヤと笑う。

「まあ、あなたがどうにかしてくれるでしょうから、心配はありませんよね?」

「ったく……どう言うことだ?」

分かってるクセに、と瑠璃は言う。

俺は扉の方に体を戻した。

「……ま、惚れた女のことくらい何とかしてみせるさ」

そう言うと、後ろから「頼みましたよ、恭夜くん」と言う声が聞こえる。


あったり前だ。バーカ。


心の中でそう呟いた。

……俺はガキか、とも思ったが、まあ俺らしいかなとも感じる。



ーーさーて。行こうか。



**********



「うっ……」

小さく唸り声をあげて、瞼をゆっくりと持ち上げる。

……ここは……

見慣れない場所だ。

なぜ自分がこんな所にいるのだろうと思うのと同時に、自分の手足が縛られている事に気付く。

「……ああ、そうか」

思い出した。

街を歩いていたときに、男性の集団に絡まれた。

その時に、文深さんを逃がそうとして……

「……はあ。殴られて気絶したんでしょうね……」

思わずため息が漏れる。

……それにしても、ここは何処なのだろう。

「全く、ベタすぎでしょう……」

恐らくは、廃墟か何か。

今時マンガでも少ないですよ、こんな所にさらうなんて。

そんな思考を辿っていると、いくつかの足音が聞こえてきた。

そして、目の前にやってきたのは、数人の男。

「目、覚めたか」

「おかげさまで」

私がそう生意気に返しても、眉一つ動かさない。

「……目的は?」

私はそう問う。

……教えてくれるでしょうか。

「…………光坂」

目の前の男は、ただ一言そう答えた。

……なるほど。

私を助けようとする光坂詩乃を捕獲。

そして身代金を要求、と。

しかし、どこからそんな情報仕入れたんでしょうか。

私と光坂詩乃が姉妹だと知っている人物など、少ないはずなのですが。

ーーでも

「その作戦、無理だと思いますよ」

「…………」

その言葉には反応した。

「あの人は私のことを嫌っていますから」

「……お前の言葉を信用するとでも?」

……しないでしょうね。

人質の逃げる口実かもしれませんし。

まあ、この言葉を信じる信じない以前に、もし光坂家に、あの人がこのことを何とかするよう申し出たらどうする気なんでしょうか。

全員、即座に社会的に……



はあ、どうなるんでしょうか、私……



**********



街中を全力で駆け回る。

当てはない。だが走る。

ーークソッ!どこだ!どこにいる!

かざりと詩乃、そして俺の三人で同時に飛び出したわけだが、二人とは途中で別れた。

「はぁ……はぁ……」

息を切らせ、膝に手をついて立ち止まる。

ポツリ、ポツリと雨粒が首筋に落ちてきた。

俺は、膝から手を離し、空を仰ぐ。

段々と雨足が強くなっていく。

そんな時、不意に無機質なデジタル音。

ポケットの中に入れてあったケータイを取り出す。

液晶に浮かぶ文字は、日高かざり。

「……もしもし、どうした?」

ケータイの向こうからは、息を切らすかざりの声が聞こえる。

『場所、特定しました』

「本当かっ!?」

『はい、今から言う場所にいます』

「わかった、教えてくれ」



どうやら、少しだけ光が差したようだ。






はい、Setsuです!


さあ、ついに明らかになった二人の関係!

そしてベッタベタな展開!


次話もお楽しみに!

それではバイバーー


恭夜「って、ちょっと待てーーーーーい!!」


……なんだよ。


恭夜「いや、俺が結構重要なこと言ってただろ!」


え?そうだっけ?


恭夜「だから、俺が千沙都にーー」


ああ!あれか!

正直どうでもよかったから忘れてたb


恭夜「大分重要だろ!そして言葉の途中で納得すんな、最後まで言わせろ!」


……はい、感想・アドバイス待ってます!

それではまた次回~!


恭夜「無視すんなーーー!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ