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04 選択

『朗報です。マスター達のおかげでワタシは一つ上のステージに行けました。ダンジョンの格を五段階で表すと、ワタシはやっと一番下の一まで来れました』

「それって朗報なのか? 一番下とか雑魚っぽくね」


『今まではその雑魚にすら成れていなかったのです。大きな進歩ですよ。ワタシの機能も大幅に拡張されました。書類にまとめて置きましたのでご一読下さい』

「あー? 書類とかめんどくせぇよ。口で説明しろ」


『多岐に渡りますので時間がかかります。よろしいですか?』

「よろしくねーよ。俺は毎日海に潜って疲れたから、二~三日休む。便利そうな機能だけ教えてくれ」


 俺は島にあるダンジョンのベッドにアミと一緒に寝転ぶ。最近解ってきたのだが、アミにある程度ボディタッチしてると発情するらしい。

 だからヤリたくなった時以外は過剰に撫でないように心がけた。そんな事を言いつつ、アミの胸を揉みしだきながら先端の果実を摘んでクリクリして遊ぶ。


 アミは息か荒くなって下半身を擦りつけてくる。すげぇよなぁ、この穴。まるで中に何匹もの蛇が蠢いている様だ。感触を楽しんだ指を引き抜き、我が分身を差し込む。

 今日もオールナイトで楽しむとしようじゃないか。なんて、余裕は実のところ全く無い。ある意味命をかけた交尾だ。




『マスター、そろそろよろしいですか?』


 アミとねっとり交尾を存分に楽しんだ頃合いを見てコアが話しかけてきた。空気読んでくれるイイ奴だぜ。


「ああ。便利機能はどんなの使えるようになった?」

『現在コアの分体を一つ作成出来ます。分体に作ったダンジョンを任せる事が可能です。ちなみに分体が破壊されても本体には影響ありません。そして、ワタシの小型化ですね。これで常にワタシ本体を持ち運べます』

「お前を常に持ち歩くメリットあるのか?」


『あらゆる状況下でサポートが出来ます。必要な場面で適切な魔法や耐性をセットしたり、即座に有用なアイテムを創る事も可能です』

「なるほどな。弱点を持ち歩く危険を冒してまでのメリットもあるのか」


『マスターの認識で言えばピンポン玉程の大きさになれますので、ミスリルで創った容器に収納して持ち運んでいただければ多少は安全です。既に容器は作成済みです。ストレージをご確認下さい』

「多少ねぇ。ミスリルをぶっ壊せる奴がそこらに居るのか?」


『例えばマスターが海で戦ったクラーケンには噛み砕かれますし、ミスリル以上の強度を持つ武器でならば破壊可能です。現在の状況は不明ですが、160年前は強力な武器を持つ人間はそれなりに居ました』

「おっけーわかった。他には何か無いの?」


『個体名アミを我々のダンジョンモンスターとして登録出来ます。登録のメリットはワタシが個体名アミに魔法や耐性をセット出来ます。デメリットは我々が死ねば個体名アミも死にます』

「それはアミに相談しないとだな」


「いいよ。私、ダンジョンモンスターになる」


 俺に抱きついて寝てたアミが突然会話に入ってきた。その目には一切の迷いが無い。異世界で最初にアミに出会えた幸運だけは、あのチャラ神に感謝するぜ。


「本当にいいんだな? 俺としては嬉しいけどよ」

「うん。ユージーが居ない世界なんて意味無いもん」


 それからアミはコアの指示に従い、ナイフで指先を斬って出た血をコアへと登録した。これでアミもストレージを使えるし、アミと相性も良かった火魔法もセットした。

 だが、俺が喜んだのは人化の魔法だ。これを使うとアミの魔力が続く限り人間の姿で居られる。本来ラミアクイーンなら使えて当たり前らしいが、アミはその手の教育をされなかった箱入りラミアぽい。


『大陸に渡るには、アミのチカラは必要不可欠です。今までの様に尻尾は使えません。人間の足で戦う訓練もした方が良いでしょう』



 ◆◆◆◆◆



 現在コアはアミを人間の姿で戦える様に、新たに創った魔物のシャドウアサシンと練習試合をさせている。このシャドウアサシンって奴は兎に角速い。そして強い。

 俺も戦ってみたが、まるで手に負えなかった。俺って案外弱いのか……と項垂れてしまったが、俺の強さはコアと連動してるので、コアの格が上がれば俺の強さは別格なものになっていくらしい。


 そんなシャドウアサシン相手に慣れない人間の足でそれなりに戦える様になってきたアミは凄い。現状の俺より遥かに強いわ。なんとも言えん気分だぜ。


 悔しいのでアミが休憩している間に俺も訓練している。極限まで体を使って運動するのって気持ち良いな。学生の頃、陸上部で頑張っていたのを思い出した。

 魔法も訓練してるぞ。咄嗟に魔法が使える様に何度も繰り返し使用して体に馴染ませる。スポコン漫画を地で行く訓練に俺は結構楽しくなっていた。


 それから俺達は約一ヶ月訓練に時間を費やした。女達は船で呑んだくれていた。俺が大量に差し入れしたス○ロングゼロをキメまくってしまったらしい。

 俺も久しぶりに呑んでみたら美味かった。口当たりが良いからグビグビいけちゃうよね。


 

 大陸へ行く準備も出来て、俺達はダンジョンを引き上げて船に乗り込む。女達は「やっとかよ……」みたいな顔してる。すまんな。その代わり贅沢させてやったし許せ。

 船は順調に進み、スピードを上げて行く。このスピードならば、二日程で大陸に着くらしい。ふと思ったが……この豪華クルーザーって目立たないか?


「コアよ、豪華クルーザーって、この世界的にどうよ? 目立つよな?」

『人間の居ない場所から上陸すれば問題ありません。馬車も一応創りましたが、ワタシが居た時代から160年経ってますから進化もしている事でしょう。現物を見て創り直した方が良いと思われます』


「そんじゃ、その予定で」


 船の上では、改めて女達と色々話したり、大陸の地域等の情報を共有した。ていうか、全部コアが記録したので俺は全然覚えとらん。

 人化したアミとの交尾もしまくった。人化しても中の蠢きはそのままなので、腰を使う事によって更なる刺激に3秒も持たずに果てる。これに慣れたらもう普通の女じゃ満足出来なそうだ。


 そんな爛れた船上生活だったが、ついに大陸が見えてきた。コアが簡易的に桟橋を浜まで創ったので、そこに船を横付けにした。時間的には夜中で真っ暗だ。

 真っ暗な砂浜へ上陸していくなんて何処かの国の工作員みたいだな。渡りきって直ぐ桟橋を撤去して船をストレージに仕舞う。馬車を三台出して乗り込み、街道を目指して走った。


 ちなみに馬車は立派な二頭立てだ。ただし、馬はコアが創った魔物だ。見た目は普通の馬だけど、パワーも持久力も桁違いらしい。馬車は俺の知識を参考にコアが工夫してサスペンションを付けた。

 女達曰く、乗り心地が素晴らしく良い馬車みたいだ。日本車に乗り慣れた俺からしたら振動結構来て酔いそう。馬車には馭者が必要だが、実はそれも魔物だ。ゴブリンを人に模して創り変えたものらしい。

 なんていうか、禁忌に触れる行為だよな。コアって何でもアリ過ぎてヤバイ。まぁ、便利だから気にしない事にしよう。はい、おやすみ。



 翌朝目が覚めると馬車は街道を走っていた。現在地は南の大陸左下あたり、女達の情報からするとプルメリアという街の近くまで来ているみたいだ。

 コアの話では、この世界には大まかに四つの大陸があり、今俺達が居る南の大陸はアムワイという名らしい。ぶっちゃけ名前なんてどうでもいいから聞き流してる。


 女達は、そのプルメリアに向かう船から拉致されたのが殆どで、港から拉致された子もプルメリアから攫われてきた。どうもこの周辺の海は治安がよろしくないみたいだな。

 俺からすればボーナスステージだ。海賊狩りが楽しみだぜ。あー山賊でも襲ってきてくれんかなぁ。対人戦用に創った武器の効果を確かめたい。


 結局何事も無くプルメリアに着いてしまった俺達は、お荷物の女達を放流する。それぞれ金貨10枚くれてやった。実家なり嫁ぎ先へと帰ってく女達を見送ってから街の中を馬車で進む。

 異世界の街は意外に綺麗で、地球にあってもおかしくないレベルの建築物の街並みだった。それと馬車は160年経っても特に進化はしてない感じで俺達の馬車が目立つ事も無かった。


 この世界は技術が停滞してるんかね。地球で160年の歳月があれば蒸気機関ぐらいは余裕で開発出来ている。それをすっとばしてガソリン車も作れるかもしれない。尤も、この世界に化石燃料があるのか知らんが。

 そんな事を考えながらぼーっとしていると馬車が止まった。まずはこの街を拠点として活動する事にあたって家を購入する為に商業ギルドに来たのだ。

 家の購入手続きには商業ギルドカードが必要なので、余所者の俺達には出来ないらしい。コアがカードを偽造すれば出来るだろうが、その必要も無いようだ。


 最終的に俺達に保護を求めて四人の女達が残った。その中で元商業ギルド職員のアネルが商談をまとめてくれる事になった。アネルは夫と娘と共に船でプルメリアに渡って着た際に海賊に襲われてしまった。

 夫は即殺されたらしい。娘はまだ幼いので陵辱はされなかったが心が病んでしまって日常生活に支障をきたしている。アネルに抱きついて片時も離れない。


 俺達は馬車を降りて、娘を抱いたアネルを先頭に商業ギルドに入っていく。ほぉ、建物の中もよく出来てる。田舎者みたいにキョロキョロ見ながら進む。

 受付嬢にアネルが事情を説明すると別室に通された。ここは商談スペースみたいだ。フカフカのソファーにドカっと座り、隣に座ったアミの肩を抱いて足を組んだ。すぐに来た職員が頭を下げ、向かいのソファーに腰掛ける。


「全員で住める大きな家がご希望との事ですが、立地はどの辺りをご希望でしょうか」

「いい感じの場所を頼む。あと、庭が広い所がいいな」


「……えぇーと、そうしますと、この辺りはいかがでしょうか」


 困った客だなぁ的に苦笑する職員が街の見取り図を指差す。その場所は街外れで周りは森と農地が広がっているみたいに見える。開発途中の土地なのかもな。


「随分と街外れだな。不便そうな立地だが生活に問題ないのか?」

「問題ございません。下水道も通ってますので排水で困る事もありませんよ。こちらの家は新築でして、本来は貴族様の別荘として建てられたのですが、没落されまして売りに出されました」


「とりあえずキープする。他には?」


 職員の説明をアネルと共に色々聞いたが、俺達の事情からしたら街外れは都合が良かった。無駄に広い敷地だから何をやっても近所を気にする必要はないしな。

 そんなわけで最初すすめられた場所を仮決定して、家を見に行く事にした。馬車に乗って着いたそこは森の中にあるお屋敷だった。この森も所有地範囲とのこと。


「いいね。ホラー映画とかで追われた主人公達が助けを求めて辿り着く屋敷みたいだ。結局屋敷の中が一番ヤバいんだけどな」

「そ、そうですか? お言葉の意味はよくわかりませんが、中を案内します」


 屋敷の中は各部屋が広くて大きな風呂がある中々良い感じだった。貴族が愛人連れ込んでパリピする屋敷だろうか? 俺的には愛人は要らん。雌奴隷ならいいかもな。

 正直屋敷の間取りは関心なかった。一階の俺の部屋にダンジョン創ってそっちで暮らすからな。女達はそれ以外の場所を勝手に使えば良い。

 はい、ここ決定でいいよ! 面倒になった俺の一言で購入が決定した。商業ギルドに戻り、手続きを進める。その辺は全部アネルに任せた。


「そう言えば聞いてなかったが、屋敷の値段は?」

「大金貨800枚となっております。即決していただいので、大金貨750枚に割引いたします。どうでしょうか?」


 俺はストレージの中から聖金貨7枚と大金貨50枚を出して積み上げる。実はコレ、コアが創ったカネなんだよね。贋金では無いよ。材料も形も本物と同じだから実質本物なのだ。

 職員はカネを専用の魔道具に入れて何かしている。どうやら贋金じゃないかチェックするらしい。当然結果はセーフ。実はちょっとドキドキした。



 ◆◆◆◆◆



「さて、屋敷を手に入れて、こうしてお前達を受け入れたわけだが、俺に無条件で協力するって事でいいんだな?」


 俺は手に入れた屋敷のソファーに座り、前に立っている女達を見渡す。左からアネル。6歳の娘のルル。船の護衛をしていた冒険者のエリナとイリナ。この二人は姉妹らしい。

 エリナとイリナは海賊の執拗な拷問により、心と体が壊れしまっていたが、コアが創った回復薬で復活した。見た目は二人共に美形だ。

 姉のエリナはブロンドの長い髪を編んで一本に纏めている。妹のイリナは長い髪を二本に編んでいた。顔がそっくりだから見分けやすくていいね。


「はい。夫と財産を失った私と娘には行く場所がありません。何でもします。よろしくお願いします」

「私と妹は、あなたに助けられた恩返しをしたいのです。あのままでは遠からず殺されていたでしょう。体を切り刻まれなが過ごしたあの絶望は……」


「いいぜ。アネルは屋敷の家事を任せる。掃除とかメシな。いや、これだけ広いと一人じゃ無理だろうから後でメイドでも雇うか。エリナとイリナは俺達と一緒にとある活動をしてもらう」

「とある活動とは?」


 意味深な言い方の俺を見たエリナとイリナはゴクリと唾を飲み込む。俺は二人の程よく育っている胸を鷲掴みにして二人を引き寄せる。


「愛人として仕えろ……という事でしょうか」

「いや? 女はアミで間に合ってる。ちょっと耳貸して貰えるか?」


 俺は姉妹に小さな声で囁く「死んでくれ」と。

 ハッっとして、エリナはイリナを押し退けるが、目的は既に達していた。俺は倒れ込む二人を抱き留め別室に運んだ。

 もう少ししたら結果がわかる。出来れば仲魔(・・)になってくれるといいな。




 私はあの時、妹のイリナと共に銀級冒険者として船の警護の仕事をしていた。しかし、突然現れた海賊から依頼主を護る事も出来ずに無様に捕らえられた。

 咄嗟に保身の魔法をかけて海賊の陵辱からは逃れたが、海賊はそれに逆上して私達に連日激しい暴行を繰り返した。保身の魔法とは肉体を護ると共に性交を不可能にする魔法。

 私達は毎日少しづつ切り刻まれ続けた。観念して魔法を解こうかと何度も思った。そのうちに何も感じなくなって、生きる屍になっていた時にエルフとラミアが来た。


 立ち上がる気力すら無かった私達は彼らに抱えられて助け出された。怪しい薬を飲まされると、意識がハッキリとして視界がクリアになった。その後は何日も船で放置されたが、待遇は悪くなかった。

 時々来るエルフの男は私達にあまり関心が無い。美味い食事と美味い酒を大量に置いていく不思議な男だ。どんな活動をしているのだろう? 私は彼へ興味を持ち始めた。


 ある日私は彼に訪ねてみた。彼は笑顔で言った。「俺は悪い奴を屠る仕事をしてるんだ」と。その笑顔に不安を感じたが、私もその活動の手助けをしたいと思った。


 その結果が……これなのか。私とイリナは今謎の空間居る。眼の前には真っ黒い玉が見える。その玉からは、深い海に引きずり込まれてしまう様な恐ろしさを感じる。


『アナタ方には二つ選択肢があります。ダンジョンモンスターとなってマスターと共に活動するか、そのまま死ぬかです』

「どういう事? ちゃんと説明して! あなたは何者なの」


『わかりました。少しキツいかもしれませんが耐えて下さい』

「え? あ、え、いゃぁぁぁぁぁぁ」「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ……」


 頭に突然入ってきた膨大な量の情報に、私とイリナは悶絶する。それはダンジョンの、歴史、役割、そしてユージーとアミが何者なのかという事。


『ご理解いただけましたか?』

「つまり、ユージーと共に悪人狩りをしつつ、他のダンジョン乗っ取りの手助けをしろと?」「お姉ちゃん……私怖い」


『アナタ方の姿はそのままにモンスター化しますので、ご安心下さい。種族はマスターと同じ魔人となります』

「こんなの直ぐに答え出せないわ。時間が欲しい」


『25分迄なら待ちましょう。それを過ぎればアナタ方を吸収してワタシの糧とさせていただきます』

「……」


 私達は今、悪魔的な選択肢を迫られている。答えはほぼ決まっているけど、妹の事を考えると即決は出来なかった。

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