表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の見守り人  作者: 井伊 澄洲
第一章 星間探査編
21/34

021 村の掟

 その次の日の朝、村の人々は起きて驚いた。

いつの間にか、村の周囲をグルリと木の柵と鉄条網で囲まれてしまっていたのだ。

驚いた村人達が王に報告に来る。


「王!これでは狩りに出られません」

「ええい!そんな柵など越えて行け!」

「木の柵はともかく、あの棘がついている鉄の紐はどうにもなりません!

しかもどうもあの鉄の紐には毒が塗ってあるらしく、触ると痛いのです」

「毒だと?」


効果的に2重3重に包囲した鉄条網は即座に取り除く事は困難で、とてもそこを越える事は出来なかった。

しかもそこには弱い電流が流れており、触れば感電し、死ぬ事はなかったが痛かった。

電気をしらないこの星の人々はそれを毒と解釈したのだった。


「どこか空いている所はないのか?」

「一ヶ所あるようですが・・・」

「では、そこから出て行けば良いではないか」

「ですが、そこには例のよその王族の者達が」

「なんだと?」


あわててブルーム7世が部下を連れて村の境界線に行くと、そこにはミサキ以下数名が立っている。


「おはようございます、ブルーム7世様」

「貴様!これは一体どういう事だ?」

「何か問題でもございますか?」

「この鉄の紐はなんだ?」

「昨日お話した通り、ここが村の境界線と聞いたので、そこにこのようにわかりやすい柵を造ったのです。何か問題でもありますか?」


そう言って昨日印としてつけた、焦げた地面を指差して見せる。


「これでは我々が出れないではないか!」

「しかし、村の境界は昨日あなた様が決めた事でしょう?

我々は御約束どおり、一歩も中には入っていませんよ?

そこからあなた方が外に出られるかどうかは我々には関係ありません」

「やかましい!こんな物はすぐに無くせ!」


そういってブルーム7世は迂闊にも鉄条網に触れると、たちまち感電し、叫びを上げる。


「うおあっ!なんだ、これは?」

「それは電流と言って、触ると体の調子を狂わすものです。

触ると痛いですよ」

「とっととこんな物はどけろ!」

「そうはいきません。

それにあなたは昨日自分で決めた約束を都合が悪くなれば、今日には破ると言うのですか?」

「当たり前だ!

わしの言う事がいつでも真実なのだ!」

「しかし、昨日はここが境界線だと言ったではないですか?

それは真実ではないのですか?」

「うるさい!とにかくこれを無くせ!」

「いいえ、無くしません。

あなたが昨日ここを境界線と決めた以上、この線からこちらは我々の村となります。

あなたが我々をあなたの村に入るのを禁止したのと同様に、あなた方が我らの村へ入る事は禁止します」

「そんな馬鹿な!この世界は全て我らカザラム教の物だ。

貴様らの物ではない!」

「我々はそれを認めません。

どうしますか?」

「ええい!こいつらをぶっ殺せ!」


ブルーム7世が命令を下すが、昨日同様、部下達の武器はこの不思議な相手に全く効かず、むなしい結果となった。


「さあ、どうしますか?」

「許さん!貴様ら、許さんぞ!」

「許さないのならどうしますか?」

「・・・今に見ていろよ!」


憤怒の形相できびすを返すと、宇宙船に戻ったブルーム7世が、熱戦銃を持って戻ってくる。


「ふはは、さあ、侘びを入れるなら今のうちだぞ!」

「それはどうでしょう?」

「バカメ!」


そういうとミサキの胸をめがけて熱戦銃を撃つブルーム7世。

しかし、その光線はミサキの胸の手前で空しく散る。

ミサキの前に張られた宇宙服の防御スクリーンの前には、いかな熱戦銃でも効果は無かった。


「ば、ばかな!」


驚いたブルーム7世が何回もミサキを撃つが、結果は同じであった。

やがて充填していたエネルギーが尽きたのか、引き金を引いても熱戦が出なくなる。


「では今度はこちらの番ですね」


ミサキが出したレーザー銃を構えると、ブルーム7世を撃つ。

狙いは過たず熱戦銃に当たり、それはドロリと溶けて、もはや銃としての役割を果たせなくなる。


「あつっ!」


その高熱で銃を持てなくなったブルーム7世が思わず銃を落とす。


「さあ、どうしますか?」


そのミサキの言葉にワナワナとブルーム7世が震えるが、何も出来ない。

落ちた熱戦銃を拾おうとするが、まだ高熱で周囲の草がこげるほどで、とても手に持つ事は出来ない。


「くっ・・おのれ!おのれ!」


憎しみで相手が殺せるほどの形相でミサキたちを見つめるが、もちろんそんな事で何も起こらない。

しばらくするとクルリと踵を返し、自分の住居である宇宙船へと戻っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ