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二度目の"好き"はサクラ色  作者: ふなつさん


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1/4

第1話 中学生のあの頃

中学2年生になった。

私、空門友愛(そらかどゆうあ)は、この夏休み、ついに手に入れた。

大好きなバンド、メモリア・コード、通称メモリコの握手会に当選したのだ。

もちろん相手は、ギターボーカルのNozomu。

私は初めてメモリコの音楽を聴いた時から、彼の全てを引き込むような声色の使い分けの虜になった。

メモリコは、顔出しをしない。情報もほとんど明かされていなくて、わかるのは性別くらい。

そんなミステリアスさも、また大好きな一面だった。

私が唯一、胸を張って好きと言えるのがこのバンドの音楽だった。

一度でいいから直接感謝が伝えたかった。

やっとそのチャンスが回ってきたのだ。逃すわけにはいかなかった。

___________________________________________________

8/3。Tokyo Arenaで全力でライブを楽しんだ私。

ついにそのときがきた。

鼓動が早くなる。

顔が火照る。

「次の方ー」

私の番だ。

「あの、えと…」

言葉が詰まって出てこない。

「いつもありがとう。」

ふと目の前から聞こえてきた憧れの声に、慌てて顔を上げる。

いつも通り顔は狐の仮面に覆われていて見えないが、その優しい声が私を落ち着かせた。

「あの!大好きです!いつもいつも、たくさん元気をもらってます!本当にありがとう!」

必死にそう叫んでいた。

一瞬、見えないはずの顔が微笑んだような気がした。

「終了です。次の方ー」

終わってしまった。

でも、感謝もしっかり伝えられた。

明日からまた彼らに元気付けてもらえる。

そう思いながらイヤホンを耳にさし、さっき目の前で感じたあの声を聞きながら、私は帰路についた。

___________________________________________________

残りの夏休みは、美術部の活動と学校の宿題に追われた日々だった。

気づけばもう、9/1。今年はこの日が日曜日なので、夏休み最終日だった。

今年の夏は楽しかったな、多分あんな経験は二度とできないんだろうな。

そんなことを考えながら、残りの日記を記憶を辿りに書き終えた。


9/2。学校が始まった。

いつも通り登校。いつも通りの教室に入り、いつも通り友達と朝の挨拶を交わす。

さあ、メモリコ好き仲間にあの握手会を自慢してやろう。

そう思っていたら…

「空門さん。少しお話しいい?」

声をかけられた。

私は別に特別目立つタイプでもなければ特別地味なタイプでもない。

仲のいい友達といつも固まっている一番多い人種だ。

でも今私に声をかけてきた彼は、私とは全く違った。

いわゆる一軍男子というやつで、いつも男女ごちゃ混ぜの仲良しグループでつるんでいて、

クラスでも中心的な存在だった。生徒会選挙でも勝ち、今は副会長。

しかし謎多き人で、生徒会にもあまり参加せず、放課後に遊んでいるところも見たことがないと皆がいう。

学校を休むことも多かった。

少し説明が長くなってしまったけれど、そんな彼が私に話しかけてくるというのはなかなか珍しかった。

「どうしたの?桑崎くん。」

そうそう。彼の名前は桑崎臨(かざきのぞみ)。Nozomuと少し名前が似てる。

「明日の放課後って部活ある?」

「明日はないよ。なんで?」

「付き合ってほしい場所があるんだ。一緒に帰れないかな?」

??

よくわからないが、特に不都合もない。

「わかった。明日の放課後ね。空けとく。」

「ほんと!ありがとな!」

…………明日……………?クリスマス・イヴじゃないか。

まさかプレゼントくれるのかな?

もしや私にも春が来た!?

とラブコメの主人公のような妄想をして自分で否定しながら、一日過ごした。

___________________________________________________

「今日はありがとな、空門さん。」

「全然いいけど…どこ行くの?てかなんで私?」

「空門さんを連れていきたいところなんだー。理由は後でね。場所も秘密ーー」

なんかよくわからないけど、これが陽キャのノリってやつなのかな?

私の知るリア中女子はこういうとき

「えぇ〜いじわるう」

なんて返すんだけど、そんなことしたらひかれるんだろうな。絶対言わんとこ。

しばらく歩いた。

「ついた!ここだよ」

ん?スカイツリーだ。秘密にする場所か?まいいいや。

「スカイツリー?入るの?」

「展望台に行こうと思って。クリスマスのイベントがやってるんだ。」

「私そんなにお金持ってきてないよ…」

「俺が出すに決まってるじゃん!出してもらうつもりだったならお金持ってきてっていうよ」

「それはちょっと…」

「俺が払いたいのだよ。それにここで俺払わなかったら空門さんのこと連れていきたいとこに連れて行けないし。」

「じゃあありがたく……」

やっぱ春きた?絶対来たよね?これあの流れだよね?

展望台に上がる。お店を見たり、夜景を見たり…

メモリコの音楽が流れていた。ほんと、最近どんどん人気出てるんだよね

「空門さん。」

急に呼ばれてびっくりした。

……………あれ?今の声どこかで聴いたような…

まあクラスメイトだし昨日も呼ばれたし当たり前か。

それよりこれ…あれだよね?

嬉しいけど、私今そういうの興味ないしな…

申し訳ないけどお断りして帰ろう。明日お金も払おう。

「空門さん、俺空門さんのこと好きなんだ。付き合ってほしい」

「よろしくお願いします。」

しまった。食い気味に返事してしまった。

「へ………?ほんとに…?やった……!やったーー!正直ダメ元だったんだ。そういうの興味ないって言われるかなって思ってた。」

そのとおりだ。

でもまあ仕方ない。決して君に魅力がないわけでは…

ん?思って"た"?

というかはい?私今はいって言った?

あれ?あれれ?

………………………………………。

…………………………………………………………………………………。

仕方ない。なんか惹かれてしまったんだ。付き合ってやるか。

にしてもなんでこんなに惹かれたんだろう私…

「このこと、後で友達にも話していい?あ、あと、名前で呼んでいい?友愛って!俺のことも臨って呼んで!」

「え、えと…じゃあ…よろしく。その…臨。」

「こちらこそよろしく!友愛!」

こんなはずじゃなかったんだけどなあ…

___________________________________________________

これが、私と臨のはじまりだ。

こんな始まり方な割に、私たちは高校生になった今でもなかなかなラブラブカップルでいられている。

正直私は、完全に臨に惚れてしまった。

彼の優しさに甘えさせてもらってるし。かっこいいし。

ちょっと秘密多そうなミステリアスなとこも好きって友達の璃子に言ったら、変な男に捕まるよあんた。っていわれてしまった。

あれから私たちは、中3という受験期を乗り越え、その間に修学旅行も楽しみ、最高の中学校生活を送った。

もちろん私の推し業だって休んじゃいない。

だいぶ頻度は減ってしまったけど、それでも臨との時間以外はメモリコのことを考える日々だった。

結局、臨はあの仲良しグループのもう一人の男子と一緒に都内の超名門の私立高校に行った。

臨、あの陽キャ感で頭もしっかりいいのだ。

私は都立の芸術系の高校に入学。臨はよく私の学校の前まで迎えにきてくれたりする。

私もできるだけ行くようにしている。なかなか順調に交際を進めている。

そんな私たちの関係にヒビの入る大きな出来事が起きるのだが、それに関しては、

次回とその先に乞うご期待!!

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