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終わりへの旅立ち:1

夜中、ではなく明け方に近い内に私は目を覚ました。

身体が痛い。


武器屋の体力を侮っていた。一回でいいもんだと思っていたら……うん、この話は止めておこう。


熟睡している隣人は私がベッドを出ても気づかない。そっと洋服を取ると、今更ながらに羞恥心がむくりと出てきて、また鼓動が早くなってくる。


それでもどうにか洋服を着て、寝ている背中を見つめるとこみあげてくる想いがあったけど……それに蓋をしながら、静かに部屋を出て扉を閉めた。



「少し散歩、しようかな」


ペガサスの羽を取り出したはいいもののどうにもすっきりとこの町を出ていくことが出来ない。生まれ育った町ではないけど、長年いるこの町に大分愛着があるから、それは当たり前だ。


歩きながら、色々と思い出す。

武器屋、イクダールさん、運び屋の友人と出会ったこと、近くに住んでいる女の子がお母さんにってルビーのアミュレットを買いに来たこと、ギルドの冒険者の人に蛇の脱け殻を貰ったこと。


思い出がいっぱいで、でもそれ以上に武器屋から逃げたかった。『好き』って言ってしまえばいいって何回も思った。武器屋も私のこと好きなんじゃないかな、なんて思うことは何度もあった。


でも、暗黒竜のことは?


死ぬかもしれない戦いの前に会いには来てくれなかった。何も告げてくれなかった。


そう考えると、武器屋が私のことを好きなんじゃないかと思うのは、やっぱり自惚れもいいところだ。


「……ふぅ」


そうして、考えることからも告白することからも逃げ出す私には、今、溜め息をつきながらペガサスの羽を発動させることしかできなかった。



さて、気をとり直してやって来ました王都。一回来てみたかったんだよね。


ここには道具屋組合の本部もあるから行商人の証しも貰うことができる。


組合は支部も大きな街だとあるんだけど、私がいた町や小さな村とかはギルドが一部代理をしている。だけど、クラスチェンジはやっぱり支部か本部に行く必要があった。


(王都なら敷物も買えるし、まとめて終わるかな。終わったら観光しようっと)


そう思って、先ずは組合本部に向かった。





王都は人が多くて四区画に分かれている。正方形の四区画。道具屋は右下の区画にあったんだけど、武器屋・防具屋と繋がっていて、更に二階には魔法屋もあった。流石都会。

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