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エルデンリングが面白すぎて投稿が遅れました。もう100時間以上やってる…
フレイヤの転移魔法とやらでエルフの森に来た。
「綺麗なところですね…」
「そう?よくわかんないわ」
そこは幻想的な場所であった。地球の森林とは全然違う。葉は緑だけではなく様々な色をしており木によってその色は異なる。木も葉もとてつもなく大きい。木はぱっと見でも50mはありそうだ。そして森の中央にはもっと巨大な高さ100mはありそうな巨木が立っていた。召喚された殺風景な氷景色とは全く違うまさに異世界といった空間だった。
「でもグレイスが喜んでくれるなら良かったわ」
そういうとフレイヤはにっこり笑った
「ねぇ、何処に家を建てる?やっぱり水が必要だから川の近く?家具はいっぱい持ってるから好きなのを一緒に選んで2人でレイアウトしましょう!寝室は一緒でいい?」
フレイヤが怒涛の勢いで喋りだす。これからのグレイスとの生活を想像して興奮しているようだった。
「ええーと…どうしましょうかね」
その勢いに押されて曖昧に返事をするグレイス
それからもしばらくフレイヤの理想の家の妄想を聞いているといきなりフレイヤが沈黙した
「誰よ?隠れてないで出てきなさい」
明らかに怒った声でフレイヤが静かに言った。今までの天神乱漫な雰囲気とは違い今にも爆発しそうな爆弾を見ているような恐ろしい雰囲気だった。
「申し訳ございません。お二方があまりにも美しくて見惚れていました」
そう言って木の影から老人が出てきた
(エルフだ!)
グレイスは心の中で密かに興奮していた。エルフなんて漫画や小説の存在が目の前に立っている。欲を言えば若い女性のエルフが良かったがエルフを見たというだけで異世界感がぐっと増した。
(なんかすごい貫禄があるな…)
目の前のエルフは仙人のような見た目であった。白くて長い髪を後ろで縛り、立派な白い髭を蓄えている。杖をついているが背はピンと伸びその目は力に満ち溢れていた。漫画の強キャラ感がするエルフだった。
「何か用?用がないならとっとと消えて」
(なんかフレイヤこの人に当たりが厳しくない?エルフ嫌いなのかな)
エルフというより人間や亜人全般が嫌いでグレイスだけが例外であるのだがこの時の彼女が知る由もなかった
「私はこの森のエルフの族長をしているモリスと言うのですが、非常に強い魔力を感じてこ様子を見にきたのです」
「ひょっとしてこの森全域の魔力を検知できるの?」
「さようでございます」
「ふーん、大した魔力検知ね」
「恐縮です。ここに来た理由を伺ってもよろしいですか?」
「あんたには関係ないでしょ、確認なら済んだのだから早く失せなさい。チンタラしてると燃やすわよ」
まぁまぁ、フレイヤさん。私たちは安住の地を求めてここに来たんですよ
そう言おうと思ったがグレイスは緊張して声が出なかった。そう、実はグレイスは人見知りだった。フレイヤの場合は出会いが衝撃的すぎてノリでなんとかなったが、落ち着いている状況だとなかなかうまく話せない。しかし、喧嘩になりそうな状況を抑えるべく声を捻り出す。
「安住の地…」
今のグレイスにはこれが精一杯だった
「なるほど安住の地ですか…」
(ええ、フレイヤさんが元々住んでた場所は私には厳しくて)
「えぇ…」
頭の中では喋っているが声に出るのは短い単語だけだった
「そうなのですか。失礼ですがお名前を聞いてもよろしいですか?無知なもので貴方様のような方は見たことも聞いたこともないのです」
(あぁ、こちらこそ失礼しました。私はグレイスと言います。一応悪魔です)
「グレイス…一応、悪魔…」
「悪魔ですか…それはとても珍しいですな」
「もういいでしょさっさとどっか行って」
フレイヤはグレイスが誰かと喋るのが面白くないようでさらに機嫌が悪くなり会話に割って入った
「いやしかし…「うるさい!この森ごと燃やすわよ!」」
「失礼しました、今日は帰らせていただきます。しかし1つだけお願いがございます。エルフとエルフの森に危害を加えないで頂きたい。これだけは譲れないのです」
「それはあんたら次第ね」
「こちらから危害を加えないように厳しく言い聞かせますし、もし失礼なことがあったなら私からしっかりと罰しますので気に触ることがあっても何卒寛大な判断をお願いします」
「なんで私があんたらの都合に合わせなきゃいけないのよ!」
フレイヤは怒りのあまり周りに炎を纏い始め怒鳴った。その熱気は20mは離れているモリスの元にも伝わってくる。選択を間違えたとモリスが臨戦態勢に入った所で仲裁が入った
(まぁまぁ、落ち着いてください。何かあったらモリスさんが対応してくれるみたいだし、ここはエルフの森なので少しは融通しましょうよ。私は気にしませんよ)
「気にしてない…」
「グレイスがそういうなら…」
さっきまでの怒りが嘘のようにフレイヤは大人しくなった
「寛大な判断恐れ入ります」
「早く行きなさいよ」
「はい、失礼いたします」
そういうとモリスは森の中に消えていった
Sideモリス
(助かった…)
グレイス達から離れた場所でモリスは疲労から座り込んでいた。額には冷や汗をかき、手は震えている
「まさかここに住むつもりとは…」
本当なら全力で断りたかったがそんなことをしたら何をされるかわかったものではない。危害を加えないという条件を承諾させただけでも御の字である
「あの悪魔は何者なんだ」
フレイヤと一緒にいたグレイスと名乗る悪魔のことを考える。厄災を手懐ける悪魔。十中八九まともじゃない。そもそも悪魔なんて数百年生きるモリスですら見たことがない、存在するかも怪しいものだった。しかし、彼女は悪魔を名乗っている。外見は恐ろしく美しく、表情はなく端的に喋る。その声からは感情が感じられなかった。冷酷で非常な雰囲気を感じた。モリスには彼女がフレイヤよりも恐ろしい何かに思えた。
「どうかエルフに厄災の怒りが向きませんように」
そう呟きモリスはエルフの森の中央にある巨大樹に祈った
Side グレイス
(あぁ〜上手く喋れんかった)
グレイスとて一応バイトなどをして人見知りを克服したつもりでいたが、やはりバイトの時はスイッチを入れて対応しているが今回はいきなり人と喋ることになったし、第一にエルフに会ったという興奮などから人見知りが発動してしまった
「どうしたの?」
項垂れるグレイスにフレイヤが心配そうに話しかける
「人と喋るのは苦手だなって思ったんですよ」
「確かにさっきは口数少なかったわね。でもクールでかっこよかったわよ」
「そうですか…」
「でも私とは普通に喋れてるわよね」
「フレイヤさんは何故か大丈夫なんですよ」
「ふーん、私だけ特別なんだ」
「まぁ、そうですね」
その言葉を聞きフレイヤはグレイスに抱きつく
「え?なんですか?!」
「別にぃ〜」
フレイヤはニヤニヤしながら抱きついて顔をグリグリとグレイスの胸に擦りつけた
新事実、グレイスは人見知り
そして色々不憫なモリスさん、これからも不憫な目に遭います