4
フレイヤサイドは少なめです
美少女と友達になって浮かれていたグレイスだが、少し冷静になってみると色々急展開すぎる。この世界についての知識は全くないし、フレイヤが召喚主であること以外は何も知らない。そのフレイヤは目の前でニコニコしながら部屋を片付けている。
「ちょっと質問してもいいですか?」
「もちろん!なんでも聞いて!」
「私はこの世界とは別の場所に生きていて、こっちの世界について全く無知なのでこの世界の常識についてしりたいんです」
「常識っていうと広すぎて説明が難しいんだけど…そうね、まずこの世界の名前はパレスっていうのの。大きく分けて5つの大陸があるって、ここは人類未開の最北の地よ。寒すぎて人間も亜人もいない。寒さに強い動物や魔物が少しいるだけ。随分前にこの土地に来たから、今の人間や亜人の社会には疎いのよね。多分、国とかも大分変わってるだろうし」
「ここに来て長いってどのくらい?」
「この土地は季節とかもないからわかりにくいけど100年以上は経ってると思う」
「100年…」
(え?この子ってそんなに生きてるの?)
「あの、フレイヤさんって何才なんですか?」
「年齢?んーわかんないけど1000年ぐらい生きてるのかな?」
「あのフレイヤさんの種族ってなんですか?」
「私は妖精。炎の大妖精フレイヤよ!」
「妖精ですか…あの、人間が住んでる土地ってここからどのくらいの場所にあるんですか?」
「一番近いところでも飛行して一週間はかかるわね」
「一週間ですか。随分遠いんですね…」
「んふふっ飛行したらね!私は転移魔法が使えるから一瞬でいけるわ!」
フレイヤや薄い胸を張って得意げに言った
「グレイスは人間に合ってみたいの?」
「ええ、まぁ」
(元々人間だったし)
「人間なんて糞だから合わないほうがいい!」
フレイヤはいきなり声を荒立てた
「え?」
「いい?グレイスはここに来たばかりだから知らないだろうけど人間とか亜人っていうのはね自分勝手で傲慢なクズばかりなの!」
「え?そうなんですか?」
「そうよ!グレイスなんて綺麗で弱そうだから人間界に行ったらすぐに捕まっっちゃうわ。」
「そうなんですか」
(この子めちゃくちゃ人間のこと嫌いだな。絶対元人間だって言わない様にしよう)
グレイスは密かに決心したのだった
「まぁ、私が居れば人間に手出しなんてさせないけどね。グレイスは私が守ってあげるわ」
「ありがとうございます…というか私って弱そうですがか」
「ええ。魔力もほとんど感じないし体術を習った動きでもないし強そうには見えない」
「魔力がほとんどない?」
「うん。自分の事なのに知らないの?」
「実は悪魔に生まれたばっかりでして」
「そうなんだ!グレイスは生まれたばっかりなんだ!」
何故だかフレイヤは嬉しそうに言った
「はい、だから世界の事も自分の事も全然わからないんですよ」
「安心してグレイス!これからずっと一緒にいるんだから全部私が教えてあげるわ!」
「ありがとうございます…」
(なんかやけにテンション高いな…)
「とりあえず座って!これからの事を一緒に考えましょう?実は友達が出来たの初めてなんだ!」
フレイヤは何もない空間から椅子と机を取り出すとそこに座る様に促した。友達いないんだとちょっとフレイヤに同情しつつグレイスは何処かともなく家具を取り出した事に驚いた。
「それって魔法ですか?」
「そうよ。空間魔法っていうの。すごく便利なんだよ」
「私にも使えますかね?」
「今は無理だけどきっと使えるようになるわ。グレイスは悪魔だから寿命が存在しないの。長く生きてれば魔力も増えるだろうし使えるようになると思うよ。」
「そうですか…」
(テンプレの収納系の魔法は使えないんだ…ていうか俺、寿命ないの?不老不死?)
「悪魔って不老不死なんですか?」
「不老だけど不死じゃないわ。でも安心して、私と一緒にいればグレイスが死ぬことは絶対にないよ!グレイスは安心して私と仲良く暮らしていけば良いの」
「はぁ…ありがとうございます」
(なんか結構グイグイくるなこの子)
常人であれば食い気味なフレイヤに違和感を持つのだろうが、グレイスは女性との関わりに乏かったため、女の人ってこんなもんなのかと受け入れてしまった。
「グレイスはこれから何がしたい?私はね一緒にお料理をして、一緒に本を読んで、綺麗な景色を一緒に見て〜、あ、ピクニックとかいいかも!いやいっそのこと2人で旅をするのもいいわね!2人でなら絶対楽しいよ!」
フレイヤが楽しそうにこれからの予定を考えている
(これからすることか…死んじゃっていきなりこの世界に来たけど何をすべきなんだ?日本では自堕落に生活してたけど…)
グレイスは考え込んだが結論はわりとすぐに出た
(やっぱり、日本にいた時みたいに自堕落に生きていきたい!)
異世界まできても人間性は全く変わらないグレイスで合った
Sideフレイヤ
グレイスが生まれたばっかりの悪魔だろ知ったときフレイヤフレイヤ歓喜した。
目の前の悪魔は何も知らない、過去の私の事も、悪魔の契約についても…ならば都合の悪いことは教えない、もしくはごまかそうとそうすればずっと一緒にいられる。フレイヤはそう考えると喜びが抑えらなかった
(グレイス…無知で美しい私の友達。絶対に離さない。誰にも渡さない。)
フレイヤの内心ではドロドロした独占欲と庇護欲と執着心の混ざった思いを抱きながら、それでも喜びを抑えきれずにグレイスと会話を続けた
グレイスはそんなフレイヤの内心など知る由もなかった
グレイスは身長175cmぐらいでフレイヤは155cmぐらいです