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自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-  作者: mitsuzo
第二章 騎士学園編

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053「揺れる騎士学園〜第三者side〜(1)」



——その日、クラリオン王国騎士学園が揺れた。



【三回生side:生徒会長エリナ・クインズベル】


「何? 超級魔法だと?」

「はい。昨日、一回生の合同魔法授業で超級魔法を使う生徒がいたと⋯⋯今朝から大騒ぎになっているようです」


 私がいつも通り、生徒会室で溜まりに溜まった書類仕事を片付けていると副会長のセリーヌがそんな話をしてきた。


 私の名は、エリナ・クインズベル。


 クラリオン王国騎士学園に通う三回生で、この学園で栄えある生徒会長の任を務めている。


 私の父はこの国で『財務大臣』という『財務局のトップ』として国を支えている。クインズベル家は私の父も、祖父も、祖父の父である曽祖父もこの国の財務大臣を歴任するなど輝かしい歴史を持つ。


 そんな、我がクインズベル家は周囲から『御三家』と呼ばれているのだが、それは『クラリオン王国で影響力の高い三つの上級貴族』という意味のようで、その為、クインズベル家という家名を聞くと、皆が羨望の眼差しを私に向けてくる。それだけ『クインズベル家』という名はクラリオン王国では有名だ。


 だから私は、偉大なる御三家の一角であるクインズベル家の者として、常に相応しい人物で在り続けられるよう、日々精進している。


 今日も、そんないつものように精力的に活動をしていると、副会長のセリーヌ・ジュリアーノが「一回生で超級魔法を使う生徒がいるらしい」という耳を疑うような荒唐無稽な話をしてきたので、私は少し呆れながら返事をした。


「いや、流石にそれは生徒の見間違いだろう、セリーヌ? この国に超級魔法を扱える魔法士など二人しかいないのだぞ? そもそも超級魔法自体、クインズベル家の私でさえ一度も目の前で見たことがないのだ。そんな伝説級の魔法を扱える一回生の生徒なんてあり得ない」

「はい、私も会長と同じ意見です。しかも、その超級魔法を使おうとした生徒というのが、何でも下級貴族の生徒だと言っていたので、正直⋯⋯」

「フッ。であれば、絶対に生徒の見間違いだろうね。大方、まだ魔法をよく知らない一回生の生徒が上級魔法を超級魔法と勘違いしたのだろう」

「はい。私もそうだと思うのですが、ただ⋯⋯」

「ん? ただ?」

「⋯⋯はい。その生徒の魔法を見て『超級魔法』だと指摘したのは生徒ではなく、あの(・・)アンジェラ・ガリウス先生だそうです」

「なっ?! ア、アンジェラ・ガリウス先生がっ!!!!」

「⋯⋯はい」

「今はレコ・キャスヴェリー先生が十年ぶりに記録を塗り替えましたが、それまでは『最年少の上級魔法士』として記録されていたのがあのアンジェラ・ガリウス先生です。しかも、あの方は魔法士としての才能も凄いですが、それ以上に評価されているのが⋯⋯魔法知識と魔法理論」

「はい。そんな、魔法に造詣の深いアンジェラ先生が、その下級貴族の生徒の魔法を見て『超級魔法』だと指摘したということで生徒の間で話題となっているようです」

「⋯⋯信じられない。にわかに信じられないが、アンジェラ先生の言葉が本当だとしたら、一回生の⋯⋯しかも上級貴族でなく下級貴族の生徒が本当に超級魔法を扱えるとなれば⋯⋯それは前代未聞の異常事態だし、もはや騎士学園だけでの話ではなくなるぞ?」

「⋯⋯そうですね」

「セリーヌ! その下級貴族の生徒の名は?」

「カイト・シュタイナーという者です」

「カイト⋯⋯。カイト・シュタイナー⋯⋯」



********************



【ハルカラニ家三姉妹side】


「その話は本当なのか、リリアナっ!!!!」

「は、はい、マリアンヌお姉様!」

「に、にわかには⋯⋯信じられない話ですわね」


 お昼休み——私は食堂でフロレンシアお姉様とマリアンヌお姉様から、昨日の『合同魔法授業』について質問攻めにあっていた。


「その下級貴族の、えーと⋯⋯何だっけ?」

「カイト・シュタイナー」

「そうそうそう! カイト・シュタイナー! こいつ、本当に下級貴族なの?!」

「は、はい! クラス編成トーナメント前の今のクラスは『Cクラス』なので間違いないかと思いますわ」

「マジか〜。下級貴族のくせに上級貴族の⋯⋯あのジャガー財閥のガス・ジャガーに勝っただなんて⋯⋯」

「マリアンヌお姉様、違います。⋯⋯圧勝です。読んで字のごとく、圧倒的な勝利でした」

「⋯⋯す、凄いわね。リリアナがそこまで同級生を認めるなんて」


 そう。フロレンシアお姉様が言ったように、私は普段、同級生を認めるなんてことは絶対にしない。何故なら、そんな気持ちを持った時点でその相手を追い越すのが困難になってしまうから。


 でも、それでも、昨日のあのカイト・シュタイナーを見てしまったら認めざるを得なかった。あのガス・ジャガー相手に圧倒するなんてものを見せられてしまっては⋯⋯。それに、


「しかも、そのカイト・シュタイナーが『超級魔法』を打とうとしていたって話は本当なのか!?」

「は、はい。でも、実際に打つことはなかったですし、私自身、超級魔法というのは見たことがないので、それが超級魔法かどうかはわかりません」

「でも、あのアンジェラ・ガリウス先生がはっきりと『超級魔法』だと指摘したのでしょ?」

「は、はい、フロレンシアお姉様」

「カイト・シュタイナーか。一度、会ってみたいなぁ⋯⋯」

「っ?! マ、マリアンヌ⋯⋯お姉様?」


 あ⋯⋯。何だか嫌な予感が⋯⋯。


「私も。そのカイト・シュタイナーていう子に会ってみたいわぁ⋯⋯」

「フ、フロレンシア⋯⋯お姉様⋯⋯?」


 そう言うと二人が、いつも私に『ムチャブリ』をするときに見せる笑顔を向けた。


「「というわけで、セッティングよろしく(ね)、リリアナっ!!!!」」

「ええええええええええええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!」


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