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復讐家計簿 〜サレ妻がクズ夫を地獄へ突き落とすまでのカウントダウン~  作者: 猫塚ルイ


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2/2

第2話

「おい、聞いてるのか?」


翌朝


朝食のトーストを口に運んでいた直樹が、事も無げに言った。


私は、昨夜見た『残高200万円の消失』の衝撃を必死に押し殺し、冷めたコーヒーを啜る。


「……何?」


「来月から、生活費を2万円にする。1万は貯金に回せ」


耳を疑った。


もうすぐで中学生になる陽太は育ち盛りだ。今でさえ私の食事を削ってやりくりしているのに、あと1万円減らす?


「いやいや、何言ってんの?無理よ。陽太の塾の夏期講習だってあるし、これ以上は……!」


「は?お前のやりくりが下手なだけだろ。嫌ならパートでも何でも始めればいい。まあ、社会経験ゼロの主婦を雇う物好きがいればの話だけどな?」


直樹は下卑た笑い声を上げ、高級なネクタイを締め直す。


その指に光る結婚指輪さえ、私の金で買ったものかもしれないと思うと、吐き気がした。


「じゃあ、行ってくる。レシートのチェック、夜までに完璧にしておけよ。1円でも合わなかったら分かってるな?」


玄関の扉が閉まる音が、まるで監獄の門が閉まる音のように聞こえた。


私は震える手で、空になった通帳を開き直す。


何度見ても、200万円は消えている。


そして昨夜、直樹のジャケットから落ちたあの15万円の領収書。


「……徹底的に調べてやる」


私は陽太を学校へ送り出すと、這いずるようにPCに向かった。


直樹は私がネットサーフィンくらいしかできないと思っているが


私は結婚前、WEB制作会社でデザインとコーディングを叩き込まれていたんだから。


まずは、直樹のスマホの同期設定を確認する。


パスワードは、直樹が「一生忘れない」と豪語していた、初めて買った高級車のナンバー。


案の定、筒抜けだった。


クラウド上に保存された写真フォルダを開くと、そこには地獄が広がっていた。


高級ホテルのスイートルーム。


シャンパングラスを傾けて笑う、直樹と、若い女。


女の首元には、私が欲しくても手が出せなかったティファニーのネックレス。


『直樹さん、昨日のプレゼント最高! 200万もする限定品をサラッと買えちゃうなんて、やっぱりエリートは違うね♡』


女のメッセージに、直樹が返信している。


『これくらい、お安い御用さ。家には「将来の備え」って言えば、バカな嫁が必死に節約して補填してくれるからな』


「……っ!」


喉の奥で、獣のような声が漏れた。


バカな嫁。


そう、私はバカだった。


奴の暴言に耐え、爪に火を灯すようにして貯めたお金が、この女の首を飾る宝石に変わっていたなんて。


私は写真を一枚残らず自分の隠しフォルダに転送した。

そして、そのまま別のブラウザを開く。


『フリーランス WEBデザイン 案件』


かつての仕事仲間や、クラウドソーシングサイトに片っ端からアクセスする。


ブランクはある。


でも、今の私には「怒り」というガソリンがある。


(2万円で生活しろって言ったわよね、直樹)


だったら、私はその倍、いや十倍を自分の力で稼いでやる。


そして、あなたが使い込んだ200万円を、社会的地位もろとも、倍返しで毟り取ってあげる。


私は引き出しから、新しいノートを一冊取り出した。


表紙に大きく、こう記す。


『モラハラ夫・社会的抹殺計画書』


これはもう、ただの家計簿じゃない。


あなたの「死」を刻む、デスノートよ。



【残り99日】

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