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JK、未来で巨大ロボに乗る  作者: 久遠悠羽


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第5話 俺達は巻き込まれている!

 管制部のアンドロイドの無機質な言葉が響く。


「1番隊、アタッカー『武甕槌タケミカヅチ』、

 サブアタッカー『伊邪那美イザナミ』、

 タンク『アマテラス』、

 防御『ラクシュミー』

 この4機で出ます」


「今回3機も日本神話機だ……誰だろう」

 考える間もなく機体が射出装置に設置され、ハッチが開く。


 衝撃にももう慣れた……筈だったが。


「うぅ……っ!」


 身体にGがかかる。

 射出されたつづみは、用心深く機体を安定させると山の斜面を滑るように高度を稼ぎ、空へと飛び上がった。


 眼下に広がるのは深緑の山々。その更に上空から、黒雲のように広がる敵機群が接近してくるのが見える。


 ——また来た……!

 空から、また!


「1番隊、戦域に進入。迎撃を開始します」


 管制の無機質な声が、耳の奥に響く。

 モニター画面には、仲間の機体の動きがリアルタイムで表示されていた……



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「……つづみ……いや、桜場」


 つづみは学校の昼休みに珍しく隣のクラスの井関遼太郎いせきりょうたろうに声を掛けられた。

「井関君。……何?」


「話がある。6校(校時。6時間目の事)終わったら東渡り廊下に来てくれ」

 遼太郎は目も合わさずに言う。


 彼女は不快に思ってしまった。

「だから何で。……私、塾なんだけど」


「『神機プロスターティスアマテラス』……」


 小声で言う遼太郎の言葉にハッとして顔を上げる。

「それ……どうして?」


「6校の後でな」

 彼は最後までこちらを見ずに言って教室に戻ってしまった。


「何あれ。カッコ付け?私と話すのがそんなに嫌なの?」

 つづみはますます嫌な気分になったが、神機プロスターティスの話をされては断る訳には行かなかった。



 授業が終わると、足早に東渡り廊下に行ってみる。

 案の定、遼太郎が待っていた。


「……ごめん、あの」

 つづみが話しかけるとこちらを見る。


 その時、彼の前髪に隠れている所から目尻の辺りにかけてまで、テープで止めた大きなガーゼが貼ってある事に気付いた。


「え?どうしたの、それ……」

 彼女が驚いて聞く。


 傷を見られたくなかったからまともに顔も見てくれなかったのか。


 遼太郎は周囲を見回し、人が少ないのを確認して呟く。


「……神機プロスターティスに搭乗中に負傷した。周りには階段から落ちたって言ってあるけど……」

「い、井関君も?」


 彼が息を吸い込んで言う。

「俺は『タケミカヅチ』機だ。……あの戦いの時のアマテラスの通信、ちょっとお前っぽい声が聞こえて……

 まさかな、って思ってた。それで……確認したくて」


 数日前に戦ったチームの機体だ。


「タケミカヅチ、井関君だったんだ……」

 つづみは思わず言葉を切った。まさか、あの戦場で一緒だったなんて。


「うん、私はアマテラス機に乗ってた。……その怪我、あの時の爆撃で?」

 彼女はタケミカヅチ機が仲間の機体を庇って肩に被弾していた事を思い出していた。


「そうだよ。衝撃で頭をあのドーム状のやつにしこたまぶつけたし、髪飾りみたいなやつが食い込んでさ……」

 遼太郎が思い出して少し傷の辺りを触る。


「アイツらパイロットの安全は確保する、とか言ってたけど、実際はこうだ。

 俺達はあの理不尽な『召喚』神機プロスターティスバトルに一方的に巻き込まれてるんだ」


「うん……私もそれは思う。前、機体が損壊してベルトも破れて放り出されちゃった事があって……」

 つづみも下を向いて話す。


「え?それでどうして無事だったんだ?」

 彼が驚いて聞き返した。


 その時、金子里菜かねこりなが呑気な声を上げながら近付いてきた。

「つづみ〜井関く〜ん」


 2人の近くまで走って来る。

「ごめん、日直で職員室まで行ってた。もう話してたの?告られた?」

 里菜は膝に手を当てて息を整えながら言う。


「……里菜?告られたって何を?」

「なーんてね。あたしも井関君に言われて初めて気付いたよ」

 彼女がすぐに身体を起こして続ける。


「えっと……何に?」

「『アマテラス』のパイロットがつづみって事にさ……」


 つづみの顔に驚愕の色が浮かぶ。


「……それって……まさか里菜も?」


 里菜がニヤリと笑った。

「そう。あたしも乗ってたんだよ『イザナミ』に」


「里菜も?!里菜までパイロットだったの?」

 突然の事実につづみが後退りをした。


「へっへ〜どう?こういう『告白』ってさ」


 里菜が更にニッコリ笑ったその時だった。

 3人の左手の甲が、淡い緑色の光を放ちだしたのだ……

 まるで次の戦場が待っているとでも告げるように。


「クソ!まだ話は終わってないのに!」

 遼太郎が叫ぶ。


「ああ……もうヤダ。何が何だか……」

 つづみが諦めて顔を覆った。


「か、風っ!やばいって!」

 里菜が下から吹き付けて来る風に制服のスカートを押さえる。


 風が巻き上がり、空間のひび割れるような音が響く。

 足元の床がなくなり、ふわりと浮かぶような感覚に包まれる。


 3人の高校生を嘲笑うかの様に、転送は始まった——




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