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その17

 明け方。パタン、と扉が閉まる音で目が覚めた。隣の温もりが消えていたから道具屋だというのはすぐ解った。


(……厠か)


そう思って、また意識は闇に包まれていった。


●●●●


――ドンドン!!


「ん……あ?」


激しく扉が叩かれる音がする。鳥の爽やかな鳴き声と薄目を開けて見た窓の空の色を見ればまだ朝、しかも早朝だった。


もうちょっと寝かせろ。


そう思って無視を決め込んで隣にいるはずの道具屋を抱き込もうと寝返りを打ったら、そこには温もりがない。下で朝食でも作ってるかまた厠かと気配を探るが、この家に俺以外がいる気配がなかった。


「……あー、くそっ」


ガバッと起き上がって、窓を開けて下を覗くとイクダールが手を振っている。嫌な予感しかしないが出ないわけにもいかないので、散らばった服を拾い上げて着た。扉を開けたらイクダールの笑顔。その目が笑ってないから嫌なこと確定だった。


「おはよう。道具屋、いないでしょ?」


何故知ってる、と不審に思ったのが表情に出たのかイクダールが肩を竦めた。


「ガイツに道具屋の建物権利書渡してたらしいの。だから町を出たんじゃないかって訪ねれば、やっぱりね」


「は?」


「貴方を助けたお礼じゃないかって推測してるんだけど……あの子が一番大事にしてた形あるものだから。それを譲るぐらいガイツに感謝してて、それぐらい貴方を想ってたんじゃない?」


わからん!


道具屋は時々理解不能だ。


「……まあ、武器屋だしね。はい、これ」


イクダールは呆れた表情を隠そうともせず、何やら俺に紙を渡してきた。

そこに書かれていたのは……


「請求書?」


「そう。武器屋じゃ道具屋の居場所掴めないでしょ?」


「まあ、確かにつてを使うにも限りがあるしな」


「私が雇われてあげるわよ」


薄っぺらい紙には必要経費と名前記入欄。イクダールはもう署名済みだ。


「よしみで半額にしてあげてるわよ。感謝してよね?」


「これで半額かよ」


俺の一月の稼ぎがとんでいく。確かにイクダールはレベルが高いし、経験豊富だが……にしても高くないか?


「あら、それで渋るなんて愛が少ないわね。道具屋はその倍以上払ってるのよ?その上土地と建物権利書。いったいいくら貴方に使ったのかしら」


「あいつ……」


ちょっと考えなしなんじゃと思った。でもそこまでしてくれたことに嬉しさも感じる。



「ほら、記入したぞ」


決して綺麗とは言えない字で名前を書くとイクダールに紙を渡した。


「確かに。じゃあおまけで、先日言っていた勇者に今日会わせてあげる。夜、店を閉めたらギルドに来て」


暗黒竜のか。何だかんだ言ってイクダールは面倒見がいい。


「ありがとな」


そう言うと、イクダールはきょとんとして、それから破顔した。


「どういたしまして。道具屋もすぐに見つけるわ」


足取り軽くイクダールはギルドに戻っていった。


「?なんか機嫌よくねえか?」


ああ、俺が依頼してお金が入るからか。

俺はその分節約しないといけないが。


「地下ギルドの依頼を多めに受けないとな……」


体力が持つかどうか、それが心配だ。




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