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俺、女神に憑かれてます  作者: 塚田恒彦
七章 ??編
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第五十三話 天界

「ん、んん……」

「ムーラン!飲み水持って二階上がって来てくれ!」



 ノアが目覚めたのは倒れた翌日の夕方だった。

 目をぱちぱちさせながらゆっくり辺りを見回している。



「ノアさん、お水です」

「ありがとう」



 両手でコップを受け取り、ノアは時間をかけて水を飲み干した。

 その後しばらくコップの底を眺めていたが、ゆっくりとこっちを向いた。



「おはよう」

「おはよう。言っても夕方だけどな」

「元気に起きたらおはようなんだよエリク」

「えらくふわふわしたセリフだな」

「寝起きだからね」



 元気なようで安心した。『生命と破壊の神の力』を取り戻した影響は、今のところ見られない。

 俺はムーランと入れ替わりで一階に降りて、準備していた夕飯を持って戻った。



「さて、今夜は食べて寝て明日に備えるとしよう。リエイは今も見てるだろうし、お呼びがかかるまで待つ。

 作戦は天界の現状を見て考える。ただし、ノアの調子が悪そうなら延期だ」


 二人に異論は無いようだった。

 丸一日寝てなかった俺は、のそのそとベットに移動して睡眠を取ることにした。


 次の日、俺は昼頃に目覚めた。隣のベットにノアの姿は無いので、一階に向かう。



「おはようエリク! よく寝たね」

「お陰さまで。ノアは寝れたか?」

「早く起きちゃったけど、眠りは足りてるよ」

「お二人とも快調ですね。あ、エリクさんミルク要ります?」

「貰っとく。俺はりんごでも切るか、ムーラン足元の引き出しからナイフ出してくれ」



 平和だ。

 俺はものすごく満たされている。

 それなりに金も稼ぎ口もあって、仲間も居る。それだけで貪欲さは失われたようだ。

 ノアの存在を超えられる宝が、この世界にあるはずもないと分かってしまったというのもある。そうなってくると、リスクを犯して大金持ちになってやるなんてどうにも現実的ではない。


 シロの失踪が片付いたら、俺は何を目的にすれば良いのだろうか。



「考え事でもしているのかしら?」

朝食で腹を満たした頃、酒場の入り口にリエイが立っていた。瞬間移動で現れるとやはり少し驚くが、りんごをしっかりと噛み砕いてから返答した。

「あぁ、来たかリエイ。大丈夫だ支障はない」



 俺はパシッと自分の顔を叩いて立ち上がる。シロの失踪、サクッと解決しよう。



「じゃあ、行きましょうか。我々の暮らす、天界ジルクラッドへ」



 リエイがそう声に出した直後には、俺達は白い街の中に居た。

 地面は石なのだろうか、白色だ。それを建材にしているであろう町の建物は、同様の色と材質に見える。そしてかなり遠くの丘の上に、一際大きい建物が確認できる。装飾はなんら凝ったものではないが、城に当たる建造物だろう。


 それよりもなんだこの人口は、さっきまで居たビルタ区の商店街に劣らない活気がある。



「俺達呼ぶ必要あったか?」

「だって身内も信用できないじゃない」

「確かに俺達は犯人になり得ないが……選抜したら人材は足りそうな」

「良いのよ。ノアに能力を返す良い機会になったし。ともかくシロが居た場所まで行きましょう、君達なら何か気付くことがあるかも知れない」


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