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(自堕落に生きていくという事が決まったならば環境を整えなければ!ここは生活するには不便だ)


グレイスは自分が召喚されたフレイヤの家の中を見渡す。まず、全体的にかなり朽ちていて、中からでもかなり不格好な家だという事がわかる作りだ。長い間ここにいたからしょうがないのかもしれないがやはりこの埃まみれの環境で毎日寝起きするのはきつい。フレイヤがあたりに散らかっていたものは魔法で収納したが、いかんせん家が古すぎる。素人目に見ても倒壊寸前で建て替えるべきだと思えた。


「この家はフレイヤさんがつくったんですか?」


「ええ、そうよ!」


フレイヤが自信満々に答える


「言いにくいんですが、立て直したり修繕したりって出来ますか?」


「え?この家って汚い?」


フレイヤが不安げな顔で聞いてくる


「いえ!汚くはないですが、ちょっと古いっていうか…正直壊れそうで心配なんです」


「うーん、建て替えるにしても修理するにしても素材がないのよね」


「素材ってどこで手に入るんですか?」


「合腹だけど人間か亜人が加工したものね。私にそういった技術はないの」


「魔法でどうにかならないんですか?」


「魔法もそこまで万能じゃないのよ」


フレイヤが悲しそうに呟いた


「あの、心機一転して他の所に移り住みませんか」

(できれば文明が発展した所に)


「なんで?」


「ここは寒すぎますしもっと住みやすい場所があると思うんです」


「うーん…」


「いや、ですか?」

(頼む!こんな寒くて住みにくい所で生活したくないんだ!)


グレイスは心の中で叫ぶ


「わかったよ、グレイスがそこまでいうならしょうがないわね」


「ありがとうございます」

(やったー!)


思わず微笑む


「フレイヤさんは何処か住みやすい場所知りませんか?」


「私が知っている限りではエルフの森かしら」


「エルフの森?」


「ええ、名前の通りエルフが支配している森よ。エルフは排他的な種族だからエルフ以外の種族はそこの森にはいない。広大な土地だし私たちが移り住んでも多分気づかないでしょ」


「いいですね!」

(エルフといえば王道の所属だな。可綺麗な子が多いんだろうなー)


グレイスは呑気にエルフという単語に浮かれていた


「じゃあ、行きましょうか」


「え?もう行くんですか?」


「転移魔法でいつでも帰って来れるし、とりあえず下見に行きましょう」


「なるほど下見ですか。行きましょう!」


こうしてグレイスとフレイヤはエルフの森に転移した


Side???


「おいっ!族長が緊急の話があるって!」


絵画に出てきそうな金髪碧眼の美しい男が焦った様子で周りに呼びかけていた。その男はもし日本にいたならば10人中10人が性別問わずに振り向くような中性的なイケメンだったが、普通の人間と違うところが1つあった。耳が尖っていたのだ。そう、彼はエルフであった。


「すぐに行く!」


周りのエルフたちも彼のただならぬ様子に押されいう通りにする


「族長が呼び出しなんて一体どうしたんだ?」


「分からないがかなり焦った様子だった」


「あの族長が?珍しいな」


数人のエルフたちが族長と呼ばれるエルフがいる家に入っていった。

部屋の中心にはシワだらけのエルフの男がいた。見るからに長く生きているという事がわかるその姿だが、腰はしっかりと伸びその眼光は鋭く、弱々しい雰囲気などは一切なかった。


「まずいきなり呼び出してすまない。だがもちろん呼び出したのには理由がある。単刀直入にいうと儂の探知魔法に強大な反応が引っかかった」


エルフの族長は世襲制であり、世襲するとともに特別な魔法が伝えられる。それが探知魔法だ。唯の探知魔法ではない、広大なエルフの森を全て網羅する事ができる強大な魔法だ。


「問題はこの強大な反応の正体だ。遥か昔、族長になったばかりの頃に見た事がある」


「一体なんなんですか?」


「厄災だ」


「…!」


数百年前、エルフの森の半分が焼失した。それはたった1人の妖精の癇癪によって引き起こされた。詳しいことは語られていない、その事件を語ること自体が一種の禁忌とされてきた。だがその妖精の名前は語り継がれている。その名は妖精フレイヤ。名前を呼ぶことすら忌々しく、厄災と呼ばれている。


「最近の目撃情報はなかったからてっきり死んだのかと…」


「なんでここに来るんだよ!」


「まさか、また森を燃やしに…?」


集まったエルフたちは厄災が現れたという事実にざわついた


「どうするんですか長老!」


「厄災には誰も勝てん。エルフ全員で挑んでも根絶やしにされるだけだ。交渉して速やかに帰ってもらうしかない。」


長老は力なく言った


「無論交渉には儂が出る」


「そんな!もし族長に何かあったら私たちは!」


「安心せい、次の族長はすでに決まっている。それに儂はもう十分生きた。若いものを死地に送ることはできん」


「そんな…」


エルフたちは悲壮感をあらわにした。しかし、族長の意見に反対するものは1人もいなかった。厄災を前にして交渉をするなんて真似をできる自信は誰にもなかったからだ。



「儂は今すぐに向かう、皆はここで待機していろ。もし、明日までに帰らなかったら次の族長の指示を仰げ。エリーまかせたぞ」


「…わかりました」


時期、族長として指名されているエリーという名のエルフは渋々了承した


「では行って来る」


そういうと周りの制止を振り切り族長は足早に厄災の元へ向かった。魔法で向かわないのは何が敵対行動とみなされるか分からないからだ。歩きながら族長は今までの人生を振り返った。族長になったばかりの頃、結婚、息子の誕生、妻との死別、孫のエリーが生まれたその聡明さから時期族長に指名したこと…長く生きてきて嬉しかったことは沢山ある。その幸せをくれた村を崩壊させるわけにはいかない。族長は強い決心を胸に厄災の元にたどり着いた。


「どういうことだ…?」


そこには厄災フレイヤと気配を探知できないもう1人の存在がいた。族長は息を飲んだ。フレイヤにではなくフレイヤの後ろにいる存在に。あまりに美しかった。この世のものとは思えないほどの美貌。族長はその時フレイヤの存在を一瞬忘れてグレイスに見入っていた。


それがエルフの族長モリスとフレイヤ、グレイスとの出会いであった






エルデンリングが面白過ぎる…

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