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自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-  作者: mitsuzo
第二章 騎士学園編

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050「猫をかぶった狸」

【祝50話 到達!】

 何とか、ギリギリ踏ん張ってここまで毎日投稿ができてよかったです。

 いつまで毎日投稿できるかわかりませんが頑張ります。


 ありがとうございます!




「す、すみません。なんか⋯⋯勝てちゃいました(テヘペロ)」


 俺の道化は続く。


「な、何者だ、こいつ⋯⋯っ?!」

「この野郎〜⋯⋯」


 二人を見ると、ディーノは俺の戦いを見て「信じられない⋯⋯」とでも言いたそうな顔をしており、ガスは今にも飛びかかってきそうな『キレる寸前』の血管ピクピクな表情を浮かべていた。


 いや〜愉快、愉快。


 あ! レコがめっちゃ睨んでる。見ないフリ、見ないフリ。


「ど、どうしましょう〜⋯⋯。一応、治癒(キュア)を掛けたので傷は完治していると思いますが、もうやめておきます?」

「あぁ!? 何でだっ!!!!」

「だ、だって〜⋯⋯もしも、二人にケガをさせたらマズいな〜⋯⋯て」

「なっ?! て、てててて、てめえぇぇぇ〜〜〜〜〜っ!!!!」


 ジャガー財閥の御曹司ガス・ジャガーは、今にも俺に突っかかってきそうなくらいに怒り狂っている。しかし、


「⋯⋯抑えてください、ガス様」

「何、止めてんだ、ディーノ!! 殺すぞ!!!!」

「ガス様! 奴は⋯⋯奴は⋯⋯強い!」

「っ!? ディーノ⋯⋯」


 ガスは、ディーノの口から「強い」という言葉を聞いて驚く。同時に、そのおかげで冷静さを取り戻した。


「お前が、そんなすぐに相手を『強い』と認めるとは珍しいな⋯⋯。お前は、あのカイト・シュタイナーが火・氷・風の三属性の魔法を使える俺よりも強いと言うのか?」

「はい。|三属性持ち(トライアングラ)のガス様よりも奴は強いと思われます」

「⋯⋯そこまでか?」

「はい。あのカイト・シュタイナー⋯⋯今、光属性下級魔法の治癒(キュア)を使いました。その前には火属性、氷属性の魔法も行使していますので、最低でも三属性持ち(トライアングラ)であることは間違いありません。ということは、魔力量もそれ相応に多いということが考えられます」

「⋯⋯なるほど」

「しかも、奴は初級魔法でカートの中級魔法を軽々と超える威力を放ちました。初級魔法の威力が中級魔法の威力を超えるなど相当な力量差がないとあり得ません。よほど、魔力の扱いにも長けていることは間違いないでしょう」

「むぅ⋯⋯」

「そして、何より恐ろしいのは、今わかっているのはあくまでも見た目(・・・)だけの強さに過ぎないということです。カートとの対戦を見る限り、奴は本気ではなかった。あれだけの力量差にも関わらず、奴は手加減していたかと。⋯⋯はっきり言って、底が全く⋯⋯見えません」


 ディーノは、嫌な汗を額に滲ませ、体を震わせながらガスに説明をする。


「⋯⋯あの下級貴族。相当、強いです」

「ディーノ⋯⋯」


 ガスは、身分の低い者に対して特に厳しい態度を取るディーノが、そこまでカイトの強さを認めたことに驚きつつ、同時にカイト・シュタイナーが本当に強いのだと改めて実感した。しかし、


「ふん。俺も最近、強い相手と戦ったことがなかったからちょうどいい⋯⋯」

「っ!? ガ、ガス様! ダメです! いくらガス様が強くても、あのカイト・シュタイナーには勝てません!」

「はっきり言うじゃねーか、ディーノ。だがな⋯⋯だからといってカイト・シュタイナーとやらない理由(・・・・・・)にはならないんだよ」

「⋯⋯ガス様?」

「俺は、あれだけの啖呵を切ってイグナスに『弱さは恥だ』と言って罵倒したんだ。そんな俺が、ここでカイト・シュタイナーとやらない、逃げる、なんて⋯⋯そんな選択肢はねーんだよ」

「っ!?⋯⋯そ、そうですか。そう⋯⋯ですね」


 ディーノは、ガスの言葉に苦い顔をしながらも納得する。


「それにしても、この下級貴族にうまいことやられたな〜、はっはっは!」

「はい。カイト・シュタイナーの道化(・・)に見事、踊らされましたね」


 ガスとディーノがお互いの顔を見て笑い合う。


「じゃあ、ちょっくら行ってくらぁー!」

「ガス様! やるなら先手必勝ですっ!」

「おう、まかしとけっ!」


 最初、怒り狂っていたガスの表情も、今は何やら憑き物が落ちたようなスッキリとした、戦いを楽しもうとするそれ(・・)に変わっていた。


 ガスがカイトの前に立つ。


「え? やるんですか?」

「おうよ」

「でも、ケガとかしたりしたら⋯⋯ジャガー財閥の力で僕や僕の家を⋯⋯」

「んなことしねーよ! 学園ルールがあんだろ! それに、そんなもの無くても家の力でお前やお前の家をどうこうするなんて、そんなダサいマネしねーよ!」

「ほ、本当ですか! ありがとうございます!」

「おい、お前⋯⋯いや、カイト・シュタイナー。その言い方だと、まるで俺に勝つとでも言っているようじゃねーか? あぁ?!」


 カイトは一度「クスリ」と笑うと、ガスに小声で、


「⋯⋯当たり前だ、この野郎。ここまで道化演じて、この舞台にお前らを立たせたんだ。勝てるかどうかわからない奴にそこまですると思うか?」

「っ!? て、てめえっ! それに、そのさっきとは違う口調⋯⋯お前、猫かぶって⋯⋯」

「俺の舎弟で家族(ファミリー)であるイグナスに、あれだけフザけたこと抜かして笑い物にしたんだ。それ相応の代償は払ってもらうぞ、ガス・ジャガー」

「⋯⋯狸め」


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