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自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-  作者: mitsuzo
第三章 騎士学園/騒乱編

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131「模擬戦」



——クラリオン王国騎士学園/特別会議室


 現在、俺たちは学園の中でも、とりわけセキュリティーの高い『特別会議室』にて『クラリオン学園騎士団』の初任務についての話をしていた。


 そして、俺たちの初任務が『王国全体に影響を与えている大規模洗脳魔法使役者の捕縛または討伐』とのこと。初っ端から中々ハードモードである。


 あと、よくわからないが、その任務を引き受けていいかの確認をレイアにしたら、そのレイアが了承した後、気絶してしまった。見ると、顔がものすごく紅潮しており、息遣いも荒かった。


 そんなレイアを見て、俺は「さっきの自分のカミングアウトが原因だ」と思い、非常に申し訳ない気持ちになった俺はレイアをすくい上げる⋯⋯⋯⋯いわゆる『お姫様抱っこ』だ。


 正直、すごく恥ずかしかったがレイアを『傷つけたこと』を考えれば、これくらい朝飯前である。



********************



「さて、とりあえず報告はこんなところだが、もう一つ⋯⋯⋯⋯カイト君」

「はい?」

「君の力をちょっと試したい(・・・・)から、この後いいかな?」

「え?! た、試したい⋯⋯とは?」

「「ちょ、学園長っ!?」」


 突然の学園長の発言に、俺だけでなく、騎士団長のアルフレッドとレコも反応した。


「いや、何、クラス編成トーナメントでカイト君の力は見せてもらったので『任務』の遂行に問題ないと思ってはいるが、実際に手合わせ(・・・・・・・)して確かめたいのじゃ」


 そう言って、学園長がニチャァと素敵な笑みをこぼす。


「が、学園長! そ、それは、あまりにも危険⋯⋯」

「大丈夫じゃ、学園(ここ)ではやらん。学園(ここ)ではさすがに全力(・・)を出すには手狭(・・)じゃからな。手合わせする場所は⋯⋯⋯⋯『グラン・キャンバス大渓谷』で行う」

「いや、そういうことを言っているのでは⋯⋯⋯⋯って『グラン・キャンバス大渓谷』ですか?! あ、あそこは⋯⋯」

「大丈夫じゃ。ラディット国王には許可をもらっておるし、グラン・キャンバス大渓谷の浅い場所(・・・・)でやるから例のアレ(・・・・)に影響は及ばん」

「?」


 学園長の口から気になる発言が出た。


 グラン・キャンバス大渓谷の『例のアレ』とはなんだ? ていうか、グラン・キャンバス大渓谷に何かあるのか《・・・・・・》?


「い、いや、しかし⋯⋯」

「Aクラスの午後の授業は『グラン・キャンバス大渓谷』にて、ワシとカイト君の模擬戦の見学とする。では早速『グラン・キャンバス大渓谷』に移動するぞ、皆の者!」


 そう言って、学園長はアルフレッドやレコの静止を強引に振り切って動き出した。


「はぁ〜⋯⋯まったく。学園長のいつもの悪いクセ(・・・・)が出てしまった」

「だ、団長。ど、どうしましょうか?」

「とりあえず、万が一のことを考えてレコ君⋯⋯⋯⋯騎士団進軍官のゼノ・アマルフィも呼んできてくれ」

「か、かしこまりました」


 こうして、俺たちは急遽、グラン・キャンバス大渓谷へと移動することとなった。


 学園長との模擬戦か⋯⋯。


 突然過ぎて最初は驚いたが、しかし、学園長の強さは気になっていたからちょうどいいかもしれん。


 学園長ハンニバル・シーザー。騎士団最強時代に団長だった父親(ベクター)のその前の団長か。学園長の二つ名『悪虐(バーバリアン)』がどれほどなのか⋯⋯楽しみだな。


 期待に胸を膨らませた俺もまたニチャァと素敵な笑みをこぼした。



********************



——『グラン・キャンバス大渓谷』


 俺たちは学園にすでに用意されていた数台の馬車に乗って、グラン・キャンバス大渓谷にやってきた。⋯⋯なるほど、学園長すでに用意していたってわけね。


 入学式前に一度、自分の魔法の全力(・・)を試すべくやってきて以来だが、その場所は、相変わらず、岩山や岩盤の大地しかない⋯⋯地球でいう『グランドキャニオン』のような光景が広がっている。


「ハンニバル様! 今回、万が一に備えて同行させていただきました。わたくし、ハンニバル様の勇姿が久しぶりに見られることに大変興奮しております!」

「ふぉふぉふぉ、何じゃ、ケビン(・・・)まで来たのか?」

「はい! ぜひ、カイト君とハンニバル様の試合が観たく!⋯⋯あ、いやいや、とても楽しみに!⋯⋯あ、いやいや⋯⋯」

「ふぉふぉふぉ、さすがルドルフ(あいつ)の倅⋯⋯欲望ダダ漏れじゃな」

「はい、恐縮です!」


 いや、褒めてないよね、学園長?!


 と、今、学園長にあいさつをしたのは、


「あ、兄貴っ!?」


 そう、イグナスの兄貴である『ケビン・カスティーノ』だった。


「う、嘘! あの『騎士団最強の一角』⋯⋯ケビン・カスティーノ様じゃないか!?」


 そして、そのイグナスの兄貴を見て驚いているのはドレイク・ガリウス。


「何? そんなにすごい人なの、イグナスの兄貴って?」


 と、不用意の発言をした俺に、


「バ、バカ野郎! おま⋯⋯カイト! ケビン・カスティーノ様を知らんのか!」

「現在の騎士団で『序列4位』の人で凄い人なんだぞ! なんで知らないんだよ!」

「⋯⋯カイト。さっき気絶した私を運んでくれたそうだな、ありがとう。しかし、カイトがケビン・カスティーノ様を知らないとは⋯⋯。さすがにもう少し騎士団のことを勉強したほうが良いぞ? いや何、騎士団のことについては私がマンツーマン(・・・・・・)で教えてやるから心配いらん。⋯⋯任せろ!」


 と、皆からやいのやいのツッコミの嵐を受けた。


 ただ、レイアに関してはちょっと違う感じ(・・・・・・・・)のようだが。


 それにしても、レイアが特別会議室での俺のカミングアウトに理解を示してくれたのか、今ではいつものやり取りができるようになっていたのでホッとした。⋯⋯ただ、まだ顔が紅潮して息が荒れ気味なのはなぜだろう?



********************



「お、おい、レコ! どうして、ケビンがここに来ているんだ!」


 アルフレッドが血相を変えてレコを問い詰める。


「す、すみません! 私はゼノ様のいる執務室に行ってお声がけしたのですが、ちょうど、その時ケビン様が執務室に入ってこられて、そこでケビン様にこの話を知られてしまい⋯⋯『え? マジ? 俺も行く! 絶対に行く! 止めても無駄だぞ、ハッハッハ!』と言って、勝手についてきちゃいました」

「え〜〜〜〜⋯⋯(団長、引き気味)」

「⋯⋯申し訳ありません、団長。止められませんでした」


 すると、ゼノもレコの横でアルフレッドに謝ってきた。


「い、いや、ゼノのせいではありませんし、レコ君のせいでもありません。|あの学園長大好きケビン《・・・・・・・・・・・》に今回の話を知られてしまっては誰も止めることはできなかったでしょう。⋯⋯事故みたいなものです、諦めましょう」


 そう言って、三人が「はぁぁ〜⋯⋯」と深いため息を吐いた。



********************



 学園長がアルフレッドやレコ、ゼノ、ケビンと話をしながらラディット国王が指定した場所へと移動。アルフレッドがカイトにここに来るよう指示を出す。そして、


「それでは両者とも⋯⋯いくらグラン・キャンバス大渓谷だからといってやり過ぎ(・・・・)ないように。あくまで、これは模擬戦(・・・)ですので、そこのところ、よろしく、切に、マジで⋯⋯お願いいたします」


 アルフレッドが、何度もやり過ぎないよう強く注意をする。


 失敬な。やり過ぎるとしたら学園長のほうですよ、アルフレッドさん!


 僕はちゃんと自重できる常識人(・・・・・・・・)ですから!


「それでは模擬戦⋯⋯⋯⋯開始っ!」


 こうして、俺と学園長の模擬戦が始まった。


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