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俺、女神に憑かれてます  作者: 塚田恒彦
七章 ??編
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第五十二話 回想

 驚異的な速さで森は成長している、放っておけばそれなりに離れた市街地にも、影響が出る。

 今俺がすべきことはノアを止めること。

 そう難しいことじゃない、ただ起こすだけ。

 二歩前進し、手を伸ばせばノアに触れられる位置まで近づく。


 ノアはノアのままでいるのだろうか。

 仮に、ノアが過去の人格に変わってしまっていても大丈夫だ。

 変わらないって約束してくれたから。


 俺はノアの両手を包むようにして、ギュッと握った。ちょうどノアにしてもらったときのように、優しく暖かく。



「行こうノア。

 まだまだ二人の旅を終わらせたくない。

 それも、退屈する暇もない旅を約束するから。

 また、俺と一緒に来てくれないか」



 目を閉じ、柄にも無く神に祈った。

 どうか、目を覚ましてくれ。



「……え……く」



 微かにノアの声が聞こえた。



「え……りく……」

「ノア! あっおい!」



 ノアは一瞬俺の方を見たかと思うと、突然全身の緊張が崩れ、グラリと俺の方へ倒れ込んだ。

 俺はしっかりとノアの体を受け止めて、顔を覗き込む。

 どうやらまたノアは意識を失ってしまったようだ。



 この光景は、初めてノアと会った時を思い出す。

 あの時は満ち欠けの神の力を回復させた反動で、ノアは倒れた。

 赤い箱を背負っていたから、ノアは抱えて屋敷から撤退したんだったか。


 今回は『生命と破壊の神』の力を取り戻して倒れ、俺が背負って帰ると。

 ほとんど同じ状況に思わずフッと笑ってしまった。



「上手くいった、でいいのかしら?

 森の成長も止まったわ、お疲れ様」



 どうやらリエイが、上空から森を見てくれたようだ。俺だとこの森を出るまで、成長が止まってるか判断できないのでとても助かる。



「上手くいったかな。

 でも俺は大したことしてないさ。ノアが起きた時にねぎらってやってくれ」

「僕の入る隙が無くなっちゃいそうですね。支援に努めますから、ノアさんを頼みますよエリクさん」

「任せとけ。それに、ムーランも大事な仲間だ。途中で置いてくようなことはしないさ」

「じゃ、また酒場に転移しましょうか」



 リエイがパチンと指を鳴らすと再び酒場に戻った。

 俺はさっさと二階に上がり、ノアをベットに寝かせた。

 ガクンと意識が落ちた時は心配したが、今はちゃんと眠っている。

 ノアが起きた時はなるべく隣にいたい。

 俺はリエイとムーランを二階に呼んで喋ることにした。



「さてリエイ。ノアが全盛期並みに強いかは分からんが、力は取り戻せたみたいだぞ。

 それと、人格は俺の知ってるノアのはずだ」

「賭けには勝てたみたいで何より。

 私は一旦天界に帰るわ。

 ノアの目が覚めたら、勝手に私から訪ねさせてもらうわね」

「どうぞどうぞ」



 リエイが消えた。指を鳴らしてくれないと予備動作が全く無いので、驚いて少しビクッとしてしまう。



「闘いたくないな」

「攻撃の方は予測できますよ。

 両開きの扉の真ん中をこじ開けるような動作をするので、その線状から離れてください。そうすれば避けられます。


 接触すると硬度無視で、腕でもなんでも引きちぎられますけど」

「だから闘えます、とはならないんじゃないかなぁムーラン。

 今のところは友好的なんだから、平和に頼むぜ。復讐なんか考えてないって言ってたろ」

「えぇ、過ぎたことです。復讐なんて考えもしませんよ。

 反省していたようですし、後腐れなくあの話は終わりです」



 一旦ムーランとの会話はそこで切り上げた。

 ムーランは厨房へ夕食の準備に、俺は二階でノアの目覚めを待つことにした。


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