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166「誤算」



「悪いけどぉ〜⋯⋯あなたたちはここで死んでもらうから〜〜〜っ!!!!」


 バッ!


 そう言って、ミモザが手を上げた瞬間——五人が一斉に動き出した。


「く、来るぞっ!? 皆、散れーーーーーーーっ!!!!!!」


 ケビン・カスティーノが声を掛けると、みんなが同時に3グループに分かれて散る。


「「「「「グロロォォォォーーーーーーーっ!!!!」」」」」


 ミモザの指示を受けた五人が襲いかかる。


 ガキィィィィーーーーーン!!!!


「ぐっ!? お、重い⋯⋯っ!!!!」


 冒険者格好の男の剣の攻撃を自身の剣で受け止めるイグナスの顔に苦悶の表情が浮かぶ。⋯⋯しかし、


「だが⋯⋯⋯⋯この程度(・・・・)かよ!」

「グロ⋯⋯ッ?!」


 ガッ!


 そう言うと、イグナスが男の腹を蹴り飛ばす。


「以前の俺ならまるで歯が立たなかった相手なんだろうな。だが⋯⋯」


 ドン⋯⋯っ!!!!!


「グロ⋯⋯っ!?」


 イグナスの急上昇した魔力により起こった魔力放出に狼狽える男。


今の俺(・・・)なら、お前は敵じゃねー」

「っ?!」


 そう言って、イグナスは剣をしまい、素手だけのまま男に突っ込んだ。


「オラオラオラオラオラオラオラオラ⋯⋯っ!!!!!!」

「グゴォゴゴッゴゴゴゴゴゴーーーーーーっ!!!!!!!!!」


 イグナスの攻撃を相手は見えていないのか、まったく反応すらできず、殴られまくり、そして、


「これで⋯⋯⋯⋯(しま)いだっ!!」


 ゴン⋯⋯っ!!!!!


 最後、イグナスの『(かかと)落とし』により、男は完全に失神し地面に倒れた。


 そして、このイグナスのような単独による圧倒的勝利はなかったものの、他のグループもこの五人の刺客を圧倒し制圧した。


 ちなみに、二人の刺客を相手にしていた学園長は、


「ほりゃ」

「グギャァァァァァ〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!」


 イグナスと同じくらいのスピードで早々と制圧を終えていた。


「何じゃ!? もう終わりか!! もうちょっと頑張れいっ!!」


 むしろ「物足りない」「暴れ足りない」という何とも納得いかない表情をしていた。



********************



「お、俺たちって、強い⋯⋯のかなぁ?」


 カートがふいにそんな言葉を口にする。


「バカヤロー! そういう調子に乗る発言は⋯⋯⋯⋯と言いたいところだが、さすがにここまで圧倒というか、歯ごたえがなかったのは、さすがに⋯⋯」

「う、うむ。私もガスと同じ心境だ⋯⋯」


 カートの言葉に注意しようとしたガスもさすがに目の前の現状と手応えに困惑し、そして、それはレイアや他の者も同じだった。


「バ、バカな⋯⋯!? 犯罪者とはいえ『元A級冒険者』や『二つ名付きの騎士』だった奴らに、さらにドーピング(・・・・・)までして能力を上昇させたんだぞ!! それを⋯⋯どうして、こんなあっさり⋯⋯」


 ミモザが「信じられない!?」という表情で呆気に取られている。


「要するに、ワシらの強さがお前の想定外だった⋯⋯それだけのことじゃよ、ミモザ」

「っ!? ハ、ハンニバル・シーザー〜〜〜⋯⋯っ!!!!」


 学園長が淡々と事実を吐露するとミモザがその言葉に反応する。


「お主はこれまでじゃ。大人しく観念せい」

「くっ!?」


 実際、現状はミモザの『切り札』であったであろう五人の刺客は全員倒されたのだ。もはや、ミモザ一人ではどうすることもできないだろう。しかもさらには、


「学園長ーーーっ!!」

「!⋯⋯おお、カイト君か!」


 このタイミングでカイト・シュタイナー率いる『洗脳魔法無効化班』が合流。かくして、学園騎士団及び王国騎士団全員が一堂に会した。


「え? これが、ミモザ・ジャガー先生?」


 カイトがミモザを見て思わずギョッとする。


「ああ、そうだ。むしろこっち(・・・)のミモザ・ジャガーが本性だ」

「おお、ガス。へーそうなんだ」


 などと、緊張感が溶けたような空気でカイトとガスが話をしている横で、


「ミモザ・ジャガー! 終わりよ! 投降しなさい!」


 レイアがミモザに向かって声をかけていた。


 誰もがミモザが投降すると思った⋯⋯⋯⋯その時だった。


「ふふ⋯⋯投降? 何を言っているの? まだ終わってないのよ?」

「何?」

「レコ・キャスヴェリー! さあ、今こそあなたに渡した闇属性呪界魔法の入った魔道具『魔神の抱擁』を使いなさいっ!!」

「「「「「っ!!!!!!!」」」」」


 ミモザの言葉を聞くと同時に、全員が集団の一番後ろにいるレコを一斉に見た。すると、そこには『ブローチのようなもの』を握り締めたレコが震えながら立っていた。


「ま⋯⋯『魔神の抱擁』じゃとっ!? いかん! それはマズイ! レコ・キャスヴェリー君、やめるんじゃ!!」


 学園長がミモザが呟いた『魔神の抱擁』という魔道具名に激しく動揺しながら、レコに魔道具の使用をやめるよう叫ぶ。


「わ、わたしは⋯⋯わたし⋯⋯は⋯⋯」


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