決戦
俺たちは今穴の中で《地球の使徒》と名乗るモンスターと対峙していた。
こいつは胴が木の幹、脚が蔦、手が柳、頭が薔薇や菊、スミレにチューリップ、ヒマワリなどといった花で構成されているのだが、見事に組み合わさって軍服を着た人間のように見える。
これは芸術品として美術館に飾れるんじゃないか?と思う程だ。
しかし、ただの植物系モンスターと違うことは凄まじい圧だ。
そこに存在しているだけで動きづらくなるほどの威圧がされている。
これはまともに戦うと死ぬ。
だから俺は話し合ってみることにした。
「まあまあ、ちょっとあなたは何がしたいのか言ってみてくださいよ。俺達が用意できるものなら用意してみますから。」
『だったら貴様らの命を寄越せ。』
駄目だ、話にならねえ!
結局戦闘は回避できないのか?
冷や汗をながす俺の横で野村は、
「進化値が六十二か。俺達全員の進化値を足すと二百三十一だから勝てるぞ。」
と言った。
そんな単純計算すれば良いってもんじゃないだろ。
『ふん、行くぞ。防いでみろ。』
地球の使徒はそう言って蹴ってきた。
なんだ?そこから蹴りを放っても……いや、足の蔦がほどけてこっちを切り刻んでくるのか!
右足は蔦に分解して俺達の全面に被さってくる。
「ちっ、後ろに隠れろ!」
石崎さんが言った通りに後ろに周り防いでもらう。
俺は蔦を斬るがなかなか硬い。
火魔法を併用してなんとか斬ったがまた直ぐに生えてくる。
「これでも前戦った時よりは弱くなってる。」
「前?戦ったこと有るんですか?」
「ああ、八王子の事故ってニュースはこいつが襲ってきて四つのPTが壊滅したことなんだ。俺はその時の生き残りだ。」
へー、そうだったのか。
それであの時、守衛隊の人が石崎さんたちに何か思い出したくない過去があると言うようなことを言っていたのか。
まあ、そんなこと言ってられない。
地球の使徒は柳の手を付き出してくる。
指は伸びて槍のように鋭くとがり刺さろうとする。
火炎槍を連発して牽制する。
地球の使徒は顔のヒマワリから種を乱射してくる。
なんだそりゃ、俺が避けた後の地面に種は突き刺さり土がえぐれる。
一発でも当たったら危険だ。
今度は胴から木の枝が生えてきて鋭利な刃になっている葉がこっちに来る。
それをかわし、地球の使徒に接近する。
植物だから燃えるだろ!
『中級魔法程度、俺には効かないぞ。』
やってみないとわからないだろ!
その精神で切ったところから燃やしていく。
確かに耐火性能は高く本体に打ち込んだ火炎矢は消えたが、切った柳の腕は一応燃えた。
危ないところは松島さんと野村がカバーしてくれる。
少し疲れたので石崎さんのところまで戻る。
その時に松島さんが言った。
「ねえ、大技使うから防御が手薄になるけど良い?」
「大丈夫だ、広斗と俺で対処する。」
野村がそう言い、俺と野村は迎撃に移る。
魔力の上昇を感じたのか、地球の使徒は猛攻撃をかけてくる。
しばらく数十分に感じる三十秒を過ごした。
松島さんは、閉じていた目を開いた。
その足元から大規模な魔法陣が開いていき地球の使徒に達した。
その時、数十枚の障壁砲が閉鎖空間内で炸裂した。
大技って閉鎖結界の中で威力を増幅させて対象を破壊する技か。
その分効果はあったみたいで、
「おお、あいつの体力四割減って後、三割だな。」
と言った。
まだ三割もあるのか?!
今、地球の使徒は白目向いてるし逃げられないかな……
そう思った時、気を抜いていた石崎さんの盾が弾き飛ばされた。
もう気を取り戻したのか。
『今のは流石に危なかった。だがもう容赦しないぞ。』
これぞ人生最大のピンチだ。
三割、絶対に削り切ってやる。




