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第十話 Yuki'sキッチン

なんか短いですね。

しかも内容ベタすぎ。

……あれ?ベタなのはいつものこと?

すみませんでした(笑)

「センパイ、何を食べてるんですか?」

オレが問うと、センパイは机の上に置いてある袋をつまんで、ソコに書いてある文字を読み上げる。

「ん?ああ、えーっと……<大魔王ハバネロアイス>」

「うわ、アイスを冒涜してるでしょ……」

オレは、明らかにアレな商品名を聞いて、顔をしかめた。

「ふむ……キミも食べてみるといい」

そういってセンパイは、オレの抵抗を物ともせずにアイスをオレの口にねじ込む。

「ぬおぉ!」

なんだこれ!甘いのに辛い!というか辛いを通り過ぎて痛い!そして冷たいのに熱くなってきた!

「ごほっごほっ……センパイ、よくそんなの涼しい顔で食べれますね……」

「ん?けっこういけるぞ?これ」

うわーそれはないわー……

「おい、うわーそれはないわー……ってこちらのセリフだぞ」

また、心を読まれた……

「って、イヤイヤ、いつも思いますけどセンパイの味覚おかしいですって」

オレの言葉に、部室内にいる残りのメンバー、鴎星、かざり、影乃の三人が頷く。

ちなみに部長さんと恭夜センパイは今日は欠席らしい。

「……むぅ」

流石に、全員に頷かれては反論できないらしく、そう唸り黙ってしまう。

「あと、いつも思うんですが、その味覚からすると、センパイって料理できないんじゃあーー」

「そ、そんなことはないっ」

オレが言った言葉に、センパイは必死に否定する。

「えーホントですかぁ?」

「ああっ。作れないなんてことは決してない!そう、決して、断じて、絶対に!」

「……じゃあ、作ってみてくださいよ」

「……あ、ああ!やってやろうじゃないか!」



**********



「……と言うことがあったから、こうなった」

と、俺と千紗都は、雪奈の説明を後輩達から見えないところで受ける。

ちなみにここは、雪奈の家だ。

雪奈は、マンションで一人暮らしをしている。

そのため、俺と千紗都、それに瑠璃がここに呼ばれることは多い。

昨日の夜、電話を掛けてきた時は、いつものように四人でダラダラと過ごすのだと思っていた。

だが、来てみれば後輩達が居るので少々驚いた。

……まあ、そこまではいい。後輩達と過ごす時間も楽しいからな。

だが、後輩達の口からたまに出てくる単語が、俺と千紗都の恐怖を誘った。

「雪奈……お前、料理は……」

「皆まで言うな……」

俺が言おうとしたところ、雪奈はそれを制す。

……そう、雪奈は料理が出来ない。

それどころか、ヤバい。

何がヤバいって?……まあ、すぐに分かるさ。

「ユキちゃん……せめて私に頼ってくれたらどうにか出来たのに……」

千紗都がため息混じりに呟いた。

「う……スマン。だが、今日は上手くできた気がするからな!たぶん大丈夫だ!」

俺と千紗都は顔を見合わせる。

「……とりあえず、その鍋の中身を見せてくれ」

そう言って蓋を開け、俺と千紗都は中を覗き込む。

「「うっ…………」」

俺達はそう声を漏らしてしまう。

鍋の中身は、……なんというか、言葉では言い表せない物質だった。

映像にするとしたら、確実にモザイクが入る。

俺達はもう一度顔を見合わせる。

「ユ、ユキちゃん?これは何の料理?」

「ああ、カレーだ」

千紗都の質問に、当然とばかりに雪奈は頷く。

……全然当然じゃねーよ。

まあ、それはともかく



ーー逃げるか。



「ユキちゃん、私ジュース買ってくるよ」

千紗都も俺と同じ考えに至ったらしく、逃げるための口実を作る。

乗っかるか……

「あー、千紗都、一人じゃアレだから荷物持ち替わりに俺も行くよ」

「あら、ありがとね」

そんなやりとりを見た雪奈が俺達に言う。

「いや、流石に今日は私が行くぞ」

俺達は即座にそれを制す。

「いや、ユキちゃんはみんなにカレーを振る舞っておいて」

「ああ、みんな楽しみにしているだろうからな」

そう言うと、雪奈は渋々ながらも頷き、「頼んだ」と言って、カレーらしき物質を盛り付ける皿を用意し始めた。

「……それじゃ、行きましょう」

「ああ」

俺達はそう言って外に出る。

表面上ではいつも通りの俺達だが、内心では、とても悪い笑みを浮かべているのは秘密だ。



ーー統輝達は、どうなるだろうか



**********


「いやー。楽しみですね♪」

かざりがいつも通りのテンションでそう言う。

「そうですね」

影乃は、どことなく緊張気味に頷く。

どうやら影乃はセンパイの家に上がるというだけで、緊張しているらしい。

……まあ、その気持ちもなんとなく分かる気がするなー

と、まあそんなことをしていると、センパイが皿を持ってやってきた。

その皿をみんなの前に置く。

ーーん?

「「「「…………」」」」

なんだこれは。え、ちょ、え!?

全員が皿の上に乗っている物体を見て、顔を青ざめさせる。

なんか禍々しいオーラが出てる!?

「さあ、食べてみてくれ」

センパイが告げる。

だが、全員が皿を見た時点で嫌な予感しかしていないので、誰も手を付けない。

そんな中、真っ先にそれを食したのはーー

「……い、頂きます!」

影乃だ。

顔に無理やり笑み貼り付けながらそう言って、パクリと口に入れる。

「……」

笑顔のまま固まる。

その時、ちょうど誰かが来たようで、インターホンの音が鳴り、センパイは席を立った。

当然、影乃に視線が集まる。

「……影乃、大丈夫か……?」

鴎星が心配そうに訊ねる。

「……先輩……かざりさん……後は……頼みました」

息も絶え絶えにそう言うと、影乃は真っ白になり、血を吐いて倒れた。

「「「か、かげのーーーーーーーーー!!?」」」

えええええええ!?一口食っただけで吐血!?

どうやってこんなの作ったんだ!

「……次、誰が逝く?」

鴎星が問う。

漢字変換がおかしい気がする。……いや、合ってるか。

そして、その問いに、かざりが挙手した。

「……いいのか。かざり」

オレが聞くと、無言でかざりは頷く。

その目は、かざりの決意を物語っていた。


「……それじゃあ、逝ってきます」


「「逝ってらっしゃい!!」」


戦場に兵士を見送る気持ちが分かった気がするよ。

一つ、息を付いてから、目を見開き、それをかき込んだ。ーーかき込んだ!?

「……ぐぼあっ!?」

「今、人体からは有り得ない音したぞっ!!?」

かざりも逝ったか……クソっ!!


……今気付いたんだが、なんか皿が溶けてるぞ!?


劇薬じゃねぇか!!

「おい、統輝」

「……なんだ」

「……せーので逝かないか」

「……そうだな。それがいい」

オレと鴎星は一息ついてから言う。

「「せーの!」」

…………うん。

「「テメェ、食えよ!」」

互いに睨み合う。

……仕方ない。こうなったら。



ーー実力行使だ。



「おらああぁぁぁぁ!!」

オレは声と共に鴎星を捕獲しにかかる。

「甘い!」

だが、鴎星はバスケ仕込みのステップで、華麗に回避した。



~不毛な争い中~



「やめろ、統輝……!」

オレにマウントを取られた状態で、鴎星が言った。

「敗者には死だ!」

そう言ったオレは、鴎星の分だけでなく、オレの分も口に突っ込んだ。

「……ぴゅごふっ!?」

鴎星が、奇怪な音を出す。

……なんとか生き残った。

オレがそんなことを思ったと同時に、口の中に何かをぶち込まれた。

「ぺぎゅきょっっっ!?」

何事かと思い周りを見ると、いつの間にか鴎星が皿を持って倒れていた。

ーー何故!?もう全て謎の物質は食された後だったはずでは……

いや、違う!コレは!


「影乃の……残り……か……!」


その考えに至ったところで、オレの意識はプツリと途切れた。



**********


「……みんな大丈夫かしらね?」

俺の隣で千紗都が呟いた。

「……いや、大丈夫じゃないだろう」

俺の答えに、「それもそうねぇ」と言う。

と、まあそんなことを言っている間に雪奈の家の扉の前に到着した。

「……行きましょう」

千紗都の言葉に無言で頷く。

扉を開け、中に入っていくと……



一人佇む雪奈と、後輩達の気絶している空間だった。



「「…………」」

「…………」

俺達と雪奈が無言で見つめ合う。


「……うん、まぁドンマイ」


俺がそう言うと、虚ろな目をした雪奈が、鍋を抱えて、中身を一気に飲み干した。


「ぎゅべごぉっっっっ!?」


何かマズい音を出しながら雪奈は倒れてしまう。

あー……なんだ。

うん、雪奈の料理は殺人的だな。




ちなみに事後処理も楽じゃないんだぜ、コレ。

どうも、Setsuでーす。


なんかねぇ、うん、瑠璃がいないと書きにくいね(笑)


はい、ちなみに恭夜、部長さん、瑠璃の三人は昔、雪奈の料理を食べたせいで、ちょっとトラウマです。


それではまた次回ー

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