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勇者クエストに出会った

一日の売り上げがパーになるイベント。そりゃ営業なんかできるわけないし。

迷惑なだけだから、他所で活躍してほしい。

勇者。

それは英雄。

行く先々で活躍し、敵をなぎ倒し、罠を解除し、魔王の所を目指す人々の希望。


でも私から言えば、ただの『トラブルメーカー』だ!!


活躍するのは当たり前。

何故か勇者が現れると敵も現れるから。


敵がやられるのは当たり前。

何故か勇者より弱い敵しか出てこないから。


罠を解除するのは当たり前。

何故か勇者が偶然に見破ってしまうから。



総合して、勇者はとてつもなく運がいいと思う。

いや、運が世界一いい人を勇者というのか、どっちが先か解らない。



で、その勇者がどうやら街にいる。

何故解るかって?

それは、勇者のクエストに巻き込まれたからだ!


朝、気がついたらカウンターに私は立っていた。

別にいつも通りな光景なのだが、私は起きた覚えも着替えた覚えもない。

動こうにもカウンターから動けない。兎に角、叫んでお隣さんに助けてもらおうと口を開こうにも開けない。

瞬きすらできない。


何これ!!


って焦ったけど、それは入ってきたお客さんの話で理解した。





以下は彼らの会話。男女四人のパーティーだ。



「あのー、すみません」


「あ、やっぱダメだ」


「街の人、みんな喋らないね〜。無視されてるよ、無視」


「街の北に怪しい神殿がありました。そこが原因かと」


「弱ったなー。どうする?」


「どうする?じゃねえよ!助けないと!!」


「さすがアラン。それでこそ男だねっ」


「頼もしいですわ」


「じゃあ近くの町で装備整えてから神殿に向かおうぜ!」


そう言うと彼等は店を出ていった。



てな訳で、恐らくあのメンバーの中のアランって男の人が勇者だ。


彼等の会話から解ったのは、街の人みんな私と同じ状況ということ。あと、この街に北に神殿なんてなかった。


昨日までなかった。

ということから察するに、勇者クエストだ。


これなら今日、遅くとも明日には解決しているだろう。

何だ安心したって思ったら、頭は悔しさで溢れだした。


いっぱい商品売れそうだったのに!!


勇者は大抵買う金額が大きい。この間は100000ゴールドの金の鎧を買ったらしい。


逃した魚は大きかったなぁ。



結局、夕方には声が出せるようになった。

迷惑な勇者一行め!


街は『勇者様〜!』とお祭り騒ぎ。お礼を、という町長の誘いを丁寧に辞し、爽やかに街を去っていったらしい。

それに胸キュンした女の子が多かったそうだ。


そんなの知ったこっちゃない。


それよりこの筋肉痛の方が問題だ。

痺れさせられていたとはいえ、ずっとカウンターに立ちっぱなしだから、もちろん身体中が筋肉痛。


それは商売人は皆例外でなく、

この街にある全てのお店の中がしばらく湿布臭いことになったのは、また別のお話。




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