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武器屋との再会

一通り伝えると、イクダールさんは溜め息をついた。

「あんたたちは…」と首を横に振りながら呆れたような表情をしている。


話をこれ以上したくない。

何か話題を変えなきゃ、と頭を巡らすとついさっきまで話していた女性のことを思い出した。


「そういえば、さっきまでいた所にイクダールさんそっくりな人がいました。顔だけじゃなく、仕種とかまで……あれってイクダールさんでしょう?」


気になっていたことを聞いたけれど、イクダールさんはその問いにも首を横に振った。


「いいえ、違うわ。因みに姉妹や親、親戚もいない」


「じゃああれは……」


「脇役だから、同じ素材を使用したんじゃないかしら」


「脇役って、演劇にでも出ているんですか?」


「そんなものよ」


結局イクダールさんではない他人の空似らしい。世の中似た人は三人いるって言うし、そういうことなんだろう。どこかに私にも似た人がいるんだろうか。


「ところで行っていたのは何ていう町?」


「えーっと、ちょこちょこ移動していたんですけど、イクダールさんにそっくりな人がいたのは……」


と、町の名前を伝えるとイクダールさんは眉間に皺を寄せた。


「行く前に町の情報を全く仕入れていないでしょう。そこはギルドの評判は良くないし、周辺には山賊がよく出るからあまり旅人とかレベルが低い冒険者は行かないのよ」


「そうなんですか」


「まったく危ないわよ。年頃の女性なんだから、山賊に襲われたらどんな目に遭うか。だいたい女性の行商人ってあまりいないのよ。女行商人は大体用心棒のパートナーがいるとか、レベルが高いとかそういう人がなっているのに、冒険者としてのレベルが低いあんたが一人でうろちょろしていたら襲ってくださいと言っているようなものじゃない。よくそれで無事だったわね。だいたい――」


話を逸らして説教を回避するつもりが逆に説教の内容が増えて、ギルドマスターが呼びに来るまでイクダールさんの小言は続いた。



話が終わるとレベルが足りない私はすぐ地下ギルドから上のギルドへと戻った。

本来だと足を踏み入れることができない場所だからじっくり見ておきたかったし、ギルドマスターに少し興味があったんだけど、駄目って言われた。「レベルを上げて来なさい」って言われたけど、きっとそれは出来ないだろう。自分で言うのもなんだが、私は冒険者には全然向いていない。


「あら、雨ね」


時間はまだ昼過ぎぐらいだが、雨のせいで外はどんより暗い。地下に行くまでは晴れていたのに。


「ここで武器屋待っていなさい。帰ってきたらすぐこっちに来るように今武器屋の店番をしている人に伝えておくから」


「え、いや、行商に戻り……ま…す」


語尾が小さくなったのはイクダールさんの表情が怖かったからだ。

逃げたかったけれど、どうも逃がしてくれる気はないらしい。

何とか隙をついて…と思ったけど、ペガサスの羽は町の中では発動できないし、私よりレベルのとても高い彼女から逃げる隙なんかあるわけもなく。

どうしようかなぁと思案していたら大事なことを思い出した。


「あの、さっきの町で行商の解除手続きしないと。慌てて来たから荷物しか持ってきてなくて」


「そうなの。解ったわ、誰かつけるから一緒に行ってきなさい」


「あ、手続きだけなので一人でも大丈夫ですよ。町の中だし」


そう言うと、イクダールさんは呆れた表情をした。「人の話聞いてなかったの?」と静かに聞いてくる彼女は本当に怖い。


「すみません、誰かと一緒に行くので怒らないでください」


「解ったならいいわ。あら、ガイツ」


ちょうどギルドに入ってきたのは、見知った冒険者だった。




「演劇ってどこでしてるんですか?見に行きたいです」って言ったら「この世界が舞台よ」って笑ってごまかされてしまった。教えてくれる気はないらしい。見たいなぁ、演じているイクダールさん。

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