133「学園長VSカイト・シュタイナー(2)」
「お、お⋯⋯⋯⋯重っも!」
「バ、バカなっ?! このワシの全力の正拳突きを受けて⋯⋯⋯⋯微動だにしない、だとっ!?」
カイトは学園長の『全力の正拳突き』を|その場から一歩も動かず《・・・・・・・・・・・》完璧に受け止めた。
「ば、化け物め⋯⋯」
ハンニバルの口から「化け物」という単語が飛び出す。すると、それを聞いた周囲の者たちが、
「「「「「い、今、ハンニバル様の口から『化け物』⋯⋯と?」」」」」
ハンニバルの言葉に全力で引いていた。
「ぬぅぅおぉぉぉああぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドっ!!!!!
ハンニバルがさらに重いパンチの連撃を浴びせる。しかし、
「よ! ほ! ほい、ほいっと!」
カイトがそのハンニバルのパンチすべてを完璧に防いだ。
「ぬぐっ!? ま、まさか、信じ⋯⋯られん⋯⋯っ!」
バッ!
そう言うと、ハンニバルは一度カイトから距離を取る。
「ぬぅぅ⋯⋯ま、まさか、ここまでとは⋯⋯」
「⋯⋯どうも」
ハンニバルの攻撃が、カイトに一発も入らないという現実に、周囲の者たちから言葉や反応が完全に消えた。
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「どうします、学園長?」
「? どうとは?」
「もう、終わりにします?」
「バカ言え! これからじゃろが!」
おいおい、学園長⋯⋯⋯⋯元気だな。
スッ⋯⋯。
そう言って、次に学園長は両手を前に突き出す。
「では、次じゃ、カイト。このワシの全力の魔法攻撃、見事受け切ってみせよ! ハァァァァ⋯⋯」
「なっ?! こっからさらに魔力が⋯⋯!?」
学園長が「全力魔法攻撃」を宣言すると、ただでさえデカい魔力がさらに増幅していく。
「おいおい、これだけ増幅させての『全力魔法攻撃』って⋯⋯⋯⋯まさかっ!?」
俺が、学園長が繰り出そうとしている全力魔法攻撃にアタリをつけると、
「も、もしかして!? 学園長の『全力魔法攻撃』って⋯⋯⋯⋯超級魔法っ!?」
イグナスもほぼ同時に、俺が推測したのと同じ解を導き出し声を上げた。すると、
「正解だ、イグナス! さあ、この中へ入れっ!」
「ケ、ケビン兄さんっ!? こ、これは⋯⋯!」
ケビンが地面にあった『扉』を開いて、この中に入るよう誘導する。見ると、それは地下へと続く階段だった。
「地下シェルターだ! さあ、早く中に入れ、巻き込まれるぞ!」
「皆さん! ここに入ってください! 急いでっ!!」
同時にアルフレッドが皆に『地下シェルター』に急いで入るよう指示を出す。
「な、何なの、これ!?」
リリアナがその『地下シェルター』を見て怪訝な顔を示す。
「話は後です! 今はとにかくこの中へ! さあ早くっ!!!!」
「皆さん、急いでください!」
「⋯⋯急げ」
ケビン、アルフレッド、レコ、ゼノといった騎士団の面々が即座に対応した結果、あっという間に全員を地下シェルターへと避難させた。
全員の避難を確認したハンニバル。そして、
「⋯⋯では行くぞ、カイト?」
「おう!」
最初の膨大の魔力からさらに増幅させた魔力の塊を、突き出した両手に収束させる。そして、
「風属性超級魔法⋯⋯⋯⋯『暴風迅雷』」
ゴォォォォォォォォォォォーーーっ!!!!
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【風属性超級魔法『暴風迅雷』】
風速100メートルを超える暴風と雷を伴わせた攻撃(暴風+電撃攻撃)。
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学園長の手から『風速100メートル超の暴風』が凄まじい猛威を奮いながら迫ってきた。しかも、
「え? か、雷⋯⋯?」
そう⋯⋯よく見ると、その暴風の中はバチバチと激しい雷音が轟いていた。
「やば⋯⋯っ?!『身体強化』、最大出力っ!!」
カイトは咄嗟に『身体強化』を最大出力まで展開。そして、
ゴォォォォォォォバリバリバリバリバリバリバリっ!!!!!!!!
学園長の超級魔法『暴風迅雷』がカイトへと襲いかかった。




