表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-  作者: mitsuzo
第二章 騎士学園編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/167

064「魔力特訓(4)」



「皆様、お待たせ致しました、お待たせし過ぎたのかもしれませんっ! ナイスですね〜!」


 カイトは、だいぶ全裸な監督(・・・・・)に寄せた第一声を発し、颯爽と皆の前に登場。そして、


「皆の者、刮目せよ! これが俺の秘策⋯⋯題して『マンガでイメージ膨らませればいいじゃない作戦』だっ!」


 と言って、カイトはこの四日間のヒキニート生活で描き下ろした『魔力循環のハウツーマンガ』を披露した。


「「「「「⋯⋯は?」」」」」


 YES! ノーリアクション!



********************



「えーと、つまりだね〜⋯⋯諸君」


 そう言って、俺は皆にゆっくりと丁寧に『マンガ』の説明をした。


「⋯⋯つまり、それは『魔力循環のイメージを絵にした』ってこと?」

「そういうこと。ただし、ただ絵にした(・・・・・・)ということではない」

「?」

「一枚の紙に『コマ』というものでいくつも区切りがあってだね、そのコマの中には『絵』と、登場人物の言葉が『セリフ』というもので描かれている。そして、そのコマの絵とセリフを読み進めていくと、あら不思議、頭の中でその絵とセリフが臨場感を持って動きだす。そんな没入感を味わえば、魔力循環のイメージが沸くはずなのである!」


 カイトは鼻息荒く捲し立てる。


「とりあえず、『百聞は一見にしかず』だ! まずは、今回の魔力特訓そもそもの主役である、イグナスから読んでみてくれ!」

「お、おう、わかった。とりあえず、読むだけなら⋯⋯」


 そう言って、イグナスは戸惑いながらもカイトから『マンガ』を受け取り、おそるおそる読み始めた。


 ちなみに、今回俺が描いた『魔力循環のハウツーマンガ』というのは、20ページ程度のもので、内容はただ魔力循環の手順を絵にしたのではなく、一応、『師匠』と『弟子』的な登場人物を出して『修行シーン』を描いた。


 ちなみに、その『修行シーン』とは『魔力循環の修行』となっており、師匠が主人公に魔力循環を熱意を持って教えると、その師匠の熱量に触発され、遂に魔力循環が成功する⋯⋯というストーリーを描いた。


 そして、その師匠が主人公に教えている描写が、俺がみんなに説明していた『魔力循環のイメージ』となっている。


 ちなみに、今回20ページと結構な枚数を描いたが、それは『物語性』を出せば、よりマンガに没入し、イメージしやすいだろうという狙いだ。


——三分後


「⋯⋯ありがとう、カイト」


 読み終わったイグナスが、俺にマンガを渡した。


「どうだ、イグナス? イメージはできそうか?」

「⋯⋯師匠。俺は『闇の魔王バルザック』を倒すため、かならず師匠の魔力循環を成功させてみせますっ!」

「ん、んん〜?? イ、イグナスきゅん????」

「はぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜⋯⋯」


 イグナスは俺の掛け声も無視して、目を閉じて何かを集中し始めた。ていうか『闇の魔法バルザック』て、マンガの悪玉のボスのことなんですけどぉ〜?


 あ、あれ〜? イグナスって結構、厨二病(そっち)方面にも適正があったのか〜? BLに厨二病にとこいつ、只者じゃねーな!


 そんなイグナスの『新たな扉(ネクスト・ドア)』を開いてしまったかと内心責任を感じていると、


「お、おおおおおっ!!!! わかる! わかるぜ、師匠っ! これが⋯⋯これが魔力循環ってことかーーー!!!!」

「「「「「えぇっ!?」」」」」


 どうやら、イグナスはマンガを読んで『魔力循環』を一発で習得したような発言をする。まさか、イグナスが嘘をつくことはないと思うが、一応俺は確認する。


「イ、イグナスきゅん? 今、魔力循環⋯⋯できているの?」

「ああ! カイトが言っていた魔力の球体から筋状に延ばして、下腹部、右足、右手、頭、左手、左足、下腹部と一周させて、今はその循環を維持させてる! す、すげー! カイトが言っていたことはこれか!」


 イグナスが興奮しながら、俺に説明をする。どうやら本当にできているようだ。


「じゃ、じゃあ、イグナス。その循環の速度を上げてみてくれ」

「おう、わかった!」


 イグナスは俺の指示どおり、速度を上げている様子。


「よし、じゃあ、その加速状態で⋯⋯そうだな、あのあたりにある大きな岩に向かって魔法を放ってみてくれ。あと魔法を打つときはその速度を増した『魔力の筋』を手に一気に収束して打ってみてくれ。とりあえず、最初は初級魔法で頼む」

「わかった! うぉぉぉぉ〜〜〜〜⋯⋯氷連矢(アイス・バラッジ)っ!」


 イグナスの突き出した右手から無数の氷の矢が射出する。氷連矢(アイス・バラッジ)は、下級の氷魔法なので威力は弱く、的にした大岩に打ってもさほどダメージは与えられない⋯⋯⋯⋯皆、そう思っていた。しかし、


 ドガガガガガガガガガ!!!!!!


「「「「「な⋯⋯っ!?」」」」」


 見ると、的にした大岩は破壊されることはないものの、無数の氷の矢が大岩をザクザク削り、硬そうな岩の表面がボロボロになっていた。


「⋯⋯へ? 今の下級魔法⋯⋯だよな?」

「な、なんだ、今のは? あんなの氷連矢(アイス・バラッジ)の威力じゃないですよっ!?」

「す、すごい⋯⋯すごいよ、イグナス」

「⋯⋯ふっ! やるじゃねーか、イグナス! 習得しやがったぜ、この野郎ぉぉぉ!!!!」


 皆がイグナスの氷連矢(アイス・バラッジ)の威力に呆気に取られていたが、最後にガスが自分のことのように嬉しそうに叫ぶと、イグナスのところに駆け寄って、肩に腕を回して荒々しく喜びを伝える。


「痛っ! 痛ててて!! ガ、ガス! ちっとは手加減しろ、このクソゴリラっ!!!!」

「はっはっはっ! うるせー! 俺様より先に習得しやがって! なんだ、あの馬鹿げた氷連矢(アイス・バラッジ)の威力は! 中級魔法かと思ったぞ、この野郎っ!!!!」


 そして、他の三人もイグナスの元に行き、イグナスを囲みながら輪になって『カイト式魔力コントロール』を習得したことを自分のことのように喜び、賞賛した。


「あ、あのぉ〜、一応、俺もマンガを描いて、その、すごく頑張ったんだけどな〜。お、俺にもなんか、こう⋯⋯『すげーな、カイト!』的なものをだね⋯⋯」


 カイトの声は、青春映画のような煌々と光を放つ五人の輪の中に届くことはなかった。


 チクショー!!!!(小梅太夫)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ