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シンカのキセキ  作者: 犬
3/4

3人の約束

女と化け物の戦いから10数年が経過した。

今や惨劇の舞台となった台地には緑が生い茂り新しい村ができていた。その村の名はバール村。

今そのバール村で新しい物語の幕が開けようとしていた。


ー村の丘に立つ一本の大樹の日陰でー



「なあロイ、シンカって知ってるか?」

「しんか?」

「なんだよお前、シンカも知らねえのかよ。お前って昔っからそうだよな、男なら強くなって英雄になりたいとか思ったことねえのかよ」

「ないね」


目を輝かせながら聞いてくる親友の質問にロイは悩むそぶりも見せずきっぱりと答える。


「大体さ、俺喧嘩とか嫌いなんだよ。それに..」

「それに..?」


二人の間に沈黙が走る。そこに忍び寄る一つの足音


「二人とも何の話してるの?」


そこへ現れたのは一人の村娘。

風になびく黒茶色の長い髪に、二重で橙色のぱっちりとした瞳。村一番の美少女。


「やっときたかーなあフォルテ、お前はシンカって知ってるか?」

「シンカ?」


またも親友が同じ轍を踏む前にロイは忠告する


「おいラスク、そのシンカって話はまた後で話せばいいだろ。フォルテも困ってるぞ」

「あ、それもそうだな。今日はどこにするフォルテ。今日はお前が決める日だろ?」

「フォルテ?」


ロイの問いかけにフォルテはハッと我に返りニコっと笑うと


「今日はみんなで昔作った秘密基地に行きます」


と言い放った。


「そりゃあまた懐かしいもん引っ張り出してくるなー」

「前タイムカプセル埋めたでしょ?それを見に行こうと思って」

「そういえば埋めたなーもう俺らも17だし丁度いいかもな」

「よし、そうと決まれば早速行こうか、ここからかなり近いしあっという間だろう」

「おう」


日陰から2人分の影が陽の光を浴び同じ方向へ移動していく。


「ねえ2人とも」


ロイとラスクはゆっくりと後ろを振り返る


「あのね、私はね、これからも2人と一緒にいたい。これから大人になっても時間があるときに3人で集まって一緒に遊んで。私それだけで十分だから、だからね」


フォルテの目はかすかに涙で潤んでいた。


「なんだよ改まって、そんなの当たり前じゃねーかよ。大人になっても変わらねーよ」

「ああ、ラスクの言うとおりだ。絶対に離れたりなんてしない」


2人の強い言葉をフォルテは受けると


「なんでこんなこといきなり言っちゃったんだろ。ゴメンね、」


そういうと涙を払い、


「じゃあ秘密基地に向けて出発!」


いつものフォルテに戻るのであった。


この時ロイは気付いていた。ラスクがフォルテにシンカについて聞いたとき、フォルテの体が一瞬であったが震えていたことを。今日のフォルテは何かが変だということを。


日陰から飛び出す影が1つ。

3つの影は仲良く同じ方向に進みだした。








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