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自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-  作者: mitsuzo
第二章 騎士学園編

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031「騎士団幹部候補生を夢見る男」

【修正報告】

『第二章 騎士学園編 029「ザック・カーマイン」』


(誤)→「そっか! あ、俺はザック・カーマイン。カーマイン領の下級貴族。次男だ。ザックって呼んでくれ!」

(正)→「そっか! あ、俺はザック・カーマイン。下級貴族の次男だ。ザックって呼んでくれ!」



 俺の名はザック・カーマイン。


 今年、クラリオン王国騎士学園に入学した一回生だ。ていうか、今日は入学初日だ。


 下級貴族である俺はCクラスに在籍しているが、魔力量には自信があるから来月の『クラス編成トーナメント』でBクラスへの昇格を狙っている。


 俺の目標は、二年後の三回生までにAクラスへ昇格すること。卒業試験を好成績でクリアすること。そして⋯⋯⋯⋯騎士団幹部候補生として入団することだ。


 俺は次男だから家を継ぐ必要もないし、魔力量が多いということで両親や兄も騎士団での活躍を期待してくれている。だから、俺は何としてでも騎士団⋯⋯しかも幹部になって家族に「自慢の息子だ」と喜んでもらいたいんだ。


 カーマイン家は王都クラリオン・シティーで商会をやっている。クラリオン・シティーでは中規模の商会だ。


 ただまあ、中規模の商会だと普通は他の商会に目をつけられたりして商売の邪魔とかされたりすることが多いが、カーマイン家は上級貴族のカスティーノ家がバックにいるおかげで、他の商会に目をつけられることなく稼がせてもらっている。


 そういう背景がある俺にとって、今年騎士学園に入学したカスティーノ家の次男とは小さい頃からの知り合いだ。知り合い⋯⋯というよりも手下に近い。いや⋯⋯パシリといったほうが正しいな。


 他にもパシリみたいな奴らはいっぱいいたが、俺はうまいことそいつ(・・・)に取り入って右腕的な立場になれたから、特に非道いことをされたことはない。


 ただ、今回の⋯⋯カイト・シュタイナーのように、誰かを『リンチ』するときは、俺が中心となって計画し実行するよう命じられていた。


 騎士団の幹部候補生入団を目指す俺にとってこの仕事はとても辛かった。だが、当然、カスティーノ家には逆らえないので俺は奴の命令通りにこれまで動いていた。


 一応、その場合はできるだけ相手に非道いケガを負わさないよう手下には言って聞かせていた。せめてもの罪滅ぼしみたいなもんだ。


 そして、今回⋯⋯騎士学園に夢と希望を持って入学した初日に、そいつ(・・・)は俺に「カイト・シュタイナーのリンチ」を命じた。


 正直、騎士学園に入ってからはそういう仕事をするのが嫌だったので、俺はそいつ(・・・)に「騎士学園に入ってこの仕事がバレたら退学になるからもう今回限りにして欲しい」と頼んだ。


 すると、そいつ(・・・)は「断る。俺の命令に逆らうことは許さん。逆らえば、カーマイン家との関係はすべて反故にする」と脅してきた。


 絶望した。そして同時に俺は⋯⋯⋯⋯今後そいつ(・・・)には絶対に逆らえない『駒』としての人生を送ることになるのだと悟った。


 人生に絶望したその後の俺は、ただただ、そいつ(・・・)の命令通りに、淡々といつも通りに、カイト・シュタイナーをリンチする命令を実行に移した。



********************



——二十分後


 買い物を終えた俺は屋敷へと帰ってきた。


「おーい、お前ら、帰ったぞ。終わったか?」


 扉を開けると、目の前には縄で縛られた⋯⋯⋯⋯ボコボコに顔を腫らした手下(・・)たちが座らされていた。


「⋯⋯へ?」


 俺は目の前の光景に一瞬何が起きたのか理解できず、思わず素っ頓狂な声を漏らす。すると背後から、


「やあ⋯⋯ザック? 何を買ってきたんだい?」

「っ!?」


 俺はいきなり背後から声をかけられ驚いたが、反射的にその場所からバックステップで距離を取る。すると、


 ガチャリ⋯⋯。


 俺の背後から声をかけたカイト・シュタイナーがゆっくりと扉の鍵を閉めた。


「カ、カイト・シュタイナー⋯⋯ま、まさか、お前がこれを⋯⋯?」

「ああ、そうだ」

「っ!?」


 俺は驚いた。


 こいつらを一人でやっつけたということにも驚いたが、それよりもカイト・シュタイナーがさっきとはまるで別人(・・)であるかのような⋯⋯⋯⋯その佇まいに驚愕した。


「お、お前⋯⋯本当にさっきまでの⋯⋯カイト・シュタイナーか?」

「ほぉ? お前、そこ(・・)に驚いているのか? 中々、見どころあるな」

「⋯⋯」


 な、何者だ、こいつ?


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