147「オリジナル魔法まとめてみた」
「さて、とりあえず⋯⋯カイト君が『規格外』というのを改めて理解したところで、ちょっと整理しよう。まず、このカイト君が作った『偽装記憶消去』だが、おそらく今、王国に展開されている『大規模洗脳魔法』の無効化はいけると思う。しかし、カイト君の話だと魔力をかなり食うんだよね?」
「ああ」
「ならば、これはカイト君に直に魔法展開してもらう必要があると思うんだけど、一つ、気になることがあるんだ⋯⋯」
「気になること?」
「この『偽装記憶消去』は⋯⋯⋯⋯広範囲に展開できるのかい?」
「あ、そうか! そうだよ、カイト! あんた、これ対象が『単一個体』なら意味ないよ!」
「た、たしかに⋯⋯。カイト君の魔法、すごいけど、対象は広範囲じゃなきゃ⋯⋯」
と、ソフィアの質問にセイラとシーファが反応すると、慌てた様子で俺に聞いてくる。
「ん? ああ、問題ないよ? この『偽装記憶消去』は『単一個体』と『広範囲』で分けて作ってあるから」
「「「「え? マ、マジっすか⋯⋯?」」」」
「ちなみに、この『広範囲』のやつは『大規模偽装記憶消去』という魔法名にしてある。ちなみに、こいつはさっきの『偽装記憶消去』の三倍は魔力使うから、魔法作成したら予想通り『超級魔法』ってランク付けされてたぞ」
ちなみに、魔法が完成して『魔法名』を頭の中でイメージすると、その瞬間ポンッと『魔法名』の横に『魔法ランク』が自動で表記される。⋯⋯これ、マメな。
「「「「ちょ、ちょちょちょ、超級魔法ーーーーっ!!!!」」」」
「う、嘘だろ⋯⋯信じらんねぇ⋯⋯」
「ま、まさか、生きている間に『超級魔法』を作成できる者が現れるとは思わなんだ⋯⋯」
「「ポカーン」」
マイルズとソフィアが何やらボソボソと話し、シーファとセイラは「ポカーン」と言いながらポカーンとしていた。⋯⋯「ポカーン」と言いながらポカーンとしている奴を初めて見たな。
さすがに『超級魔法を作る』というのは、俺も「ちょっとやり過ぎかな〜」とは思ったよ。でもさ、思ったけどさ、そもそも『大規模洗脳魔法』を無効化するなら同じように『大規模なんちゃら』と広範囲に効果を与えるよう魔法を作ることが本来の『目的』なわけで。⋯⋯その結果が「超級魔法レベルでした」というのは、しょうがないんじゃないでしょうか。⋯⋯うん、しょうがない、しょうがない。
「い、いや、そりゃそうだけど⋯⋯まず、それだけの『魔力を食う魔法』をそもそも作るのが無理だから。まー確かにそれを作れちゃったのは『しょうがない』ことだけど、でも、それでも⋯⋯⋯⋯やり過ぎだから」
あ⋯⋯。どうやら俺の『心の声』はダダ漏れだったのね。
「いや、もういいんじゃないか!」
「! マイルズ?」
「だってさー、もうカイトは『そういうもの』ということでいいんじゃね? 俺はもう驚かねーぜ!」
「そうね! この先、何か驚くことがあっても『カイトだから』ってことにすればすぐに受け入れられると思うわ! ていうか、もう驚きつかれたし⋯⋯」
「はい、シーファも賛成です!」
「そうだね! じゃあ、ここからは『カイトだから』ということで、カイト君の話を聞いても柔軟な心で受け止めようね、みんな⋯⋯!」
「「「はーーい!」」」
「⋯⋯」
なんだろう⋯⋯『カイトだから』っていうのが、『呆れの最上級』として『不名誉認定』されてない?
こんなときどんな顔をすればいいかわからない。⋯⋯笑えばいいと思うよ。
うん、ありがとう⋯⋯碇○ン○君。
俺はとびっきりの笑顔をみんなに届けた。
すっごい嫌な顔された。
********************
「さて、それじゃあ、カイト君。今度は君が作ったという『オリジナル魔法』を教えてくれ!」
「「「景気良くよろしく〜!」」」
「わ、わかりました」
な、何だか、いきなり軽いノリになったな〜。まあ、呆気に取られることが無くなったのは良いことかな。
「あ、カイト君。どうせなら、君が作った洗脳魔法や無効化魔法も結局は君の『オリジナル魔法』となるわけだから、いっそ⋯⋯⋯⋯まとめて書き直してもらっていいかな? そのほうが把握しやすいから」
「わかりました。じゃあ、俺がこれまで作った魔法を『オリジナル魔法』として書き直しますね」
「あ、それと⋯⋯『魔法名』だけじゃなく『効果』『魔法属性』『魔法クラス』まで書いてね。多少、時間かかってもいいから」
「わかりました」
ということで、俺はさっき黒板に書いた洗脳魔法を消して『オリジナル魔法』という『括り』で、改めて書き直してみた。
カツカツカツ⋯⋯。
「いや〜、楽しみだな〜。でも、見るのがちょっと怖い気もするけど⋯⋯」
カツカツカツ⋯⋯。
「な〜によ、マイルズ? さっきあれだけ『もうこれ以上は驚かない』みたいなこと言ってたくせに⋯⋯」
「なっ?! だ、大丈夫だっての! もう、ちゃんと『カイトの規格外さは身に染みたっての!」
カツカツカツ⋯⋯。
「わ、私は、カイト君の類まれなる才能のおかげで『魔法の深淵』を垣間見れて嬉しいです! ただ私には、まだかなり刺激が強いですけど⋯⋯。で、でも、それでも、さっきので少しは慣れたと思いますぅ〜!」
「出た! シーファの『魔法オタク』!」
「うんうん! いいね〜みんな〜! 正直、今回のカイト君の魔法作成に立ち会えるのはかなり貴重な経験だから、臆せずしっかり受け止めようね!」
「「「はい!」」」
カツカツカツ⋯⋯。
「あ、あの⋯⋯ソフィア⋯⋯室長? な、なんか、まだカイトが書いている途中ではあるんですけど⋯⋯その⋯⋯」
「ちょ⋯⋯ソフィア室長⋯⋯? カイトが書いているのが⋯⋯なんか冒頭からすでに⋯⋯やばそうなワードがいくつも⋯⋯」
「あ、あわわわわ⋯⋯。す、すみません⋯⋯前言撤回させて⋯⋯くだ⋯⋯しゃい⋯⋯」
「う、うむ、シーファ君、気が合うな⋯⋯⋯⋯ボクも前言撤回⋯⋯しよう⋯⋯かな?」
カツカツカツ⋯⋯。
カツカツカツ⋯⋯。
カツカツカツ⋯⋯。
⋯⋯コト。
「ふぅ〜⋯⋯⋯⋯できました」
——————————————————
【オリジナル魔法】
『洗脳魔法・無効化魔法』
・闇属性上級魔法『偽装記憶』
(対象者の記憶領域に偽装記憶をセットする)
(国に仕掛けられている大規模洗脳魔法よりも威力は上)
(対象者との実力差により効果は変わると思われる)
・闇属性上級魔法『偽装記憶消去』
(対象者の偽装記憶を消去。無ければ特に何も起こらない)
(対象者との実力差により効果は変わると思われる)
・闇属性下級〜超級魔法『大規模偽装記憶消去』
(範囲は直径10km。大規模に偽装記憶を展開)
(対象範囲によって下級〜超級と分かれる)
『結界系魔法』
・光属性超級魔法『大規模結界』
(最大直径10km以内を結界で囲む。悪意ある魔法を遮断(悪意の基準は術者の条件による))
・光属性下級〜超級魔法『大規模精査』
(最大直径10m〜10km以内の悪意ある魔法を調査する魔法(悪意の基準は術者の条件による))
(対象範囲によって下級〜超級と分かれる)
『バフ・デバフ系魔法』
・闇属性下級〜超級魔法『魔力制御誘導』
(対象者の魔力制御を奪うことにより、魔力コントロールを支援して通常よりも魔法威力を上げるバフ効果と、逆に魔力コントロールを乱して通常よりも魔法威力を下げるデバフ効果を生む)
(対象者との実力差により効果は変わると思われる)
——————————————————




