ゴブリンナイト相手に戦えるようになったな
毎度恒例ながら本日もダンジョンにやってきた。
本日はなんか人が多いな。
これまた恒例となっている受付カウンターで聞いてみるか。
「なんか今日人多くないですか?」
「ちょっと他のダンジョンで事故が起こって守衛隊が出て封鎖になったんですよ。」
だから今日は人がいるのか。
ところで、守衛隊とは「神災」のあと新設された迷宮対策庁の下部組織だ。
まだ千人程度の所属人数だが中にはαランクの人間も所属しているらしく安全を守っている。
まあ何にせよ今は関係ない。
ダンジョンの中に入るとこれまた大量に人がいた。
駄目じゃん、すぐそこでゴブリンが狩られている。
これじゃあ今日は進化値上がらないな。
ゴブリンを狩る後ろを通ると睨んでくる。
別にあんたらの獲物を取る気は無いっての。
奥に進むとホワイトゴブリンがいる。
あー、結構押されてるな。あれは正面から戦うもんじゃ無いんだけどな。
げっ、2人見捨てて他の奴ら逃げてくぞ。
あとにタンカーと、魔法使いの人が残っている。
「野村、回復魔法って使えるのか?」
「ああ、初級の『回復』だけしか使えないけど。」
「よし、助けるぞ。すみません、加勢します。文句があれば後で聞きますんで。」
高速移動を発動してゴブリンタンカーの首を切りつつ俺は言う。
横では野村が『魔力斬』を発動すると同時に剣でもう一体を切る。
すぐに五体のホワイトゴブリンを倒すことが出来た。
「助かった。俺は石崎健二でこいつは松島美由って名前だ。助けてもらって文句なんて無いさ。後でお礼させてくれ」タンカーの石崎さんが話す。
「いえいえ、困ったときはお互い様ですよ。」
「いや、そんな助けてもらったんだからお礼ぐらいさせてよ。」魔法使いの松島さんが言う。
「じゃあこの魔塊をくれればいい。」と野村が言う。
俺はさっと剣で切り裂き魔塊を取り出す。
「ところで何で置いていかれてたんですか?」
「それがな、俺はこいつと2人でPTを組んで後は臨時でやっているんだが、ちょっと置いていかれちまってな。組む人は選ばなければだな。」
これも何かの縁だからと電話番号を交換して狩りに戻る。
ついでにもう進化値17だし今日は人が多いからゴブリンナイトを相手するか。
「野村、ゴブリンナイトを倒しに行かないか。」
「ゴブリンナイト?またやるのか。止めとけよ。」
「こんどこそ進化値17になったんだ。倒せるだろ。見せたいものもあるしな。」
「そこまで言うならやってみるか。」
またここにやって参りました。
今度は絶対に倒すことが出きると思う。
推奨進化値15は越えたぞ。
二体いたゴブリンナイトを見つけ忍び寄る。
そして、いつものように後ろに回り込む。
ただ、いつもと違うのは俺の合図で野村が『魔力嵐』を打ったあとに俺も『火炎舞』を打つことだ。
二体いたゴブリンナイトは瀕死になっているので飛び出して首を狩ればおしまいだ。
「広斗お前火魔法使えるようになったのか!」
「失笑、俺がそんなに進歩がない人間だと思ったか!」
「ごめん、思ってた。」
野村、お前酷いやつだな。
しかし、火魔法は攻撃と暖房替わりとマシュマロ炙るぐらいしか使えないのだ。
魔法術よりも使いどころがない。
「マシュマロ炙れるような魔法あったか?」
「『発火』て言う魔法でちょっとしたことに使えて便利だぞ。」
その後も俺達はコブリンナイトを狩り続けること二時間、ようやく進化値18になった。
「これは便利だな。戦闘でも使える。」
「なにが便利だって?何の能力魔法覚えたんだよ」
「『情報鑑定』ってやつだ。他の人のステータスも見ることができて、回復魔法をかけるタイミングとか敵の残り体力もわかる。」
それは凄い。鑑定系の能力なら俺も欲しいな。
じゃあ試しに実験だ。
「だったら野村、俺のステータス分かるか?」
「ああ、進化値18、それでたぶん新しい能力魔法に闘術って俺の知らないやつがあるな。」
「当たってるな。この「闘術」ってやつは魔力を全身に流すことで身体強化させられる。」
「便利な能力魔法もあったもんだ。」
別に物理系の人なら誰でも習得できそうだけどな。
野村も習得するといいぞ。
※※※
あれっ?何だここは。道が三方向に分かれてるな。
どこに行けばいいんだ。
「野村、これはどこが正解だ?」
「フッ、人生に正解の道のりなんて無いさ。自分で道を切り開け。」
お前急に格好つけやがって。それ関係ないだろ。
余計なことは言わんでよろしい。
「俺は人生の話しなんてしてない。いまこの場所の話をしているんだ!」
「別にいーだろ、まずは左から順に埋めてくか。」
「また急にダンジョンの話に戻ったな。」
とにかく、左に行って進化値上げをしよう。
って、何で最初からゴブリンナイトがいるんだよ!しかも三体...多いな
ゴブリンナイトは鈍色の体で迫ってくる。
これは退けないな。退いたらまた終われることになる。
「野村、範囲攻撃撃ってから下がって迎撃。術式構築、『火炎舞』発動」
「りょーかい、じゃあ行きます。『魔力嵐』『魔力矢』」
魔法矢が大量に放たれる。うわっ、痛そうだ。
しかし、二種類も連続発動出きるのか。
俺もやろうとして術式ミスってできなかったのに。
まあ、いまは下がって迎撃に集中する。
「よっしゃ、初お披露目だ「闘術」「高速移動」」
「じゃあ俺もだな。『能力上昇』」
俺達はバフをかけて出てくるのを待つ。
飛び出してきて振るわれた剣を受け流す。
重い。まともにゴブリンナイト相手にしてこなかったけどいま分かった。コイツら強い。
俺は横薙ぎのあとに地面を蹴って後ろに回り突きを放つ。
チッ、こっちの後ろから別のゴブリンナイトが出てきやがった。一体を蹴り飛ばして通路に戻す。
「後ろから魔法で援護してくれ!」と俺は言う。
「分かった!『魔力斬』だぁ!」
しゃがんで魔力斬の射線を開け立ち上がると同時に切り上げてから袈裟斬り。
速いっ!下がってから高速の剣撃が来る。
「広人、ナイトの体力はあと四割だ!ただ言いにくいんだが後ろからきてる!」
「それは分かってる!とにかく打ち続けろ!」
「とりあえずダメ押しの魔力針三連だ!」
うわ、同じ種類の魔法とはいえ三連射出きるのか。
俺、まだ二連射もできないってのに
それよりも今の袈裟斬りで一体倒せたこと喜ぼう。
これであと二体だ!
また同じように野村の援護と共に攻めるが攻撃をいなされてなかなか当たらない。
これは俺の奥の手を出すか。
そう思った矢先、大振りの切り下ろしを避けられ吹き飛ばされる。痛った。
「広斗!おい大丈夫か!?」
「ああ、一発奥の手を行くから牽制頼む!」
「了解。プラスで『速動強化』『攻撃強化』」
野村が強化を重ねて剣で攻撃する。
速いな、強化魔法って大分能力高くなったぞ。
あっ、忘れかけてた。こっちの奥の手、中級魔法の術式構築開始だ。
「術式構築完了『火炎槍』野村避けろ!発射」
野村が横に飛び退いたのを確認して初級の2倍ほど魔力がかかる火炎槍を撃つ。
おっ、凄いな。一発で五割弱体力持っていけた。
そこに野村の抜剣が決まり倒せた。
抜剣って…刀でなくてもできるんだな。
「スイッチだ!援護頼む。」
「置き土産の魔力斬だ!ついでに回復も」
もう一度闘術と高速移動をかけ踏み込み剣を振り抜く。魔力斬のあとに剣が刺さり結構いい感じだ。
先に二体倒した安心感が大きい。
太い通路に出してから2人で囲んで波状攻撃する。
しばらくして魔法なしでも倒せた。
魔塊を取り出して座り込み一息つく。
「おい、そんなところで座ったら襲われるぞ。」
「早く言え、もう疲れた。」俺は告げる。
「そういえば中級使えたんだ。」と野村が言う。
「あれだけな。調子にのって中級の魔法書買って覚えようとしてた。」
「しかし、中級あると便利だな。俺も広斗みたいに中級覚えようかな。」
休憩は話と共に更けていく……
そろそろPTの人数増やさないとな。