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(びっくりした・・・)


いきなりドアが開き外から赤髪の少女が入って来た。おそらく年齢は16歳ぐらいだろうか、燃える様な赤髪に気の強そうなつり目をしており、背中からはトンボの羽を思わせるような透明な羽が生えていた。日本にいたらsnsとかで話題になるレベルの美少女だ。その少女はこちらを見て驚愕した表情を浮かべている。


(いきなり知らない人がいてびっくりしているのかな?ここにいる理由とか説明すべきか?いや、でもなんて説明しよう。そもそも言ったところで信じてくれるのか?)


「悪魔…召喚が成功したの?」


(え?いきなり何?あ、そうか俺は悪魔なんだった。)


根本的に一ノ瀬はコミュニケーション能力が乏しい。ましてや美少女ともなると余計にだ。

目の前の少女にどう対応したらいいか考えていて黙っていると、少女は徐々に涙目になっていく


(うわぁー泣きそうになってる、なんで?俺が何も答えないのが悪いのか?とりあえず召喚とか言ってたしこの子が召喚したのかな)


「私を召喚したのはあなたですか?」


乏しいコミュニケーション能力を駆使して質問する。緊張のためか、この体の特性なのか抑揚のない平坦な声色だった


「ええ、私が召喚したのよ」


「ここは何処ですか?」


「最北の大陸。名前は知らない。人間も亜人もいない未開拓の土地」


「なんで私を呼んだのですか?」


「あの…友達が欲しくて」


「え…友達?」


「対価は私にだせるものならなんでも!あなたの望むものを渡すわ」


(え?友達?)


少女が恥ずかしそうに言った内容はあまりにも予想外であった。


(友達を呼ぶために悪魔を呼ぶか?なんか裏があるのだろうか。まさか、本当に友達を作るために?なんかこの子羽生えてるし迫害されて友達がいないのかな)


いろいろ考えるが答えは出ない。

少女の方を見るとすがる様な目でこちらを見ている。


「いいですよ、友達になりましょう」


「本当!やったー!」


一ノ瀬はこの時決定的なミスをした。美少女からの友達になってとの誘いに喜んで飛び付いたが目の前少女の事などをほとんど知らない状態で安請負いした事を後々後悔することになる。


「名前はなんていうの?」


(名前?どうしよう。そのまま一ノ瀬龍之介でもいいけどこの体には似合わないか。ここはこの子に決めてもらうのがいいかも)


「こちらの世界では名前はないのでつけて貰っていいですか」


「え?私が?」


「はい」


「うーん…そうね、冬、氷…グレイス…グレイスはどう?氷って意味なの!」


「わかりました私の名前はグレイスです」


「私はフレイヤ!よろしくね!」


これからの美少女との生活を想像して思わず少しニヤつきながら握手をした。

フレイヤは何故か私の顔を見て固まっていた。


この出会いが後に世界を大きく揺るがすことになる


sideフレイヤ


何故だか時間差で現れた悪魔はこの世のものとは思えないほど美しかった。感情を感じさせない表情は冷たい印象を与えるがそれさえも精密な人形の様で美しい。

その悪魔を見てフレイヤは興奮した。


(悪魔ってこんなに美しいの!?こんなに美しい子が私の召喚に応じたの?)


「悪魔…召喚が成功したの?」


あまりの興奮から声が漏れた

悪魔はこちらを見ると感情を感じさせない顔でこちらを見つめた。無感情な悪魔の表情を見ていると不安感が増して来た。


(こんな綺麗な悪魔が私の願いなんて聞いてくれるの?)


悪魔にも否定されてしまったら私は本当の孤独になってしまうそう、考えると涙が滲んできた。


「私を召喚したのはあなたですか?」


抑揚のない声で悪魔は問いかけて来た。その声は聞いただけで背筋がゾッとする様な恐ろしくて、そして、美しい声だった。


「ええ、私が召喚したのよ」


緊張しているのがバレない様に気丈に答える


「ここは何処ですか?」


「最北の大陸。名前は知らない。人間も亜人もいない未開拓の土地」


ここはフレイヤが人間に絶望して移り住んだ土地であった


「なんで私を呼んだのですか」


呼んだ理由。ただ孤独に耐えられなかったから、ただ孤独を紛らわせることができたら、そんな軽い理由だった。しかし、召喚された悪魔はこれ以上ないほど魅力的だった。ぶっちゃけフレイヤのタイプにドストレートだった。だから、欲が出てしまった。ただの契約の関係ではない友達という関係になりたいと。


「あの…友達が欲しくて」


精一杯の勇気を振り絞って答える。

断られたらどうしよう、拒絶されないだろうか?嫌な考えが頭をめぐる。

悪魔はしばらく考え込んで答えた。


「いいですよ、友達になりましょう」


天にも登る気持ちだった。この世界に発生して何年生きているかわからない、数百年か、数千年か、その長い生の中でいちばんの喜びであった。


「本当!?やったー!」


それは心からの声だった


「名前はなんていうの?」


「こちらの世界では名前はないのでつけて貰っていいですか」


「え?私が?」


(名前のない悪魔。私が名付け親になるのね!)


目の前の悪魔の名前という重要な部分を決める事ができる。そう考えると彼女の独占欲が刺激された。


「うーん…そうね、冬、氷…グレイス…グレイスはどう?氷って意味なの!」


彼女を初めて見た時の印象は氷だった。そこから氷という意味の名前をつけた。


「わかりました私の名前はグレイスです」


「私はフレイヤ!よろしくね!」


そう言って握手をする。

その時、グレイスは薄く微笑んだ。その笑みがあまりにも美しくて、大人らしいいつもの表情からは考えられない可愛らしくて、フレイヤは目を離すことができなかった。


(グレイス…可愛すぎ!)


こうしてメンヘラ妖精は悪魔と友達になった。









4話目も近々出す予定です。誤字脱字があったらご指摘ください!

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