156「報告と作戦会議」
ガラガラ⋯⋯ッ!!
「みんなー! ついに完成したぞぉぉぉーーーっ!!!!」
俺は『第一級特別研究室』を出た後、すぐにみんながいる教室へ。教室のドアを開けた瞬間——開口一番、魔道具完成の報告をした。
「授業中じゃーーーーいっ!!『豪流瀑布』っ!!!!」
ズドーンっ!!!!!!
「ぐほぉあああああああああっ!!!!」
ドアを開けた瞬間——レコが水属性中級魔法『豪流瀑布』を炸裂。『カイト式魔力コントロール』で増大した魔力量による威力マシマシの水属性中級魔法は、校舎の壁(簡易ではあるが、ちゃんと防御魔法を施されている壁ではあるが⋯⋯)をいとも簡単に突き破り、激しい濁流ごとカイトを校舎の外へと押し出した。
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「ひどい! ひどいよ、レコっ!!⋯⋯⋯⋯ひぇっきし!!(加トちゃん)」
ブォォォォォ⋯⋯。
レコの水魔法攻撃(しかも中級魔法)でズブ濡れとなった俺は、火魔法と風魔法をうまくコントロールして『温風』を作り出し、服と体を乾かしていた。
「授業中にも関わらず、教室に入ってきたあんたが悪いんでしょ! ていうか、あんた、その魔法⋯⋯何よっ!?」
「え? あー⋯⋯えっと〜、そうだな⋯⋯『ドライヤー魔法』だ」
「ド、ドラ⋯⋯イヤ?」
「火魔法と風魔法を調整して『温風』を作り出し、それで濡れた服と体を乾かしているだけだ。⋯⋯気にするな」
「気にするわよ! そんな魔法初めてよっ!! 何、サラッと⋯⋯⋯⋯いや本当にっ!? 何をサラッと魔法作ってんのよ、あんたっ!!!!」
「⋯⋯え?」
周囲に目を向けると、レコだけでなくクラスメート全員が俺の『ドライヤー魔法』を食い入るように見つめていた。
「フー⋯⋯まー落ち着け、皆の衆。まずは『魔道具の話』から始めようじゃないか」
「「「「「あんたが(お前が)いきなり『魔法作成』するからだろうがっ!!!!」」」」」
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——十分後
「ふぉふぉふぉ、カイト君⋯⋯。『こういうこと』はまずワシに報告しないとダメじゃぞ?」
「す、すみません、学園長⋯⋯」
さっきのレコの魔法攻撃で騒然となったおかげ(?)で、学園長は俺が教室に現れたと判断してAクラスの教室へとやってきた。報告の優先順位が逆になったおかげで、ずいぶん背筋の凍るような殺気を浴びせられました。
「それで? 魔道具のほうは完成したのじゃな?」
「はい! こちらになります」
そう言って、俺は『ブレスレット』『ネックレス』『指輪』を出した。
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『大規模偽装記憶消去』
・超級魔法
・収納魔道具:ブレスレット/効果は3回
『大規模結界』
・超級魔法
・収納魔道具:ネックレス/効果は3回
『大規模精査』
・超級魔法
・収納魔道具:指輪/効果は3回
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「ほう、これが⋯⋯」
「はい。今回、三種類の魔法効果を収納した魔道具を作成しました。ブレスレットが『洗脳魔法無効化魔法』になります。それと⋯⋯」
俺は学園長やみんなに作成した『魔道具』と収納した『オリジナル魔法』の説明をした。
「⋯⋯え? 超級⋯⋯魔法?」
レコがボソッと呟いた。
「ん? あ、うん⋯⋯超級魔法」
「「「「「超・級・魔・法ーーーーーっ!!!!!!!!!!!」」」」」
教室内が一気に騒然となった。
あ、うん⋯⋯知ってた。
「一応、今回の魔道具は『使用回数3回』の限定魔道具だけどな。でも、今回の目的である『洗脳魔法使役者の捜索』や『国民にかかっている洗脳魔法効果の無効』とかができるよ」
「⋯⋯もう、あんた何でもアリね」
「いや〜(タハハ)」
「褒めてないわよ!!」
レコに真顔でツッコまれた。
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「⋯⋯さて、カイト君が『洗脳魔法無効化魔法』の作成に成功し、且つ、敵を探索できる魔法も作り出し、且つ、この国全体に結界を張れるほどの大規模な結界魔法の作成にも成功した。それだけでも脅威ではあるが、さらに、それらの魔法を『魔道具化』することにも成功したというこの状況に皆の者⋯⋯⋯⋯何か言いたいことは?」
「「「「「カイトの辞書には『自重』という言葉どころか概念さえないことがわかりましたーーーっ!!!!」」」」」
「うむ、わかればよろし⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」
みんなの俺を見る目が、だんだん『憐れみ』を帯びてきているのは気のせいだろうか?
「では、これより『洗脳魔法及び魔法使役者、且つ、国家的脅威の掃討に関する作戦』⋯⋯通称『一掃作戦』についての作戦会議を始める!」
こうして、学園長の宣言により『一掃作戦』の作戦会議が始まった。