151「ミッション:A級ダンジョンで高純度魔石を採取せよ!〜その1〜」
ということで、俺は早速『第一級特別研究室』を飛び出すと、すぐに学園長室へと足を運び、今回の魔石の件について相談した。すると、
「うむ。まったく問題ないぞ」
一発快諾。
「ていうか、それワシも参加するぞ」
それどころか『引率役』⋯⋯ということで学園長も参加となった。
次に、その足でちょうど今、魔法の授業をしているAクラスの教室へと向かった。
「よっ! みんな!」
「「「「「カ、カイトっ! 学園長までっ!!」」」」」
俺が学園長と一緒に教室に入ってきたことで騒然となるが、ま⋯⋯無視して、『クラリオン学園騎士団』の皆さんに『ミッション』を伝えた。
「えー⋯⋯コホン。これより、みんなで『A級ダンジョン』に魔石を取りに行くことが決まりました。ですので、すぐに準備をしてくださーい!」
「「「「「は?⋯⋯⋯⋯はぁぁあぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁ〜〜〜っ!!!!!!?」」」」」
「うむ。カイト君の言う通りじゃ。皆の者⋯⋯⋯⋯光の速さで準備するように」
「「「「「っ?! は、はひぃぃぃ〜〜〜〜!!!!」」」」」
うーむ、さすが学園長⋯⋯まさに『鶴の一声』。
「ちょっ!? カ、カイト! それに学園長まで⋯⋯っ!? 突然、何なんですかっ!!」
「お、レコ? おひさ!」
「『おひさ!』⋯⋯じゃないわよ! 何なの、いきなり!」
「いや、実はな⋯⋯」
ということで、みんなにも聞こえるように『今回、魔道具作りで高純度魔石が必要になりました』とざっくりと説明した。
「事情はわかったわ。わかったけど⋯⋯あんた急過ぎでしょ?! 今、授業中なのよっ!!」
「いや、そこはさ⋯⋯『クラリオン学園騎士団の任務優先』ということで」
「⋯⋯何か、あんた学園騎士団を私物化してない?」
「失敬な。そんなわけないじゃないか。すべては王国に蠢く『陰謀』を防ぐためだー(棒)」
「⋯⋯⋯⋯はぁ」
どうやら、レコに『俺の想い』がちゃんと伝わったようだ⋯⋯よかった、よかった。
ちなみに、現状『カイト式魔力コントロール』をまだ習得できていない生徒がいるとのことだったので、その生徒らは今回の魔石採取には行かせないつもりだった⋯⋯⋯⋯のだが、
「カイト、頼む! 俺も行かせてくれ!」
「カイト様、お願いします! 私も連れて行ってくださいませ!」
「カイト様、お願いにゃん! 連れてってくださいにゃ〜!」
ちなみに、まだ習得できていない生徒というのは⋯⋯⋯⋯『ドレイク・ガリウス』『リリアナ・ハルカラニ』『サラ・ウィンバード』の御三方。
まあ、未習得の三人以外は自己鍛錬していたのだろう⋯⋯魔力が一週間前よりも増大しているのがすぐにわかった。しかも今回は学園長も上級魔法士のレコも帯同する。⋯⋯これなら三人も一緒に連れて行っても問題ないだろうと判断。
かくして、我が『クラリオン学園騎士団』全員(プラス学園長&レコ)で、A級ダンジョンへと向かった。
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——A級ダンジョン『A25』/入口
「これが⋯⋯⋯⋯『A級ダンジョン』」
俺たちは学園から馬車で移動し、丸一日かけてA級ダンジョンへとやってきた。
「⋯⋯『A25』か。これなら少しはマシかもね」
「ん? どういうことだ、レコ?」
「『ダンジョン名』は、ダンジョンの脅威度を示す『ダンジョンランク』と『階層数』で命名されているの。だから『ダンジョン名』がわかれば、どれくらいの『難易度』かがわかるわ。⋯⋯例えば、今回入るダンジョンで言えば『A級ランク』で『25階層』ってことになるわよね?」
「ああ⋯⋯」
「⋯⋯で、『ダンジョン』っていうのは『階層が深ければ深い』ほど『ダンジョンの脅威度が増す』ことになるの。だから、同じ『ダンジョンランク』でも『階層数』で脅威度は変わるわけ。⋯⋯ちなみに、ダンジョンの平均階層数は『30』だから、今回入るダンジョンは『A級ダンジョン』の中では『脅威度は少し低い』ってことがわかるってこと」
「ほほ〜⋯⋯なるほど。だから、レコはさっきダンジョン名を見て『少しはマシ』と言っていたのか」
「そゆこと」
なるほど⋯⋯。たしかに、ダンジョンの脅威度に差があるのなら低いほうが良いに越したことはないからな。
「ちなみに『ダンジョン名』がついているダンジョンは『踏破済み』ということ。で、『未踏破ダンジョン』の場合は『名無しダンジョン』と呼んでいるわ。ちなみに『未踏破ダンジョン』に挑む時は、必ず冒険者ギルドでダンジョン情報をもらってから入るって感じね」
「ふ〜ん、『未踏破ダンジョン』⋯⋯ね」
今後、『未踏破ダンジョン攻略』も面白いかもな(デュフフ)。
「カイト!」
「あ、レイア⋯⋯⋯⋯団長」
「団長はやめろ! それなら私だって言うぞ⋯⋯『カイト副団長』?」
「ごめんなさい」
「ハハハ、冗談だ。それにしても、カイトはいつでも急だな」
「す、すみません」
「いや、責めてるわけじゃない。私も君みたいに強くなりたい⋯⋯そして、その願いは『カイト式魔力コントロール』を習得して前進した。そして、ちょうど今の自分の強さを確かめたいと思っていたところだから正直⋯⋯カイトの今回の『魔石採取の任務』は私には丁度よかったっ!(フンス!)」
「な、なるほど⋯⋯」
レイアは鼻息を荒らげながら満面の笑みでそう言った。⋯⋯楽しそうで何よりだが、ちょっと怖い。




