145「洗脳魔法無効化魔法・・・だけじゃない?!」
「すごい! 本当に一週間程度で完成させてしまうとは! これは脅威に他ならない!」
冒頭いきなりソフィア室長からお褒めの言葉をいただいたが、
「い、いや〜、別に、そんな大したことしてはいな⋯⋯」
「「「「いや、大したことしかしてないわっ!!!!」」」」
と、全員から一斉に突っ込まれる。
「ま、まあ、これでカイト君が『洗脳魔法』⋯⋯とも言える闇属性魔法『偽装記憶』を完成させたのであれば、あとは⋯⋯」
「はい。あとは、この魔法を軸に『無効化魔法』を作っていきます」
「うむ。では早速『偽装記憶』の検証と分析を行うぞい」
てなわけで、すぐにみんなで『偽装記憶』の分析に取り掛かった。
——三日後
「さて、これで一通り『偽装記憶』の検証・分析は完了したが⋯⋯⋯⋯どうじゃ?」
「はい。詳細に検証・分析できましたし、何より魔法や魔道具の専門である『魔道具科』の⋯⋯しかもその中でも国の最高機密の研究を行っている『第一級特別研究室』の施設と優秀な皆さんがいたおかげで、|いろいろな魔法と魔道具ができそうです!」
「「「⋯⋯え? いろいろ?『無効化魔法』だけじゃないの?」」」
カイト以外の『第一級特別研究室』のメンバーは、あくまで『洗脳魔法無効化魔法』だけを開発するものだと考えていたので、カイトの発言に驚いた。
「はい、せっかくですからいろいろ作ろうかと。しかも『脳に関する魔法』なので、これは想像以上にいろいろなものができそうな気がします」
「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」
「? ど、どうしました?」
三人は一度沈黙すると、一人ずつ話しかけてきた。
「カ、カイト。あまり、無理すんなよな⋯⋯?」
「そ、そうです、カイト君。何事も段階と順序というものがあるので、あまり無茶なことはしないでくださいね⋯⋯?」
「カ、カイト⋯⋯。とりあえず『洗脳魔法無効化魔法』だけでも十分なんだからね⋯⋯?」
「カ、カイト君⋯⋯。とりあえず、あまりやり過ぎないように頼むよ⋯⋯?」
第一級特別研究室の三人とソフィア室長が不穏そうな顔でそんなことを言ってきた。
あー、なるほどなー⋯⋯。魔法作りに根を詰め過ぎるなってことかぁ⋯⋯。そこまでしてみんな俺の体のことを気遣ってくれて⋯⋯。へへ⋯⋯本当、優しいよな、第一級特別研究室のみんな。
「みんな心配してくれてありがとう! でも、大丈夫! 俺、体力には自信あるから!」
「「「「⋯⋯え?」」」」
「洗脳魔法の無効化魔法なんてパパッと作っちゃって、その後すぐに『新魔法開発』に取り組みますよ!」
「「「「あ、いや、その⋯⋯カイト(君)?」」」」
「なーに! まかせてください! みんながあっと驚くような『すんごい魔法』作りますから! いやー、腕が鳴るなー!」
「カ、カイト君⋯⋯? そ、そのぉ〜⋯⋯これ以上、脅威的な魔法開発はボクたちの心臓に悪い⋯⋯」
「じゃあ、ちょっと『奥の研究室』借りますねーーっ!!!!」
そう言って、カイトは光の速さで施設の奥にある研究室へと入っていった。
「「「「⋯⋯⋯⋯話、聞けよ」」」」
その後、カイトはこの研究室に籠り続ける、魔法開発に没頭することとなる。
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——一週間後
俺はこの一週間、寮にも帰らず寝る間も惜しんで、この『研究室』に籠っていた。そのおかげで、
「で、できた⋯⋯」
遂に『洗脳魔法無効化魔法』が完成した。
しかし、完成したのはそれだけじゃなく、
「いや〜、ついでだったけど、意外とうまくいったな〜⋯⋯⋯⋯オリジナル魔法」
そう、俺は『洗脳魔法無効化魔法』以外に「できればいいな」くらいに思っていた『オリジナル魔法』も作ることができた。
「それにしても、オリジナル魔法を三つも作ってしまった。案外コツを掴んだら簡単だったな〜。まーたしかにイグナスも『爪弾き』とかってオリジナル魔法作ってたから、結構コツさえ掴めば簡単なのかもな〜」
そんなことをブツブツ呟きながら、俺はみんなのいる会議室へと向かった。
「「「「え? 完成⋯⋯した?」」」」
「はい! 最初に話していた『洗脳魔法無効化魔法』が完成しました」
「おお、すごい! やったね、カイトく⋯⋯」
「あと他にも⋯⋯」
「え? 他⋯⋯にも⋯⋯?」
「他にもオリジナル魔法を作ったんでそれも見て欲しいです」
「「「オ、オリジ⋯⋯ナル⋯⋯魔法を⋯⋯作った?」」」
「はい。ただ⋯⋯俺には『魔道具の知識』がほとんどないので『オリジナル魔法』だけしかできず、『魔道具作成』までは至りませんでした。なので、その俺の作った魔法を見てもらって、その魔法を『どんな魔道具を利用したらいいのか』といったことを教えて欲しいです」
「カ、カイト⋯⋯。お前、一週間でオリジナル魔法を⋯⋯⋯⋯作ったの?」
「ああ。いくつかは⋯⋯」
「い、いくつか? 一つ⋯⋯じゃないんですか?」
「三つだ」
「み、みみみ、三つ!? 一週間で三つぅぅ〜〜〜っ!!!!」
「? ああ。ついハマってしまって⋯⋯ハハハ」
「「「⋯⋯⋯⋯」」」
マイルズ、シーファ、セイラの三人がまた固まってしまった。いい加減、相手するのが面倒なので放っておこう。
「⋯⋯それよりもソフィア室長」
「な、何かな?」
ソフィア室長は一瞬ビクッとしながらも、すぐに冷静な雰囲気を纏って返事をする。
「早速、魔法を見てもらって意見を聞きたいのですがいいですか?」
「あ、ああ。ただ、まずはその作成した『オリジナル魔法』は三つとのことだったが、それはどういった魔法になるんだい?」
「あ、ああ⋯⋯えーと⋯⋯」
そう言って、俺は黒板にチョークでその『オリジナル魔法』を書き出した。




