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009「レコの報告書」



「調査対象:カイト・シュタイナー。任務内容:カイト・シュタイナーの魔法習得の有無」


 この一週間——家庭教師という立場で接触を図ったが、このカイト・シュタイナーには驚かされることばかりだった。


 私は家庭教師という立場で一通りの講義をしたが、こいつは私の教えたことすべてをすでに理解していた。ムカついた私は騎士学園で習うもの以外の、さらに細かい部分の話もして知識の差を見せつけようとした⋯⋯⋯⋯が、こいつはそこもしっかりと理解していて逆に私のミスを指摘した!


 信じられない⋯⋯。一つ下とはいえ、たった五歳の子供が私と同程度の⋯⋯いえ、それ以上の知識を獲得しているなんて。同年代の子たちどころか、大人でさえも太刀打ちできないほどの知能・知性を持っているのはたぶん間違いない。


 両親から事前情報をもらっていたけど、そこには特に勉強らしい勉強をしていたなんて書いてなかったし、両親が教えていたという話もない。わざわざ、調査を依頼する両親が嘘をつくはずがないのでそうなるとこのカイト・シュタイナーは独学で勉強したことになる。


 自分で言うのもアレだけど『規格外の天才』と言われる私でさえ、家庭教師がついて初めて知識を身につけることができたのだ。これを独学で勉強したということであれば、それはもはや『規格外を超えた規格外の天才』ということだから⋯⋯⋯⋯あーもう、ややこしい!


 ただ『魔法』に関しては別だ。百歩譲って『学問』は独学でも身につく可能性はあるかもしれないが『魔法』に限っては話は全然違ってくる。


 魔法を習得するには、まず自身の『魔力』をある程度コントロールできないと魔法は使えない。そして、何よりもこの『魔力コントロール』が最初の壁であり最大の難関だ。


 魔力コントロールは、まず最初に自分の体内にある魔力を感じ取るところから始まるが、魔力という目に見えないものを感じ取るのはかなり難しく、それが最初にして最大の難関となる。


 なので、王族や貴族の子であれば優秀な魔法士や上級魔法士を家庭教師として呼び、魔力のイメージを具体的に教えてもらえる環境があるので平民に比べればだいぶ早く魔力を感じ取れるようになる。ただし、その『魔力イメージをどこまではっきりと認識できるか』は、その子のセンスにかかってくるが⋯⋯。


 ちなみにこの魔力センスの有無は血に影響されるので、魔力センスが良い者というのは主に魔力の高い王族や貴族がそれにあたる。


 私の場合、親が領主ということもあり、上級貴族でもあったので優秀な上級魔法士をつけてもらい、魔力イメージを教えてもらった。ちなみに王族や貴族でも『魔力』を認識できるまでに半年から一年はかかるのだが、私の場合一ヶ月くらいではっきりと魔力をイメージすることができた。


 魔力を感じ取れた私はその後魔法を教えてもらうのだが、私は魔法をスポンジのようにどんどん習得していき、五歳の誕生日を迎えた頃には初級だけでなく上級魔法までもすべて習得することができた。ちなみに、この時に私は『上級魔法士』の称号を得た。


 そうして私は周囲から『規格外の天才』と言われることとなるのだが、でも、もし⋯⋯この少年が⋯⋯カイト・シュタイナーが本当に学問などの知識だけでなく、魔法も独学で習得していたのだとしたら、それこそ私以上の『規格外』となる。


 ただ、通常はあり得ない。だからこその『規格外』だ。だからこそ、家庭教師初日にカイトに「私はあんたに魔法なんて教えることは絶対にない!」と断言したのだ。


 しかし⋯⋯⋯⋯今は五歳にしてはあり得ない知識量を持つ、しかも独学と思われるやり方で知識を身につけたカイト・シュタイナーを知ると「もしかしたら本当に魔法も習得しているのでは⋯⋯」と思うようになっていた。


 今回の任務、団長は親友の依頼を断りきれなかったので何とか形だけの調査はしなければ⋯⋯という理由で私を指名したものだと思っていた。だけど、もしかしたら、それは私の⋯⋯いや騎士団長も含めて大きな勘違いだったのかもしれない。


 そこで、私はカイトが魔法を使えるかどうかを試すためにある『作戦』を思いついた。


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