第19話 4人、緊急会議に招集される
各機体から降りた4人は、誰からともなくデッキの足場に集まった。
何があったのか知らない整備エンジニア達が、
「訓練お疲れ様でした」
と彼らに和かに話し掛け、早速ロボットの点検に入って行った。
「……イヴァンさんになんて言おうか」
つづみが言う。
「とりあえず、なんて声を掛けられるか、じゃないかな」
弾が答えた。
「規約違反をした事になるよね、まず謝らないと」
里菜がまともな事を言う。
「だけど、異星人のくせに人間のフリして俺達を騙してたんだぞ?
どう言うつもりか知らないけどさ」
遼太郎が不服そうに言った。
「騙されたのは事実だけれど、助けてくれたのも事実だ。
そうじゃなければ、オレ達はとっくの昔に死んでいるだろ?」
弾が諭すように返す。
4人は困った様子で、地上にいるイヴァンを見た。
彼は手元の通信機で誰かと話している……
「仕方ない、一旦降りよう」
遼太郎の声掛けで、4人はカンカンと足音を立てて鉄製の階段を伝い地上に降りた。
恐る恐るイヴァンの側に行く。
「イヴァンさん……あの、勝手な事してごめんなさい……」
つづみがおずおずと話し掛ける。
彼は通信を一旦止め、4人をゆっくりと眺めながら緊張した面持ちで尋ねて来た。
「……君達は何を見たのですか。急に移動しましたよね?」
その言葉に、弾が答える。
「少し離れた盆地に、巨大な宇宙船のような物が不時着しているのを発見しました」
「やはり見つけてしまったんですね、アレを……我々もあの船を調査したんです」
イヴァンの返しに苛つきを覚えたのか、遼太郎が割って入った。
「いや、調査しなくても詳しいだろう?
あんた達はアレに『乗って』地球に来たんだから」
「遼!」
弾が焦って彼を止めたが、遅かったようだ。
たちまちイヴァンの顔が険しくなり、
「何故それを……どうやって知った……のですか」
と、不信感に満ちた声で言って来た。
「す、すみません、でもあなた達は本当に『避難民』だったんですよね?」
つづみが言った。
「そうそう。違う星から、苦労して宇宙を渡って来たって……ロボット達が教えてくれたんだよ」
里菜が自分の『風』を眺めながら、切なげに呟いた。
「ロボットが?『開拓者』が喋ったと言うのですか?」
「うん。あたし達との方が波長が合うとかなんとか言って、脳の中に話し掛けて来たの」
彼女の話に、イヴァンは驚きを隠せない表情をした。
ロボット達を一望する。
「……信じられない……彼らに意識が?
『神掌』の技術が……
我々はなんという物を作り出したんだ……」
彼は呟いた。が、すぐにまた険しい顔になって4人に伝えた。
「本日午後7時から、緊急会議を開くことになりました。
4人とも出席してください。
……真実をお伝えすることになると思います……」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
イヴァンに言われて出席した夜の会議は、広い作戦会議室で行われた。
その場には上役と思われる研究者達、イヴァン、ケーナ、それに弾と遼太郎、つづみ、里菜がいた。
4人は大きな丸テーブルに沿って並んで座らされている。
彼らの正面に座っている研究者が話を聞き、口を開いた。
「……つまり、あなた達は、私達が地球人ではなく【惑星エスラータ】から漂着した避難民である事を『水』から聞いた、と言う事ですか。
そして他の機体もその事を否定しなかった。むしろ私達の避難船【アトリア】を見付けた際、『この船に乗ってここへ来た』と証言したのですね?」
「はい」
弾が答えた。
研究者達はお互いに顔を見合わせた。
「もう、仕方がないでしょう……」
中でも最高責任者のランゲイルという名の者が言った。
「お話の通りです。私達は地球人ではありません。今まで隠していて申し訳ありませんでした」
素直な謝罪につづみ達は驚く。
「私達の星『エスラータ』はこの星よりもやや重力が重く、大気も薄い環境でした。
概ねご存知のようですが、文明はこの星よりも高度です。
しかし度重なる隕石の落下には勝てなかった……
星から多くの避難民が、同じ形の宇宙船で避難の為に惑星エスラータを離れました。
それぞれ違う方角に超光速航法を続け、その先に我々が発見したのが、この『地球』だった訳です」
「……」
つづみ達は大人しく聞いている。
「この星の重力が我々の星よりやや軽かった事が幸いし、燃料が枯渇しかかっていた【アトリア】でも、大気圏突入後にコントロール不能を回避して、どうにか不時着で済む事が出来ました。
しかしいつまでも船の中で生きて行く事は出来ません。
私達は船を降り、住める場所を探しました。
そしてこの放棄された施設に辿り着いたのです」
「この施設に大量にある資料やデータで、地球人の事を知ったのですね?」
弾が聞いた。
「そうです。我々の文明レベルからすると、この星の言語を翻訳する事は簡単でした。
元々、不時着する前に星の表面でいくつもの戦いの光を見つけていました。
後から知ったのですが、それが月から人類が送り込んだ兵器とAIとの戦いだったのです」
「……その頃から神機があったのか……」
遼太郎が顎に手をやり考え事をするかのように独りごちた。
「いえ、その時はまだロボット形式の物はなく、お互いの兵器の応酬で、常に拮抗状態でした。
どちらも相打ちのようになっていつまでも決着が付かない。
その戦いに彼らの注意が向けられている間隙を縫って、我々は地上に降りたのです」




