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自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-  作者: mitsuzo
第三章 騎士学園/騒乱編

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137「第一級特別研究室と古代遺跡」



 ちなみに、そんな彼女だが実は『魔法・魔道具業界』では超有名人(・・・・)らしく、学園長だけじゃなく、Aクラスの奴らからも「何でお前はそんな有名人も知らないんだよっ!」とか「もう少し世間一般の常識と自重を勉強しろ!」と大量にツッコまれた。⋯⋯後半部分は言いがかりだよね?


 そんな、ソフィア・クインズベルという人は、クラリオン王国のみならず世界でも高く評価されている『魔法・魔道具研究の第一人者』の一人なのだそうだ。


 しかも、彼女が『室長』をしている『第一級特別研究室』⋯⋯通称:『ダイイチ』は、クラリオン王国内でも、特に重要な研究(・・・・・・・)を行っている機関のようで、そこの室長をやっているということからも彼女がいかに『すごい人』なのかがわかる。


 極め付けは、彼女の出自(・・)。⋯⋯そう、苗字からもわかるとおり、彼女は名門『クインズベル家』の長女。つまり、あの(・・)『タカラジェンヌ会長』こと、エリナ・クインズベルの姉なのである。


「なるほど⋯⋯あべこべ姉妹枠(・・・・・・・)ですね、わかります」

「??」

「あ、どうぞ、お構いなく」

「は、はあ⋯⋯」


 そんなわけで、俺と『かわいい枠優勝候補(・・・・・・・・・)』のソフィア・クインズベル室長は、以前発狂中のヴェルロイ・ガリウス魔道具科統括長を放置して『第一級特別研究室(ダイイチ)』へと向かった。



********************



 さっきまでいた『統括長室』を出た後、俺はソフィアの案内の元、後ろからついていく。すると、


「え? あ、あの、ソフィアさん?」


 ソフィアが突然『用具室』という名札がついた部屋へと入っていく。


「大丈夫ですよ。さ、入って」

「は、はあ⋯⋯」


 俺はそう言われて『用具室』に入る。すると、そこには⋯⋯⋯⋯想像通り、モップやほうきなどの掃除用具が乱雑に置かれていた。


「あ、あのー、こんなところに来て、何を?」

「はい! ここから『第一級特別研究室(ダイイチ)』へ向かいます」

「⋯⋯は? どうやって?」


 ニコッ。


 ソフィアが笑顔を見せた後、突然、左手で俺の手を握ってきた。


「(ドキ!)⋯⋯えっ?!」


 ドキッとする俺だったが、ソフィアは特に気にせず、今度はスッとおもむろに右手を上にかざした。そして、


「⋯⋯こうやって」

「っ!?」


 ズワァッ!


——ソフィアが右手を上にかざした瞬間、天井に直径二メートルほどの『魔法陣』が浮かび上がり、その魔法陣から俺とソフィアに光が走った。


「な、なんだ、これ⋯⋯はっ!?」


——全身が光に包まれた瞬間、俺とソフィアがその場から消えた(・・・)



********************



「ようこそ、カイト君! ここがクラリオン王国が誇る最先端魔法・魔道具研究の研究室(ラボ)⋯⋯『第一級特別研究室(ダイイチ)』でーす!」


 さっきの『用具室』で『魔法陣』から出た光に包まれた俺とソフィア。そのあまりの眩しさに俺は思わず目を閉じる。そして、光が消えたのを感じた俺が目を開けると、そこは『巨大な空間』が広がっていた。


「な⋯⋯なんだ!? この施設は⋯⋯」


 そこは()にも()にも広がった空間だった。


 横はどのくらいあるかわからないが、少なくとも百メートル以上はありそうだ。しかし、それにも増して驚きだったのが、


「な、なんだ、この天井の⋯⋯高さは⋯⋯?」


 そう、『天井の高さ』が圧巻(・・)だったのだ。


「すごいでしょ? 地面から天井までざっと50メートル(・・・・・・)はあるからね」

「も、もはや、研究室というより『ドーム型屋内運動場』って感じだな」


 ちなみに、こんなにも天井が高い『第一級特別研究室(ダイイチ)』だが、この施設はなんと⋯⋯⋯⋯地下(・・)に存在しているとのこと。


「さっき、『魔道具科』の統括長の部屋を出て『用具室』に行ったよね? ちなみに、あそこは三階になるんだけど、その三階の『用具室』には『転移陣』があってね⋯⋯。カイト君も見たでしょ?」

「あ、あの、天井に書いてあった『魔法陣』のこと?」

「そうそう。あれは『空間から空間へ移動する魔法陣』で、通称『転移陣』というものでね。その『転移陣』はこの『第一級特別研究室(ダイイチ)』とつなげているんだ。だから、こうして移動したのさ」

「く、空間を移動する魔法陣⋯⋯『転移陣』っ?! そ、そんなものが⋯⋯」


 まさか『転移陣』が、この世界に存在していたとは!


「あったらいいな〜」くらいには思っていたけど、あるのかよ! すげー!


 俺は異世界で『転移陣』で移動するのも『異世界に転生したらやりたいことリスト』の一つだったので、不意打ち(・・・・)ではあったものの、また一つ『やりたいこと』を実現した。


 それにしても、『転移陣』での移動をした感想としては「何か光に包まれたとき、体がフワッと浮いたと思ったら移動してた」という感じだった。


 例えるなら『高層ビルのエレベーターで上階から下階へ降りる時のフワッと浮くあの感じ(・・・・・・・・・・)』にすごく似ていた。


 ちなみに、ソフィアに転移陣の移動の際のフワッと浮く感じの話をしたら、「ここは地下になるからたぶんそう感じたのかも。逆にここから『魔道具棟』へ戻るときは『体が引っ張られる感じ』になるよ」と言っていた。そう言われると、あながち俺の『エレベータ理論』はそこまで外していなかったのかもしれない。それにしても、


「こ、ここが地下だなんて⋯⋯信じられない」

「ちなみに、ここは階数でいうと地下10階くらいかな? 地上からおよそ100メートル下くらいになるよ」

「す、すごい⋯⋯」


 この世界は『中世時代程度の生活水準』なだけに、第一級特別研究室(この空間)はかなり異質(・・)だった。


 というのも、ここの天井や壁、柱などが、すべて⋯⋯⋯⋯コンクリート(・・・・・・)で出来ていたからだ。


「コ、コンクリート! これって、まるで⋯⋯」


 まるで⋯⋯⋯⋯俺のいた地球の『建築技術そのもの』じゃないか!?


「ん? なんだい? こんくりーと(・・・・・・)って?」

「え? あ、いや、えーと⋯⋯と、特に、意味は⋯⋯」


 俺はつい口走った『コンクリート』について聞かれた時、説明するのは『マズイ』と思ったので、何とかごまかした。


「あ、そ? ま、それにしても⋯⋯フフフ、良いリアクションをありがとう、カイト君。驚かした甲斐(・・)があったよ」

「い、いやー、ビックリしました。⋯⋯すごい建物ですね。こんなの初めて(・・・)見ました」


 この異世界(・・・)では。


「うん、うん、そうだろう、そうだろう⋯⋯。ちなみにこの施設ってね、実は⋯⋯⋯⋯『古代遺跡』なんだよ」

「え⋯⋯? こ、古代遺跡⋯⋯?」

「そう! この施設自体は何も手をつけていない。加工していない。今から遠い昔の⋯⋯古代に作られたこの空間を|そのまま利用しているだけだよ《・・・・・・・・・・・・・・》」


 バ、バカなっ!?


 そ、そんなの⋯⋯それって⋯⋯、


「不思議だよね? どう見たって、今のボクたちの建築技術水準と比べても⋯⋯⋯⋯はるかに優れた技術(・・・・・・・・・)で作られているのは明らかだからね」

「そ、そう⋯⋯ですね⋯⋯」


 ソフィアのその感想はもっともだが、俺的にはそれ以上に⋯⋯⋯⋯|どうして地球と似た構造物・・・・・・・・・・・・がこの世界に存在しているんだ、というところだった。



********************



 現在、俺はソフィアさんの部屋⋯⋯『室長室』でお茶をしていた。というのも、


「ごめんなさいね、カイト君。ここの研究室で手伝いをしている生徒たち(子たち)がまだ授業終わってなくて⋯⋯」


 ソフィアさんが「もう少しでその子たちの授業が終わるから⋯⋯」ということで「それまでお茶をして待っていよう」ということになったのだ。


「あ、いえ、大丈夫です。それよりも、さっき言ってた『古代遺跡』の話⋯⋯面白かったです。もっと教えてください!」


 俺は今日初めて聞いた、この『古代遺跡』の話をソフィアさんに色々教えて欲しいと懇願する。しかし、


「ごめんね。これは『最重要機密事項(トップ・シークレット)』だから、これ以上は教えられないの」

「そう⋯⋯なんですね⋯⋯」


 俺ははっきりとがっかりした仕草を見せる。


「まあ、でもカイト君が『特殊な子』というのも『最重要機密事項(トップ・シークレット)』の一つだから、後々、『古代遺跡』についての情報公開も許可が下りると思うよ?」

「え? 俺が⋯⋯⋯⋯『最重要機密事項(トップ・シークレット)の一つ』?」

「あっ! やばっ! あ、あは、あはははははは⋯⋯⋯⋯今のは忘れて、ね!(テヘペロ)」


 この、おっちょこちょいさんめ!


 そんな可愛い『テヘペロ室長』と楽しい午後の紅茶時間(ティータイム)を過ごしていると、


「「「おつかれーっす!」」」


 室長室の外から、数人の声が聞こえた。


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