134「決着。そして提案」
「くっ?!⋯⋯『身体強化』! 最大出力っ!!」
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ⋯⋯っ!!!!!!!!
学園長の超級魔法『暴風迅雷』がカイトへ襲いかかった。
「うおっ!? ぐ、ぐぅ〜〜〜〜⋯⋯⋯⋯!!!!!」
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ⋯⋯っ!!!!!!!!
カイトは100メートル超の暴風には耐えているものの、雷撃が予想以上の威力であったため、このままでは意識を刈り取られる危険性を感じたカイト。
「ふぉふぉふぉ! どうやら、さすがのカイト・シュタイナーも超級魔法『暴風迅雷』には手が出ないようじゃな!」
学園長が今日一番の笑顔とテンションで、カイトに言葉をかけた。
「さ、さすがっす⋯⋯学園長。こ、これ以上は、持た⋯⋯な⋯⋯い⋯⋯すね⋯⋯」
カイトは凄まじい暴風と雷撃を『身体強化』の最大出力で耐えているが、雷撃の威力は完全に払えていないためか、痺れながらしゃべっている。
「ほぉ? では降参かの?」
「い、いえ。なので⋯⋯⋯⋯|次に行かせていただきます《・・・・・・・・・・・・》」
「つ、次⋯⋯じゃとっ!」
「カ、カイト式、魔力コントロール⋯⋯⋯⋯『Ver2.0』っ!!」
ドン! ブオァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!
瞬間——カイトから尋常じゃない魔力が一気に噴き上がると、それと同時に、カイトの体から『青白い光のオーラ』がユラユラと立ち昇った。そして、
「ハァーーーーーーっ!!!!」
パシーーーーン!
カイトが耳をつん裂くような叫び声を上げると、学園長の超級魔法『暴風迅雷』が⋯⋯⋯⋯弾き飛ばされた。
「なっ!? バ、バカなっ! 超級魔法を弾き飛ばした⋯⋯じゃとっ!!!!」
学園長はカイトのバカげた対処法を見て唖然とする。
「ふぅ〜⋯⋯痛てて。いや〜雷撃って、結構効きますね」
「ちょ、超級魔法『暴風迅雷』をまともに食らって『結構効きますね』って⋯⋯。もう、やってられるか! ワシの負けじゃ!」
こうして、学園長とカイトの模擬戦は学園長ハンニバル・シーザーの『降参』により幕を閉じた。
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「「「「「つっよ!!!!!」」」」」
『地下シェルター』から出てきた皆さんの第一声。そして、
「が、学園長に⋯⋯勝っちゃったよ⋯⋯」
「そうか〜、いよいよカイトが自重を捨てたか〜」
「元々よね?」
「ああ、元々だな」
「元々です」
「⋯⋯なるほど。カイトの辞書から『自重』の二文字が完全に消滅した瞬間ですね、わかります」
カイトの舎弟であるイグナスやザック、その他レコ、レイアなどから「いよいよ自重を捨てたか」といったため息混じりの言葉が呟かれた。
「はい、そこ! 勝手に人の辞書から『自重』を消さないように!」
カイトが皆に向かってツッコミをするも誰も相手にしなかった。
「なっ!? ノーリアクション⋯⋯⋯⋯解せぬ!」
そんないつものメンバーをよそに、カイトとほとんど面識のない、または少ない、アルフレッドやケビン、ゼノといった騎士団メンバーはカイトの強さに驚きの声を上げる。
「う、嘘だろ!? カイト・シュタイナー⋯⋯⋯⋯強いということは知っていたが、まさかここまでの強さだったとは⋯⋯」
「し、信じられない!? あの『悪虐』ハンニバル・シーザー様の連撃をすべて受け切るばかりか⋯⋯超級魔法『暴風迅雷』を弾き飛ばすとはっ!? お、俺は、夢を見ているの⋯⋯か?」
「カイト・シュタイナー⋯⋯⋯⋯強い」
特に、イグナスの兄であるケビン・カスティーノに至っては、最初の『余裕』は全く消え、ただただ目の前の現実を受け止めるので精一杯だった。
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「さてと⋯⋯カイト君」
周囲の模擬戦の興奮が収まった頃合いで、学園長が口を開いた。
「君の実力を見させてもらった。正直、ワシの予想を遥かに超えていた。⋯⋯衝撃じゃったわい」
「ど、ども⋯⋯」
学園長の手放しの賞賛に少し恐縮するカイト。
「では、大規模洗脳魔法の魔法使役者の捕縛または討伐、頼んだ⋯⋯」
「あ、すみません、学園長!」
シュタっ!
学園長の締めの言葉っぽい発言にかぶせ気味に入ってきて元気に挙手をしたカイト。
「なんじゃ、お前は! せっかく、ワシが良い感じの締めのセリフでバシッと言って終わる流れじゃったのに! 空気を読め! 自重しろ!」
「え? 何が?」
(((((いやいやいや、無理ですよ、学園長(ハンニバル様)⋯⋯っ!!)))))
カイトの空気を読まない態度に割とガチにツッコむ学園長。しかし、それを理解できていないカイト。そして、そんな学園長に『同情ツッコミ』を心の中で入れるその他の皆さん。
「で、なんじゃ、一体?!」
「はい! えーとぉ〜⋯⋯⋯⋯俺のこの『カイト式魔力コントロール』をまだ習得していないAクラスの生徒全員に教えようと思っています」
「「「「「えええええええええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!」」」」」
今日一番の絶叫、いただきました。




